過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではクルト・レヴィンと「場の理論」「ツァイガルニク効果」について書いていきたいと思います。
クルト・レヴィンについて
クルト・レヴィン(Kurt Zadek Lewin)は1890年ドイツのモギルノ(現ポーランド)の中流階級のユダヤ人家庭に生まれます。
フライブルク大学とミュンヘン大学で医学と生物学を学び、哲学と心理学の教授として教壇に立っておりましたが、ナチス政権掌握によって追放され、アメリカに亡命します。
マサチューセッツ工科大学(MIT)ではグループダイナミクス研究所を創設し、レオン・フェスティンガーなど後進の育成も努め、「社会心理学の父」と呼ばれるほどの功績を残しました。
場の理論
人間の行う行動は、人間のパーソナリティと環境が相互作用によって影響され、
「B=f(P・E)」 ⇒(日本語に訳すと) 「行動=関数(パーソナリティ・環境)」
という式で表せるとレヴィンはしました。
要するに私たちの行動は「場」の影響を受けるということであり、環境要因の重要性を提唱しました。
言い方を変えれば、一人の人物はそのパーソナリティのみで語れるのではなく、その人が行っている役割やポジション、環境も含めてその人物であると言えます。
自分の役割やポジションによって行動が変わったり、パーソナリティに変化が生まれるように環境面を整えることで私たちの人生は変化していきます。
レヴィンの変容モデルでは、変化が不可欠であると認識し、以前の信念や行動を取り除いて変化のための準備をする「解凍」とういう段階から始まります。
実際に変化をしていくと混乱や苦しみを伴うこともありますが、新たな枠組みや実践に慣れてきて快適さと恒常性の感覚が再び現れていきます。
その学習は受け身である受動的なものよりも積極的な能動的である場合に一層に効果を増すといいます。
システムを理解するには、まずそれを変えようと努力する必要がある
クルト・レヴィン(Kurt Zadek Lewin)
という言葉があるように私たちは既存のシステムに慣れ親しんでおり、それを変化させようとしないと本当の意味では今関わりのあるシステムを理解できないという深い名言です。
ツァイガルニク効果
ツァイガルニク効果とは、達成できたことよりも達成できないことや中断していることの方がよく覚えているという現象を示す心理学用語です。
レヴィンと旧ソビエトのブルーマ・ツァイガルニクによって提唱されました。
続きが気になるという現象もこの効果の現れであるといえ、ツァイガルニクによると中断させられた作業のほうが記憶されやすいとの研究を発表しています。
CMや広告の世界でよく使われているものですが、うまく使えば勉強やビジネスに応用できるかもしれません。
私たちの完成したいという欲求や完成していない気持ちの悪さ(居心地の悪さ)もこのような効果を生み出している要素の一つかもしれません。
またカウンセリングなどでずっと悩んでいたことが腑に落ちるといつの間にか思い出さない、思い出しにくくなるといった現象が現れるのもこの効果が少し影響しているのかもしれません。
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著
記事監修
公認心理師 白石
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