ストレスは「溜まって、発散して」という、まるで呼吸のように自然と出入りしているものですが、蓄積したり、限界値を越えることがあります。

「どのようなストレスが溜まっているのか?」「ストレスが溜まる状態とは?」「ストレスの限界やそのサイン」について解説し、カウンセリングの有用性について説明していきます。

どのようなストレスが溜まっているのか?


「ストレスが溜まって限界」という状態は、どのようなストレスの蓄積によって生まれましたでしょうか?

  • 会社でのストレス
  • 学校でのストレス
  • 主婦コミュニティーでのストレス
  • 老人コミュニティーでのストレス
  • 家族内でのストレス
  • 友人のストレス
  • 孤独・孤立ストレス
  • お金のストレス
  • 働く(失職・転職・就職)ストレス
  • 不妊・結婚ストレス
  • 病気や症状によるストレス
  • 性格や気質に対する自己ストレス
  • 希望を失ったストレス

などがストレスを感じる代表的なものです。

調子や気分が良い状態は余裕を生み、その容量があたかも大きくなったかのように寛容になります。

逆に気分が悪く、調子が良くないときは過敏に反応してしたり、その容量が小さくなったかのように大きくストレスを感じてしまいます。

ストレス以外に「自分の状態の良さ」もストレスに大きく関係しています。

ストレスが溜まっている状態とは?


「ストレスが溜まる」という言葉は一般的によく用いられる表現で、ストレスが重く感じたり、負担を感じると自然と出てくる言葉です。

ストレスを許容できる量(以下キャパシティー)は人によって異なるため、どのくらいで溜まった感じがするかは千差万別です。

そのような個人差がある前提で「ストレスが溜まっている状態」とはどのような要因でつくられてしまうのでしょうか?

多くの場合、ストレスがある上に、さらにストレスを感じることを繰り返した時に「ストレスが溜まる」という感覚が生まれやすくなります。

同じストレスを持続的に受ける場合もあれば、新たなストレスが積み重なる場合もあります。

またストレスが発散できないような状況が続くことによっても「ストレスが溜まる」という感覚が生まれます。

ストレスが発散できないばかりか、ストレスが発散できないことによるストレスの影響を感じてしまうこともあります。

多くのストレスは時間とともに自然に忘却したり、消化していくことが多いものです。

忘れることができないストレスや消化することが困難なストレスは持続的なストレスになりやすく、ストレスが溜まってしまう原因になります。

このように

  • ストレスが持続的に重なる
  • ストレスの発散ができない
  • 忘れることができないストレスがある
  • 消化できないストレスがある
  • 執着していることがある

などの要因によって「ストレスが溜まってしまう状態」を作ってしまいます。

ストレスが溜まっているサイン


ストレスが溜まっているかどうかを自分で判断することは、時に難しいことがあります。

身体に症状が出て、周囲から「疲れてるんだよ」と言われたり、医師から「ストレスでしょう」といった診断理由を言い渡されることで自覚することがあるからです。

一般的なストレスのサインとして「疲労」と「風邪」があります。

どちらも身体を休め、活動をできないようにして頭やこころの活動も休ませ、心身の回復を優先的に行います。

現代社会では、疲労や風邪などの理由では休めない仕事や学業もあり、また休んでいても頭の中では仕事や学業のことを考えるなど、しっかり休むことができない場合もあります。

そういった点を鑑みて、会社や企業に対してストレスチェックが義務化されたりしています。

ストレスという言葉は、一般的に精神的・心理的ストレスを指している場合が多いですが、実際は身体的なストレスも含まれます。

疲労や風邪以外に精神的・身体的ストレスが溜まってくると現れやすいサインとして以下のようなものがあります。

身体的症状として

  • 頭痛やめまい
  • 首のこりと肩こり
  • 睡眠リズムの乱れ
  • 不眠や中途覚醒などの睡眠障害
  • いつもより体の調子が悪いという感覚
  • 食事量が増える・食べれなくなる
  • 体重の増減
  • だるい(倦怠感)
  • タバコやお酒が増える
  • 胃腸の調子が悪くなる
  • 吐き気や嘔吐
  • 立ちくらみ
  • 動悸や息切れ
  • 自律神経が乱れる
  • 生活習慣が乱れる
  • 喋りたくなくなる(口数が減る)
  • 多汗
  • 力が抜けない
  • 慢性的な緊張状態
  • 免疫力の低下
  • 物忘れが多い
  • 理由もなく涙が出る
  • 原因不明の症状がでる

などがあります。

睡眠は、疲労回復やあたまの整理(ストレスの消化や忘却)に関係するためとても大切になります。

下図もストレスによって起こる可能性がある身体的な症状や病名です。

図5 ストレスによって身体に現れる症状

上図引用:文部科学省 第2章 心のケア 各論

精神的・心理的症状として

  • めんどくさくなる
  • やる気が出ない
  • ぼーっとしてしまう
  • ミスや失敗が増える
  • 感情にとらわれる(怒り、悲しみ、落ち込みなど)
  • 感情的になる(情緒不安定傾向)
  • 好きだったものに興味が持てなくなる
  • 笑えなくなる
  • 孤独感を感じる
  • イライラしやすくなる
  • 怒りやイライラが抑えられず表に出てしまう
  • 気が使えないようになる
  • 音などに対して敏感になる
  • 言い訳が多くなる
  • 鬱っぽくなる
  • 不安が多くなる
  • 傷つきやすくなる

などがあります。

適応的な症状として

  • 明日が来ることが怖い(憂鬱)
  • 朝起きるのがつらい
  • 逃げたくなる
  • 回避したくなる
  • 辞めたくなる
  • 死にたくなる
  • 引きこもりたくなる
  • 全てを捨てたくなる
  • 誰も知らないところへ行きたくなる
  • 人生に何の意味があるのかわからなくなる

などがあります。

これらの症状が決して悪いものでもなく、一時的に症状として現れ消えていくものも多いものです。

しかし持続的に症状に悩まされたり、慢性化していくことにより

  • 病気
  • 適応障害
  • うつ、神経症、不安障害などの精神疾患
  • 心身症
  • 燃え尽き症候群
  • PTSD
  • 自殺や自殺未遂

に発展してしまうことがあります。

ストレスの限界とサイン

自分が耐えることができる、溜めることができるストレスの限界値はどれくらいでしょうか?

自分のこころのキャパシティーを正確に測ったり、正確に自覚することは容易ではありません。

しかしおおよそのキャパシティーの把握とストレス限界値は感覚的に自覚しているものです。

上記のような身体的・精神的症状が慢性的になり、適応的な問題がでてくることにより自分だけでは対応できないという限界値を超えます

そういった時に病院へ行ったり、他者へ相談するケースが多いと思います。

しかしそのような限界値を超えてもなお、自分の力で乗り越えようとする方もいます。

その行為が功を奏せば成功体験になりますが、失敗すれば疲弊してしまいます。

ほんとうに危険な限界値やそのサインは、生理学者ハンス・セリエのストレス反応モデルでいう「疲憊期(ひはいき)」に該当します。

セリエのストレス反応モデル


ストレス反応には、

  • 警告期のショック相
  • 警告期の反ショック相
  • 抵抗期
  • 疲憊期

があります。

警告反応期は、ストレッサーが加えられた直後の時期ですので最初に抵抗力が低下するショック相を経て、抵抗力が高まる抗ショック相へと移行します。

警告期のショック相は、ストレッサーによるショックに適応できていない緊急反応状態のため

  • 血圧・体温・血糖値の低下
  • 血液の濃度の上昇
  • 意識の低下
  • 筋弛緩
  • 副腎皮質の縮小
  • 脊髄反射の減弱
  • 急性胃腸潰瘍の発生

などの反応が起こります。自律神経のバランスも崩れている状態です。

警告期の反ショック相(抗ショック相)は、ショックに対する生体の適応・防衛反応が働き始めますので

  • 血圧・体温・血糖値の上昇
  • 副腎肥大(副腎皮質ホルモン分泌)
  • 胸腺リンパ組織の萎縮
  • 筋緊張の増加

などの反応により交感神経の活動が活発になりますので、過活動や過覚醒などの問題が起きることもあります。

次にストレスに耐えて適応するようになる時期「抵抗期」があります。

持続的なストレッサーとストレス耐性が拮抗している安定した時期ですが、この状態を維持するにはエネルギーが必要です。枯渇すると「疲憊期(ひはいき)」に入ります。

疲憊期では、

  • 心拍・血圧・血糖値の低下
  • 体温の低下
  • 胸腺やリンパ節の萎縮
  • 副腎皮質の機能低下
  • 衰弱
  • 身体機能の異常

などが起こり、命が危険な場合もあります。

図4 ストレス反応の3相期の変化
(ハンス・セリエ 現代社会とストレス 法政大学出版局 1988)

上図引用:文部科学省 第2章 心のケア 各論

限界値のサインとして疲憊期の症状に注意する必要がありますが、そのように自分が枯渇する前に対処しなければなりません。

ある程度のラインで病院へ行ったり、ストレスに対処する行動的な活動や精神的な対処を行うことが必要です。

カウンセリングの有用性


日本ではカウンセリングのイメージとして「病んだら行くところ」といったイメージが未だあるかもしれませんが、欧米では自分と向き合い、自分を成長させるために活用されています。

ストレスに対処することをストレスコーピングと言いますが、コーピング力が高い人ほど人に相談することができる能力が高いとされています。

自分だけで対処することももちろん大切ですが、「人との関わり」という資源を使える人と使えない人では人生の豊かさに違いが出てしまいます。

日常生活で全く関係のない第三者であるカウンセラーに相談することは、友人や知人に相談するものと大きな違いがあります。

受容的・共感的な態度に見守られながら自分の素直な気持ちを言葉に出していく作業は特別なものです。

カウンセリングではアドバイスを行うこともありますが、基本的にはクライエントの主体性を重んじます。

クライエント自身が主体的に話しながら、自分で目標を決め、自分で気づき、自分で成長させていくのがカウンセリングでもあります。

それをサポートする、その場を提供するのがカウンセラーです。(黒子のような存在です)

聞いてもらってスッキリする「受動的な側面」と自分自身と向き合い乗り越える「主体的な側面」を併せ持ちます。

ストレス問題をテーマにするカウンセリングでは、その問題や悩みの解決、改善、軽減を目的に行われますが、「ストレスに強くなりたい」という潜在的な要望に対してセッションを行うことも少なくありません。

ストレスに強くなるには、

  • ストレスに対する抵抗性や耐久性
  • 認知的評価
  • 脆弱性
  • 対処能力
  • ストレスから回復する力(レジリエンス)

などが重要な要素となります。

これらの能力について理解したり、適切な認知に修正・変容したり、行動として実践していくことが大切です。

自分が持っている「認知的評価の偏り」や「こころの奥に刺さっている情動や欲求」、「否認している自分と理想化している自分」などにアプローチしていくことによりこれらの能力が向上していきます。

最初は、ストレスが溜まっていてという入口から入り、カウンセリングが進む中で、人生において大切にしているドラマティックな信念に行き当たることもあります。

そういったところに向き合っていく中で人生の「捉え直し」が行われたり、大きな感動に包まれたりもします。

今まで放置してきた問題をスッキリさせていくことで、こころのキャパシティーが大きくなったり、ストレス対処能力が向上したり、人間としての成長が行われたりします。

初めての方ほど、「もっと早く相談しておけばよかった」というお声をいただくことも多いものです。

しかし、綺麗事ばかりではありません。

泥沼のような苦しい状況に向き合ったり、乗り越えていく作業に苦痛を感じることもあります。

そのような苦境を乗り越えることにより自己効力感が蘇り、自信が生まれてきます。

そしてカウンセリングが終了した後の人生に「自分の力」として、その恩恵が得られます。

当カウンセリングは、ストレスによる身体的症状と精神的症状に対する相談実績が非常に多くあります。

もちろん医師の診断と治療が優先されますが、ストレス性の症状や病気はなかなか治療が難しい場合があります。

ストレスがなくなっても症状が改善しないといったケースがあり、どこに相談していいかわからないと困っている方々が多くいらっしゃいます。

そういった方々がどのように乗り越え、何を知っていた方がいいか?何を捨てることが良い結果を生むか?をクライエントに応じて説明しています。

最初はつらい状況からのスタートですが、地道に続けることにより症状が改善し、希望が見え、活力がみなぎり、エネルギーの回転効率が高くなります。

元気になってくると動きやすくなるのでやれることに幅が出てきます。

おわりに


「ストレスが溜まってもう限界!!」という状況に関することを説明していきました。

人生にはそのような時期が誰にでもあります。

そこを乗り越える経験をすると一回り大きくなると先人たちは言います。

現代には現代の乗り越え方があります。

「限界」は多くの人にとって「人の手を借りる大切な時期」であったりします。

カウンセリングだけでなく、周囲の方に協力してもらったり、理解してもらうことがいかに大切かわかる時期でもあります。

暗闇の渦中では絶望的傾向が強まりますが、終わってみれば「この機会があってよかった」と肯定的なものとして捉えることができたりします。

絶望的な気持ちが強い方は、その気持ちに惑わされないでください

人間は精神的ショックを味わうと希望を失いやすくなるものです。

そういう時期があったりします。

そういう時期なのでそのように見えてしまいます。

その時期が終わり、回復してくると「あれはなんだったんだろう」と嘘のように思えるものです。


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記事監修
公認心理師 白石

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