「ストレスで頭痛症状が出る」「ストレスが溜まると頭痛がする」「ストレスが溜まると頭痛がひどくなる」「頭痛がストレスになっている」といったストレスと関係する慢性的な頭痛に悩まされることがあります。
お薬などでの治療で良くなることは理想的ですが、ストレス性独自の難しさがある場合があります。
ストレス性の頭痛に対しての理解とカウンセリングの有用性についてここでは説明していきたいと思います。
もくじ
頭痛とは
頭痛(英語:Headache)とは、頭部の全体もしくは一部に痛みが発生する症状の総称です。(専門的には、眼窩外耳孔戦、項部より上方)
頭痛には、脳などの病気による緊急性の高い二次性頭痛と「頭痛持ちの頭痛」と呼ばれる病気によって二次的に起こるものではない一次性頭痛があります。
二次性頭痛は、経験したことのないような頭痛や人生最悪の頭痛といった強い頭痛を訴えることが多く、一刻も早く病院にて検査と診断を受けることが必要です。
一次性頭痛は、
・片頭痛(偏頭痛)
・緊張型頭痛
・群発頭痛
の3つに分類されています。
片頭痛(偏頭痛)
片頭痛(偏頭痛)は、ズキズキ・ガンガンと脈打つような痛みが特徴的で、両方にでることもありますが、片方に痛みが出ることが多い頭痛です。(数時間から数日)
吐き気やめまいが伴いやすく、周期的に起こるため日常生活に支障をきたしてしまうことも少なくありません。
前兆として目の前がチカチカしたり、ギラギラする閃輝暗点があったり、肩こり、イライラ、空腹感、手足のしびれや脱力感などの症状が出ることもあります。
痛みが出た時にマッサージや体を動かしてもあまり良くならず、逆に悪化することもあることも特徴的です。
片頭痛(偏頭痛)の原因や病態はすべてが明らかになっているわけではないようですが、脳血管の急激な拡張や 脳血管・三叉神経の末梢起源説、脳幹の中枢起源説などがあります。
ストレスに関係することも多く、生活の乱れ、睡眠の乱れ、気圧や気候の変化、生理や月経、ワインやチーズ・チョコに含まれるチラミン、ラーメンやファーストフードに含まれるグルタミン酸などが頭痛を誘引することもあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、後頭部から首筋にかけてギューっと締め付けられる痛みがあったり、頭が重い頭重感がある頭痛です。
片頭痛のような発作的なものではなく、頭を動かしても痛くない場合が多いとされています。
夕方につれて強くなる傾向があり、肩こりや首こりが伴うことが少なくありません。
パソコンやスマホなど目をよく使う場合や筋緊張を起こしやすい状況の方に多いとされています。
こちらも原因が完全には明らかになっていないようですが、交感神経の亢進から頭部筋肉における血流障害や頭部筋肉自体の異常によって起こると考えられています。
片頭痛(偏頭痛)とは違い、肩こりや首こり、頭をほぐすことが効果的です。
群発頭痛
群発頭痛は、片側の目の奥からこめかみにかけて七転八倒するような強い痛みが出る頭痛です。
毎日同じ時間に起きることが多く、夜中に起きることが多い頭痛です。
頭痛が出ている時期を群発期といい、その時期以外はすっかり治ったかのように頭痛が出ない特徴があります。
狭心症薬のニトログリセリンやアルコールが誘引することが多いとされています。
これも原因が明らかになっていませんが、視床下部の異常や目の奥を走っている太い血管(内頸動脈)の拡張と周囲の炎症が関係していると考えられています。
■あたまの神経痛
あたまにも神経痛があり、顔などの前面における三叉神経痛(顔面神経痛)や後頭部の後頭神経痛があります。
ビリっと電気が走るような瞬間的な痛みが特徴的です。
ストレス性の頭痛
ストレス性頭痛という病名はありませんが、実感としてストレス性頭痛という言葉が一般的に使われます。
自覚している場合もあれば、医師の「原因はストレスでしょう」といった言葉で認識するようになる場合もあります。
※自覚的にストレス性だと思っても念のため医師による診断や検査を行うことを推奨します。
臨床相談の実例から、ストレスを感じてすぐに頭痛が出る方と少し時間をおいて頭痛が出る方がいるようです。
また対象の誰かと同じ空間にいると頭痛が出たり、対象の場所に行くと頭痛が出たりすることもあるようです。(行く前から頭痛がでることもあります)
ストレスがなくなると頭痛もなくなるケースもあれば、ストレスがなくなっても頭痛が治らないケースがあります。
前者であれば問題もないのですが、後者の場合、何が原因かわからない不安やどうすれば治るかわからないつらさを伴います。
その場合、後述する「神経可塑性(シナプス可塑性)」などによって学習が繰り返され、「癖(くせ)」になってしまっている可能性があります。
原因や作用機序などまだわかっていないところが多い前提でどのようなメカニズムによって「ストレス性の頭痛」が起きてしまうのかを考察していきます。
自律神経失調モデル
一般的によく説明されているのがこの「自律神経失調モデル」です。
精神的ストレスによって自律神経のバランスが失調し、
・脳血管の急激な拡張
・脳血管・三叉神経の末梢を起源とする異常
・脳幹の中枢を起源とする異常
・頭部筋肉における血流障害
・頭部筋肉自体の異常
・視床下部の異常
・目の奥を走っている太い血管(内頸動脈)の拡張と周囲の炎症
などの異常により頭痛が誘発されてしまう可能性があります。
自律神経が整ってくると回復していく「頭痛」がこのモデルに該当すると思われます。
ストレスや囚われがなくなることによって改善しやすい傾向が有るように思います。
筋緊張モデル
ストレスや無意識的な力み(りきみ)などによって自分でも気づいていない筋緊張によって発現してくる「頭痛」のモデルです。
リラックスできない、安心できない、気が抜けないなどの状況で起こりやすいかもしれません。
首コリや肩こりを改善すると頭痛も軽減するといった連動もあるためリラックスしたり、緩めたり、ほぐしたりすることが効果的です。
感覚過敏モデル
頭痛をくり返し、頭痛に関係している神経などが過敏になってしまうことにより発現してしまうモデルです。
その背景には、トラウマや恐怖条件付けなどが関連している可能性があります。
過敏性が穏やかになり本来の鈍感性を取り戻すことにより変容するタイプの「頭痛」がこのモデルに該当すると思われます。
学習-神経可塑性(シナプス可塑性)モデル
神経やシナプスは、くり返し長期にわたって使用することによりその神経(シナプス)を強化したり、新たな神経を形成する可塑性(かそせい)という仕組みがあります。
頭痛につながる条件付け学習などによってこのように神経の形成や強化が行われ、発現してしまうモデルです。
長期的に原因不明の「頭痛」に悩まされている場合、このアプローチが経験的に功を奏すことが多くありました。(エビデンスレベルは個人レベルですので低いです)
既存の学習を強化しないようにすることを基本として、消去する、新たな学習で再構築することによって改善するタイプの「頭痛」がこのモデルに該当すると思われます。
医学博士のマイケル・モコヴィッツは慢性痛をこのように定義しています。
慢性痛とは、「学習された痛み」である。
マイケル・モコヴィッツ
恐怖・不安モデル
恐怖や不安が強ければ自律神経も乱れやすく、感覚を研ぎ澄まして身構える必要があるため「過敏」になりやすくなる傾向が有るように思います。
頭痛の痛みが怖い「頭痛恐怖」、頭痛がでることに不安を感じる「頭痛不安」などによって恐怖であったり、不安感が強くなりますので自律神経が乱れやすく長期化してしまう傾向があります。
恐怖や不安に対してアプローチを行い、それら感情が軽減すると改善がみられる「頭痛」がこのモデルに該当します。
身体化モデル
抑圧された衝動や葛藤、不安、ストレスなどが様々な身体症状となって表れる適応・防衛機制のことを「身体化」といいます。
人間には欲求が満たされない場合や心理的苦痛から自我を適応させたり、守るための働きがあります。
そのことを心理学では「適応機制」とか「防衛機制」といいます。
身体化は以下のようにさまざまな捉え方ができます。
- 抑圧された衝動や葛藤、不安、ストレスの身体化
- 相手にストレスを抱えていることを示すための身体化
- 助けて欲しいという抑圧を表現する身体化
- もう限界なのに限界と思えない自分に対しての身体化
- 休む必要があるのに休まないことによる訴えとしての身体化
などのように自分や周囲の状況によってこのような捉え方が役に立つことがあります。
個人による差異
上記のような6つのモデルが単体もしくは複雑に絡み合って発現している可能性があります。
ストレス性の頭痛に対するカウンセリングと心理療法を多く行ってきた経験から考察を行いました。
人それぞれ気になるところや背景などが異なっており、一概にひとくくりにできないような傾向があるように感じます。
ストレス性頭痛に対するカウンセリング
病院やクリニックに通い、主治医がいらっしゃるケースではカウンセリングを行うこと、併用することを主治医に伝え、許可を得てはじめてカウンセリングを行うことができますのでご了承ください。
ご相談に応じている頭痛は、二次性頭痛以外の緊急度の高くない頭痛全般です。
ストレスに関係する、連動する頭痛に対するカウンセリングでは、どのような頭痛がどれくらいの頻度や強さで発現するか、どのようにして悪化し、どのようにして改善するか、どのようなことが悪影響や好影響をあたえているかどうかを改めて理解していく必要性があります。
ストレスという言葉は、幅広く捉えることができ、自分の中で何がストレスになっているか実は気づいていない場合もあったりします。
そういった点を踏まえながら、クライエントのストレスになっている事柄についてカウンセリングを行っていきます。
ストレス性の強い事柄もあれば、ストレスを強くしてしまう性格的傾向や認知的評価をしている場合もあります。
クライエントのペースで話しながらカウンセラーは受容的・共感的にお話を聞いていきます。
話すということは基本的な欲求でありながら、好きなように話せるという機会は一般的に少なく、通常は制約があります。
そのような制約の少ない、秘匿性の高い守られた場所で話していく様はなかなか経験できるものではありません。
自分の中で処理しにくい問題でもそのような場で、共感的・受容的な態度に見守られながら話していくことで気づきが生まれたり、言葉に出して初めて外に出すような経験を通してすっきりしたり、気持ちが楽になっていったりします。
出来事などのストレスだけではなく、頭痛自体がストレスになっていることもあり、「頭痛⇒ストレス⇒自律神経の乱れや筋緊張⇒頭痛」といった悪循環が起こっている場合も少なくありません。
そのためストレスだけではなく、症状自体のストレスも含めて「心的苦痛」や「つらさ」にスポットを当ててカウンセリングを行う場合もあります。
慢性化している場合はなおさら「つらい」ものです。
クライエントの状況から上記に挙げた
・自律神経
・筋緊張
・感覚過敏
・学習-神経可塑性(シナプス可塑性)
・恐怖や不安
・身体化
に対してアプローチを行っていきます。
上記の6つのモデルを理解していくことによって、原因がわからない苦しみが癒されたり、希望が持てるようになることもあります。
少しずつ気持ちが楽になり、頭痛も自然に改善が進んでくるとさらに気持ちが軽くなり、自律神経にも身体にも好影響を与えます。
「なんであんなに悩まされていたんだろう」という状態へ持っていけるように一歩ずつ丁寧に進めていきます。
学習性の癖になっていることも多く、焦りが禁物です。
「まだ治ってない」「まだ治ってない」と毎度のように刷り込んでいくようなことが起きないように気をつけなければなりません。
どのように焦りを扱うか、どのように改善していくは人によって異なることもあり、カウンセリングの中でクライエントに最適化していきます。
ストレスの耐性(抵抗力)や回復力、対処能力(コーピング能力)を向上させることにより「ストレスに強くなる」といった成長を加える事ができるのもカウンセリングならではかもしれません。
そのような自己成長につながると、カウンセリング終了後の人生において大きな心的財産をつくることに繋がります。
なによりあの痛みやストレスに悩まされない毎日が過ごせますように大切にカウンセリングを行っていきます。
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記事監修
公認心理師 白石
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