「ストレスが溜まると蕁麻疹がでる」「じんましん自体がストレスになっている」などストレスに関係する蕁麻疹(じんましん)で悩まされることがあります。

お薬などでの治療で良くなることは理想的ですが、ストレス性独自の難しさがある場合があります。

「ストレス性の蕁麻疹」に対しての理解とカウンセリングの有用性についてここでは説明していきたいと思います。

蕁麻疹とは


蕁麻疹(じんましん、英語:hives)とは、皮膚の一部が赤く盛り上がる「膨疹」の症状が現れ、しばらくすると消えてしまう皮膚の病気です。

蕁麻と呼ばれるイラクサの葉に触ると同様の症状が出るため、この病名の起源となったようです。

蕁麻疹は一生のうちの15〜20%の人が罹患すると言われている病気です。

多くの場合、短期的な一過性の急性蕁麻疹が多いですが、1ヶ月以上続く慢性的な蕁麻疹もあります。

皮膚科が専門の秀道広・広島大学教授は「じんましんの原因が特定できた例は少ない」と語る。
病院を訪れた患者のうち、光や寒さといった物理的刺激(患者全体の10%)や、食品や薬に含まれる物質のアレルギー(同5.4%)など原因がはっきりと分かった人はわずか。7割が原因不明だったという。

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このように原因が特定されることが少なく、原因がわからない蕁麻疹も多くあるようです。

蕁麻疹の種類


蕁麻疹は大別するとアレルギー性と非アレルギー性に分けられます。

また蕁麻疹には、以下のような種類があります。

・急性蕁麻疹・・・細菌やウイルスなどの感染によって発症して1ヶ月以内のもの
・慢性蕁麻疹・・・発症して1ヶ月以上のもの
・コリン性蕁麻疹・・・汗をかいてピリッと痛むような点状の蕁麻疹
・機械性蕁麻疹・・・皮膚が擦れたりすることによって起こる蕁麻疹
・寒冷蕁麻疹(温熱蕁麻疹)・・・皮膚の急激な温度変化によって起こる蕁麻疹
・日光蕁麻疹・・・日光によって起こる蕁麻疹
・アレルギー性蕁麻疹・・・食物や薬剤、動物や生き物に反応するもの
・薬剤性蕁麻疹・・・薬の影響によって反応する蕁麻疹
・血管性浮腫による蕁麻疹
・病原性蕁麻疹・・・病気が原因の二次性症状としての蕁麻疹

蕁麻疹の症状


赤く盛り上がる「膨疹」の症状を基本として

  • 痒み
  • 熱感
  • まれに痛み
  • ミミズ腫れ
  • 胸や喉の異常(アレルギー性)

蕁麻疹の膨疹(ぼうしん)は、虫刺されのような点状のものもあれば地図状に広がるものもあります。

また消えたかなと思うとまた出てきたり、別の箇所にでてくることもあります。

蕁麻疹の原因


蕁麻疹の原因として

・細菌やウイルス
・何度も擦れる接触
・皮膚温度によるもの
・魚(ヒスタミン中毒)
・食品添加物
・ハウスダスト
・ダニ
・ペット
・花粉
・大気汚染物質
・薬剤
・膠原病や甲状腺疾患など病原性

などがあります。

また

・疲労
・睡眠不足
・ストレス

などの影響も多くあることがわかっています。

帯状疱疹と蕁麻疹


帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、ピリピリと刺すような痛みと赤い斑点や水ぶくれが帯状に発現する病気です。

普段は自分の免疫によって抑えられているヘルペスウイルスが疲労の蓄積、ストレスの蓄積、病気による免疫力低下などによって活動が抑えられず発症に至るとされています。

蕁麻疹では痛みより痒みが強い傾向があり、帯状疱疹では痒みよりも痛みが強い傾向にあります。

帯状疱疹も蕁麻疹と同じく疲労やストレスの蓄積の影響を受けることが多いため疲労回復やストレス発散、休養をうまく取ることが必要です。

ストレス性の蕁麻疹


「心因性の蕁麻疹」という言葉があるほど蕁麻疹は、ストレスや心理的な影響と関係が深くあります。

※心因性とは、心理的な要因によって引き起こされる場合に用いられる言葉です。

上述したように蕁麻疹患者の約70%が原因がわからない蕁麻疹とされています。

その原因がわからない蕁麻疹には、ストレスや心の悩みや問題が深く関わっていると言われています。

ストレスや心理的影響が持続的な場合、蕁麻疹もそれに従って慢性的になる傾向があります。

心因性・ストレス性の蕁麻疹には、

・心身症の蕁麻疹
・うつ病に関連した蕁麻疹
・てんかんに関連した蕁麻疹
・自律神経失調症の蕁麻疹

などがあるとされています。

ストレスを自覚している場合もあれば、医師の「原因はストレスでしょう」といった言葉で認識するようになる場合もあります。

※自覚的にストレス性だと思っても念のため医師による診断や検査を行うことを推奨します。

臨床相談の実例から、ストレスを感じてすぐに蕁麻疹が出る方と少し時間をおいて蕁麻疹が出る方がいるようです。

また対象の誰かと同じ空間にいると蕁麻疹が出たり、対象の場所に行くと蕁麻疹が出たりすることもあるようです。(行く前から蕁麻疹がでることもあります)

ストレスがなくなると蕁麻疹もなくなるケースもあれば、ストレスがなくなっても蕁麻疹が治らないケースがあります。

前者であれば問題もないのですが、後者の場合、何が原因かわからない不安やどうすれば治るかわからないつらさを伴います。

その場合、後述する「神経可塑性(シナプス可塑性)」などによって学習が繰り返され、「癖(くせ)」になってしまっている可能性があります。

原因や作用機序などまだわかっていないところが多い前提でどのようなメカニズムによって「ストレス性の蕁麻疹」が起きてしまうのかを考察していきます。

自律神経失調モデル

一般的によく説明されているのがこの「自律神経失調モデル」です。

精神的ストレスによって自律神経のバランスが失調し、蕁麻疹が誘発されてしまう可能性があります。

自律神経が整ってくると回復していく「蕁麻疹」がこのモデルに該当すると思われます。

ストレスや囚われがなくなることによって改善しやすい傾向が有るように思います。

筋緊張モデル

ストレスや無意識的な力み(りきみ)などによって自分でも気づいていない筋緊張によって発現してくる「蕁麻疹」のモデルです。

リラックスできない、安心できない、気が抜けないなどの状況で起こりやすいかもしれません。

このような状態は自律神経を乱れやすくしてしまいます。

リラックスしたり、緩めたり、ほぐしたりすることが効果的です。

感覚過敏モデル

蕁麻疹をくり返し、蕁麻疹に関係している神経などが過敏になってしまうことにより発現してしまうモデルです。

その背景には、トラウマや恐怖条件付けなどが関連している可能性があります。

過敏性が穏やかになり本来の鈍感性を取り戻すことにより変容するタイプの「蕁麻疹」がこのモデルに該当すると思われます。

学習-神経可塑性(シナプス可塑性)モデル

神経やシナプスは、くり返し長期にわたって使用することによりその神経(シナプス)を強化したり、新たな神経を形成する可塑性(かそせい)という仕組みがあります。

蕁麻疹につながる条件付け学習などによってこのように神経の形成や強化が行われ、発現してしまうモデルです。

長期的に原因不明の「蕁麻疹」に悩まされている場合、このアプローチが経験的に功を奏すことが多くありました。(エビデンスレベルは個人レベルですので低いです)

既存の学習を強化しないようにすることを基本として、消去する、新たな学習で再構築することによって改善するタイプの「蕁麻疹」がこのモデルに該当すると思われます。

学習による神経可塑性を意味付けについて興味深い内容を医学博士のマイケル・モコヴィッツはこう語っています。

慢性痛とは、「学習された痛み」である。

マイケル・モコヴィッツ

私たちが思っている以上に学習性の慢性症状がある可能性を示唆しています。

恐怖・不安モデル

恐怖や不安が強ければ自律神経も乱れやすく、感覚を研ぎ澄まして身構える必要があるため「過敏」になりやすくなる傾向が有るように思います。

恐怖や不安に対してアプローチを行い、それら感情が軽減すると改善がみられる「蕁麻疹」がこのモデルに該当します。

身体化モデル

抑圧された衝動や葛藤、不安、ストレスなどが様々な身体症状となって表れる適応・防衛機制のことを「身体化」といいます。

人間には欲求が満たされない場合や心理的苦痛から自我を適応させたり、守るための働きがあります。

そのことを心理学では「適応機制」とか「防衛機制」といいます。

身体化は以下のようにさまざまな捉え方ができます。

  • 抑圧された衝動や葛藤、不安、ストレスの身体化
  • 相手にストレスを抱えていることを示すための身体化
  • 助けて欲しいという抑圧を表現する身体化
  • もう限界なのに限界と思えない自分に対しての身体化
  • 休む必要があるのに休まないことによる訴えとしての身体化

などのように自分や周囲の状況によってこのような捉え方が役に立つことがあります。

臨床相談の現場から怒りやイライラの抑圧(感情をなかったかのように抑えこむ)、「もう限界!!」というような休養を必要としているといった理由で起こる蕁麻疹が多いように思います。

個人による差異

上記のような6つのモデルが単体もしくは複雑に絡み合って発現している可能性があります。

ストレス性の蕁麻疹に対するカウンセリングと心理療法を多く行ってきた経験から考察を行いました。

人それぞれ気になるところや背景などが異なっており、一概にひとくくりにできないような傾向があるように感じます。

■蕁麻疹に有効なその他
蕁麻疹は、ストレスの蓄積を発散したり、休養をとって疲れを回復したり、栄養バランスや生活習慣を整えていくことが有益な効果を期待できるものとしてあげられます。
抗ヒスタミン剤や漢方薬などの薬剤を利用することも大切です。

「ストレス性蕁麻疹」に対するカウンセリング


病院やクリニックに通い、主治医がいらっしゃるケースではカウンセリングを行うこと、併用することを主治医に伝え、許可を得てはじめてカウンセリングを行うことができますのでご了承ください。

ストレスに関係する、連動する蕁麻疹に対するカウンセリングでは、どのような蕁麻疹がどれくらいの頻度や強さで発現するか、どのようにして悪化し、どのようにして改善するか、どのようなことが悪影響や好影響をあたえているかどうかを改めて理解していく必要性があります。

蕁麻疹の臨床相談の経験では、怒り系感情の抑圧、ストレスの蓄積、限界を超えた心身のストレスといった理由が関係することが多くありました。(エビデンスのレベルは臨床経験ですので低いかもしれません)

もしそのような状況がありましたら、少しずつストレスを発散し、その蓄積を軽くしていくことがクライエントにとって有益な効果を得られるかもしれません。

ストレスという言葉は、幅広く捉えることができ、自分の中で何がストレスになっているか実は気づいていない場合もあったりします。

そういった点を踏まえながら、クライエントのストレスになっている事柄についてカウンセリングを行っていきます。

ストレス性の強い事柄もあれば、ストレスを強くしてしまう性格的傾向や認知的評価をしている場合もあります。

クライエントのペースで話しながらカウンセラーは受容的・共感的にお話を聞いていきます。

話すということは基本的な欲求でありながら、好きなように話せるという機会は一般的に少なく、通常は制約があります。

そのような制約の少ない、秘匿性の高い守られた場所で話していく様はなかなか経験できるものではありません。

自分の中で処理しにくい問題でもそのような場で、共感的・受容的な態度に見守られながら話していくことで気づきが生まれたり、言葉に出して初めて外に出すような経験を通してすっきりしたり、気持ちが楽になっていったりします。

出来事などのストレスだけではなく、蕁麻疹自体がストレスになっていることもあり、「蕁麻疹⇒ストレス⇒自律神経の乱れやストレスの蓄積⇒蕁麻疹」といった悪循環が起こっている場合も少なくありません。

そのためストレスだけではなく、症状自体のストレスも含めて「心的苦痛」や「つらさ」にスポットを当ててカウンセリングを行う場合もあります。

慢性化している場合はなおさら「つらい」ものです。

クライエントの状況から上記に挙げた

・自律神経
・筋緊張
・感覚過敏
・学習-神経可塑性(シナプス可塑性)
・恐怖や不安
・身体化

に対してアプローチを行っていきます。

上記の6つのモデルを理解していくことによって、原因がわからない苦しみが癒されたり、希望が持てるようになることもあります。

少しずつ気持ちが楽になり、蕁麻疹も自然に改善が進んでくるとさらに気持ちが軽くなり、自律神経にも身体にも好影響を与えます。

「なんであんなに悩まされていたんだろう」という状態へ持っていけるように一歩ずつ丁寧に進めていきます。

どのように焦りを扱うか、どのように改善していくは人によって異なることもあり、カウンセリングの中でクライエントに最適化していきます。

ストレスの耐性(抵抗力)や回復力、対処能力(コーピング能力)を向上させることにより「ストレスに強くなる」といった成長を加える事ができるのもカウンセリングならではかもしれません。

そのような自己成長につながると、カウンセリング終了後の人生において大きな心的財産をつくることに繋がります。

ストレス許容量が増えたり、ストレスを感じにくくなることで「蕁麻疹」が出にくい状態へ持っていくことが大切です。

なによりあの蕁麻疹やストレスに悩まされない毎日が過ごせますように大切にカウンセリングを行っていきます。


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