過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではドナルド・ヘッブと「ヘッブ則(ヘブ則)」について書いていきたいと思います。

ドナルド・ヘッブについて


ドナルド・ヘッブ(Donald Olding Hebb)

ドナルド・ヘッブ(Donald Olding Hebb)は1904年カナダのノバスコシア州チェスターの医師家庭に生まれます。

若い頃より英才教育を受け、作家を目指し大学へ入学します。

フロイトやワトソンらの著作がきっかけとなり、校長の職務を行いながら大学院で心理学を勉強していきます。

大病や妻の事故死などの不遇に遭いますが、ラシュレーの研究所やフロリダの霊長類研究所にてチンパンジーの感情テストなどの研究を行っていきます。

1937年にモントリオールに戻り、神経研究所で心理と神経学的研究を行っています。

1947年にはマギル大学へと戻り、心理学の教授や学科長を務めます。

再婚した妻エリザベスが1962年に亡くなりますが、1966年には三番目の妻と結婚します。

ヘッブは、1960年にカナダ心理学会の会長に、1961年にアメリカ心理学会の会長に選任されます。

ヘッブは、神経心理学の開拓者の一人であり、有名な「ヘッブ則(ヘブ則)」は今でも神経科学の土台になっています。

ヘッブ則(ヘブ則)


ヘッブは、神経活動における「cell assembly(細胞集成体)」という概念を打ち立て、現在の神経可塑性の基礎になる仮説「ヘッブ則(ヘブ則)」を提唱しました。

「細胞Aの軸索が細胞Bを発火させるのに十分近くにあり、繰り返しあるいは絶え間なくその発火に参加するとき、いくつかの成長過程あるいは代謝変化が一方あるいは両方の細胞に起こり、細胞Bを発火させる細胞の1つとして細胞Aの効率が増加する。」 

ドナルド・ヘッブ

ようするにニューロンが次のニューロンを発火させるとその結合は強まるということです。

このような結合により神経伝達が行われ、学習の再生や記憶の保持が行われています。

ニューロンとニューロンをつなぐシナプスが持続的な刺激などにより信号伝達効率が変化することを提唱し、現在の「シナプス可塑性」の基礎となっています。

ヘッブの法則と、この学説が発表されて20年以上も経過した1973年BlissとLømoの研究、1997年Markramらの研究により以下のような現象が発見されています。

◎シナプスの伝達効率が増加する現象「長期増強(Long-term potentiation:LTP)」
◎伝達効率が減少する現象「長期抑圧(long-term depression:LTD)」
◎シナプス前細胞とシナプス後細胞の発火時間差によって結合強度に変化が見られる現象「スパイクタイミング依存シナプス可塑性(STDP; Spike Timing Dependent Plasticity)」

ヘッブ則が唯一の原則というわけではなく、それ以外の原則も報告されており、反ヘッブ則(非ヘッブ則)とも呼ばれています。

回路が過剰に作られるとき一部が選ばれて新しいパターンを形成し、選ばれなかった回路は消滅する「刈り込み」という現象が起きることもわかっています。

特に重要なのが「恒常性の可塑性」で、回路が興奮しすぎたら抑制し、抑制されすぎていたら興奮させるようにバランスを保つ可塑性です。

まだまだ分からないことも多く、新たな研究が期待されています。

■ストレスがないと失うもの(ヘッブの研究から)
ヘッブの研究でストレスを全くない状態を作っての実験が行われました。
その実験結果からストレスがなくなるとストレスに対する抵抗力が衰え、注意力や集中力が散漫になることが明らかになりました。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか

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