「ふてくされてしまう」「拗ねてしまう」ことによって困ってしまったり、悩んでしまうことがあります。

なぜそのような状態になるのか?その状態をどのように理解すればいいのか?どのように扱えばいいのか?カウンセリングの有用性とは?について、この記事では説明と考察を行っていきます。

ふてくされる・拗ねるとは何か?


「ふてくされる」は、漢字で「不貞腐れる」と書くようです。

辞書で意味を調べてみると、

[動ラ下一][文]ふてくさ・る[ラ下二]不平・不満の気持ちがあって、なげやりな態度や反抗的な態度をする。ふてくさる。「―・れて返事もしない」

デジタル大辞泉(小学館)

とあります。

拗ねるとは、「すねる」「スネる」とも記載され、辞書では、

[動ナ下一][文]す・ぬ[ナ下二]
 すなおに人に従わないで、不平がましい態度をとる。「すぐ―・ねる子供」「世を―・ねる」
 わざとよそよそしく振る舞う。「―・ねて気を引く」

デジタル大辞泉(小学館)

とあります。

どちらも不平と不満があった上で、

・投げやりな態度
・反抗的な態度
・わざとらしい態度
・よそよそしい態度
・いじける態度
・素直ではない態度
・人に従わない態度

をとるような時に用いられる言葉です。

「ふてくされる」「拗ねる」は、不平・不満の態度の表れということです。

逆に言えば、不平・不満がなければできない態度でもあります。

不平・不満がすべて「ふてくされる」「拗ねる」という態度へ結びつけるものではありません。

不平・不満からは、

・愚痴を言う
・喧嘩する
・対決する
・悪口を言う
・反抗する
・落ち込む
・悲しむ

などの態度もでることがあります。

ここから見えてくる点として「ふてくされる」「拗ねる」という行為は、直接的な対決や喧嘩などを避ける行為でもあるかもしれません。

意識的行為なのか、無意識的行為なのかは別として、喧嘩などストレートな対決には良い点もありながらも関係の悪化や被害を大きくしてしまう可能性もあります。

飼っている方はわかるかもしれませんが、犬や猫も拗ねます。

さみしかったり、要求が通らなかったり、叱られたり、自分を注目してもらえなかったりするときに多いようです。

人間はもっと複雑で異なる要因もありますが、相手に訴えるひとつの手段として生物的に獲得してきた態度であるといえます。

多くの場合、ふてくされようとしたり、拗ねようとするなど、意識的に行うことはあまりないもので、無意識的に自動的にスイッチが入ったかのように態度として現れる特徴があります。(意図的な場合はあまり当人の悩みにはなりにくいかもしれません)

人にはそれぞれそのようなスイッチがあり、スイッチが多い方もいれば、少ない方もいます。

またその強さや反応、態度の強さも人によって異なります。

スイッチが多く、強烈な反応をしばしば示してしまう場合、非常に苦しい地雷を持って生活しているような感覚になります。

その苦しみは当の本人にしかわからない苦痛があります

その後どれくらいで「ふてくされ状態」や「拗ねる状態」から本来の状態へ移行するかは人によって異なり、ここでは意識的な意図によって影響を与えることもできます。

・不平や不満な態度を意地でも変えたくない
・相手が謝らなければ態度を変えたくない
・態度を改めたいけど折り合いがつけられない
・感情や気持ちに囚われてそれどころではない
・このような状態は良くないので早く変えたい
・この部分に触れられたくない
・素直に受け入れる
・改心する

など捉え方やどのように扱うかも人によって異なります。

また「ふてくされる」「拗ねる」心理的な理由として、

・注目を浴びたい
・プライドが傷つけられた
・相手に断られる
・求めに応じてもらえない
・支配したい
・謝ってほしい
・素直になれない
・大切にされたい
・直接対決したくない
・平和思考
・好意に気付いて欲しい
・不満に気付いて欲しい
・言葉で言うことができない
・喧嘩や対決ができない
・甘えたい
・かまって欲しい
・さみしい
・もっと優しくして欲しい
・もっとわかってほしい
・言わなくても理解して欲しい
・配慮して欲しい
・見捨てられ不安

などさまざまな心情がある可能性があります。

上手く扱われてこなかった?


自分が「ふてくされる」「拗ねる」状態になると、

「また拗ねて!」
「またふてくされて!!」
「なんであんたはいつもそうなの!」
「なんでお前はそんなに素直じゃないんだ!!」
「また~!!」

などのようにその状態に対して否定的な言葉をかけられていることが多かったかもしれません。

今でもそうですが、昔は特にあまりよくない状態であり、治すべき態度である、態度に出すこと自体良くないことのように扱われる傾向がありました。

確かにそういった態度は相手に不快な感情を想起させることも多くあります。

しかし当人にとっては、そのように無意識的に反応してしまうことも多く、上記の言葉に傷つき、余計にその状態から脱せないことが起きてしまうこともあります。

「ふてくされる」「拗ねている」状態を責められ、余計にその状態を強めてしまうということです。

そしてまた家族や周囲の人に責められて、強化するという負のスパイラルになってしまうこともあります。

本人も改善したほうが良いことは分かっていても、そのように言われると余計にしたくなくなってしまうことがあります。

そのような現象を心理学では、「心理的リアクタンス」といい、自分の行動や選択を自分で決めたいという人間本来の欲求が犯されると無意識的に抵抗的な反応が起きることをいいます。

誰かに決められたり、強要されるとなぜか抵抗したくなるのはこの働きがあるためです。

すぐにその態度から離れ、本来の素直さを取り戻せればいいのですが、なかなか難しいこともあります。

そんなときにその苦しみを無視して、「また拗ねて!」「またふてくされて!!」と言われ続けることによって当人は非常に苦しい苦痛を味わい、余計にその状態から脱せないことが起きてしまうことがあるということです。

とくに子供時代に上手く扱われなかったこともあり、いまでもその扱いに困ってしまう方も少なくありません。

今では扱い方が研究され、一般にもこのような記事を書けるような時代になっていますが、昔はそうではありませんでした。

「厳しく育てれば強くなる、甘えさせれば弱くなる」といったシンプルな子育て法や教育法が一般的であり、それ以外の細かい配慮はあまりされる時代ではありませんでした。

そのようなことがスタンダードであって、子供のことを思って厳しくされている方も多かったと思います。

しかしその思いがその当時の子供にはうまく伝わらないことも多かったこともあるかもしれませんが、自分に子供が出来て親になった時に少し理解できるようになることも多いように感じます。

また人によってはそのように全く感じられない事例もあるかもしれません。

自分の本領が発揮できない心理状態


「ふてくされる」「拗ねる」状態は、なかなか自分の本領が発揮されないことが多くあります。

本来の自分の状態では行わない態度や行動をしてしまうことも多いからです。

またその状態から見える景色は今までと違い、悪い方に見えたり、ネガティブに捉えたりしてしまいがちです。

それはまるでいつもの自分のモードが白から黒に反転してしまったかのように変化してしまいます。

その状態に入ると、「自分の本領が発揮できない」という考えはあまり浮かびません。

自分の気持ちの衝動を上手く扱えないこともあり、その感情の苦しみとその行き場を探すことになることも多いのです。

発散や解消は、気をつけておかないと周囲にある「一番行い易いところ」や周囲にいる「一番弱い人」にその衝動のはけ口としてしまうことがあります。

スポーツや趣味、相談などで発散・解消できればいいのですが、いじめ、ギャンブル、多量の飲酒、暴力、DV、虐待、自殺(願望)などに発展することもあります。

また「どうせ○○だから」と最初から悲観的に捉えてしまったり、思ってしまいやすくなることもあります。

その色眼鏡で物事を見ていくのでストレスも溜まりやすくなったり、新たなスイッチが押されてしまうようなことにもなりかねません。

このように当人にとって不都合が多いモードや状態であり、非常に苦痛を感じ、なかなか改善できないケースも多くあったりします。

長い人では、数十年も親しい人物に対して「ふてくされ」や「拗ねる」状態が続いているといった事例もあります。

いつかはその状態から戻ろうとしているものの、自分の気持ちとの折り合いがつかなかったり、いまから戻ろうとするとどうも恥ずかしくなって素直になれないということもあります。

カウンセリングでは、そのような気持ちに寄り添いながら、いろいろな思いに抵抗せず、自然な整理をつけていくようなセッションが行われます。

いろいろな気持ちが複雑に絡み合っていることも多いものです。

整理して、自然な状態に戻したいという当人の意欲があれば、適切に行えばその期待に応えられる可能性は高くなります。

またそんな気持ちが沸かないという方でもカウンセリングを行っていくことで何かしらの方向性が見えていくこともあります。

カウンセリングの有用性


「ふてくされる」「拗ねる」という状態は一部事例を除いて本来、自分が好きでやっているわけではないことが多いものです。

そういったところへの理解も必要です。

そのような状態になったのにも事情や背景があります。

ですので「そのようになるのも仕方なかった」と思える状態になっていくことが大切な場合があります。

それは特にふてくされてしまう・拗ねてしまう自分を自責したり、自己批判されてきた方にとってはとても重要です。

カウンセリングでは相談されるクライエントを中心として行うことが多いため、どのような目的で行っていくかによって進み方が異なります。

・ふてくされ癖や拗ねる癖を治したい
・なぜこんなに出るのかを知りたい
・この苦しさをなんとかしたい
・怒りが上手く扱えるようにしたい
・感情の高ぶりをぶつけるのをやめたい
・あまりでない状態にしたい
・素直になりたい
・話したい
・気持ちをなんとかしたい
・よき理解者になって欲しい

など自分に変化をもたらしたい場合もあれば、「話したい」「聞いて欲しい」という目的の場合もあります。

その目的に添ってカウンセリングは進んでいきます。

自分の気持ちを「理解されなかった」「一人で抱えてきた」という場合、その気持ちに寄り添われ、理解と共感されていくことによってすっきりしたり、癒えるものもあるかもしれません。

言い訳であろうと、なんであろうと自分の話したい内容を正直に話すことが基本的で非常に重要であることを感じるケースも多くあります。

「あんまりこんなこと言ってはいけないんじゃないか?」という内容も話してもいるといいかもしれません。

また「許せない」「諦めきれない」という思いがあることもあり、理解を深めながら心理的なアプローチをすればいいのか?何かしらの行動を行うことがいいのか?を協同してみていきます。

なぜこのような癖になってしまったのか?なぜこのようにでるのかは「世代間連鎖」について知っていくと理解が深まることもあります。

思い通りにしたい気持ちが強くなればなるほど、思い通りにならなかったときに不満が大きく出るものです。

自分の中にある「思い通りにしたい強い思い」にアプローチすることによって良好な結果が得られることもあります。

クライエントが話されていく中で、ひとつずつそのテーマに対して丁寧にセッションを行い、目的地に到達するとカウンセリングは終結にむけて動いていきます。

「ふてくされる態度」や「拗ねる態度」には、自分にも他人からみて可愛いと思えるものもあります。

また自分にとってそんなに苦痛ではないものもあります。

よく完全に直す方向で考えられることもありますが、自分にとってちょうど良い「ふてくされ」や「拗ねる」態度もゴール設定にすると良い場合もあります。

せっかく生物学的に獲得してきた態度でもありますので、活用次第では良いものにもなりえます。

なにより相談されるクライエントによって異なる、最適なゴールがあるように感じます。

※カウンセリングでは、必要に応じて認知行動療法(CBT)、精神力動論的アプローチ、システム論的アプローチ、その他心理療法も組み込んで行うこともあります。


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記事監修
公認心理師 白石

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