「誰も自分のことをわかってくれない」「自分の理解者はいない」という気持ちになることがあります。
それは寂しさであったり、孤独感につながることもあります。
そんな気持ちが出る時とカウンセリングの有用性について考えていきたいと思います。
もくじ
誰もわかってくれない
「自分のことを誰もわかってくれない」
「今の苦しみを誰も気づいてくれない」
「自分を理解してくれる人は誰もいない」
といったこころの苦しみを抱えることがあります。
命の危険性があるほど重い苦悩の場合もあれば、悩みまではいかないが「なぜだろう?」といった比較的軽い場合もあります。
一時的な場合もあれば、長期にわたって苦悩することもあります。
人によってその感じ方も異なりますので一概に言えませんが、この苦しみは感じたことがなければわからない苦悩があります。
誰もわかってくれないと思うのはなぜか?
「誰もわかってくれない」と感じることは、人によって千差万別な状況や背景、内容がありますので一言で説明することはできません。
そういった前提をもとにさまざまな理由について考えていきます。
理由①家族や親しい人がわかってくれない
他人はともかく自分の家族や親しい友人が、自分を「理解してくれない」「わかってくれない」という場合によく湧いてくる気持ちです。
理解してくれない、わかってくれないというだけでなく、その問題となった原因が家族や友人にある場合があります。
言葉の暴力、虐待、ネグレクト、配慮がない、自分を傷つけてくるなどのような状況です。
また自分が抱えている問題を「そんなことで悩んで」といったひと蹴りであしらわれるような場合も同様に感じてしまうものです。
そこには「一番近い人なのになぜ?」「家族なのになぜ?」という思いが混じり合って出るかもしれません。
我慢しなければ仕方がないこともあれば、家から出るほうが良い場合もあれば、児童相談所など公的機関を利用して保護されなければいけないこともあります。
慢性的に苦しい状況が続いている場合、こちらや公的機関の相談を行うことを推奨しています。
理由②こころが通じ合う感覚がない
親しい人や友人、学校や職場、主婦のコミュニティー、老人同士のコミュニティーなどで心が通じ合う感覚がないという場合が多くなると寂しさや孤独感とともに「わかってくれる人がいない」「理解してくれる人がいない」「通じ合う人がいない」という思いが湧いてきます。
みんなが通じ合っているところに「通じ合えない何か」がある場合もあります。
理由③通じ合うところへの興味
人によってはみんなで楽しい雰囲気を作ることへ興味を持っている人もいれば、奥深い人間性について語り合いたい人もいます。
人間同士がコミュニケーションを取るときに「何に興味があるのか?」によって通じ合えるかどうかが異なります。
またコミュニケーションは相手がいますので、相手の興味や好みに合わせるか?合わせないか?によって通じ合える感覚があるか否かに影響を与えます。
理由④ずっとわかってもらえなかった・理解されなかった
わかってほしいことがあったり、理解してほしいことがあってもわかってもらえなかったり、理解されなかったり、気づいてもらえなかったり、言えなかったりすることによりその思いが非常に強く蓄積されてしまうこともあります。
どうにか理解してほしい、わかってほしいという思いが続いている場合もあれば、諦めているけどなぜか湧いてくるという場合もあります。
理由⑤マイノリティー
マイノリティーとは少数派や社会的少数派という意味を表します。(反対はマジョリティー)
個性的な性格や特徴であったり、あまり知られていないような病気や症状、障害を持っている場合、多数派の人たちから理解されにくく、わかってもらうことは難しくなります。
「普通はこうでしょ」という概念では規定できないものを持っている方は否定された気持ちになってしまうことも多くあります。
カウンセリングなどを行なっていくと活用によっては非常に豊かな個性でもあったりします。
また周囲の認知へ働きかけることも大切になることもあります。
理由⑥世代間の違いや知識不足
世代によって教育法や子育ての考え方は違っていました。
古くは「厳しくすれば強くなる、甘やかせば弱くなる」という一点のみが強調された時代もありました。
それはいまでも大切な要素でもありますが、極端に子供を厳しくすることもあり、心を無視した子育てや教育も多くありました。
また現代では心理の研究が進められ、遺伝的な問題や精神疾患、慢性疲労症候群などの疾患によって「そういった原因でうまくできないことがある」ということが少しずつ知られるようになってきています。
「怠け者だから」「自分に甘いんだ」ということで安直に判断されていたこともいまでは妥当ではない考えになってきています。
かといってそこに甘んじるのも当人にとって適切ではないこともありますので、バランス感覚も大切かもしれません。
理由⑦自分が自分をわかってあげられていない
自分が自分をわかってあげられていない時もこのような思いがでることがあります。
しかしそれは簡単なものではありませんので仕方ないこともあります。
人のことはよく見えるのに自分のことはなかなか見えないことも多くあると思います。
バイアスなどもあり、良いところや悪いところ、出ている思いと相反する思いなど全人的に自分を自分が見るということは非常に難しいものです。
また人に合わせすぎて自分の意見がわからなくなるような経験を多くされている場合、自分がわからなくなってしまうこともあります。
カウンセリングなどを行うと自己理解が進みますので、アウトプットをすることによって気づくことができる領域もあるように思います。
理由⑧誰かに理解されたい・わかってほしいと思う欲求
誰かに理解してほしい、わかってほしい、という欲求や思いがでることによってその気持ちが強くなることもあります。
この欲求や思いは悪いものではありません。
人との関わりが薄くなりやすい、自分のスペースを確保しやすいこの時代にとって理解される、わかってもらう経験は非常に良い体験となります。
しっかり理解され、わかってもらうことで「もういいかな」という状態に持っていける場合もあります。
カウンセリングではそのような方向にセッションを進めていくこともあります。
理由⑨非常に重いものを抱えている
非常に重たい苦悩、罪悪感、絶望感、重責などを抱えている場合も「わかってほしい」「理解してほしい」気持ちが強くなるものです。
1人でずっと抱えてきた場合、誰かに相談してみてください。
すぐにそうできない場合は、カウンセリングや第三者機関も利用してみてください。
少しでもこころの負担を軽減させる必要があるかもしれません。
理由⑩ずっと我慢してきた
ずっと我慢してきた、誰にも言わないようにしてきた、相談しないようにしてきた、などの状況でも強くなる場合があります。
その信念は当人にとって美学でもあります。
しかし「わかってほしい」「理解してほしい」という気持ちがぬぐえない場合、特例を自分の中で設定して一時的に外に出すことも自分のために検討してあげることも良いかもしれません。
なかなかそういった特例ができな状況も多く遭遇してきました。
そういった場合にうまくカウンセリングなどをご活用ください。
自分の相反する気持ちや信念、美学を話しながら自然に見えてくる景色があるように思います。
また自分では悩んでいないと思っていても「実は悩んでいたんだ」と肯定的に気づけることもあります。
みんなわかってほしい・理解してほしい?
多かれ少なかれ他人から理解されたり、わかってもらうことは誰でも心地よいものです。
コミュニケーションも相手を理解したり、わかってあげることを先にするとお返しが帰ってくる機会も多くなる傾向があります。
ビジネスにおいても「お客様が何を望んでいるか?」という視点は、お客様を理解し、わからなければ意味がありません。
相手を理解する・わかるという行為は行えば「できた」というものではなく、相手が「わかってもらえた」「理解してもらえた」と思わなければ意味がないということです。
ここにズレが生じることも多くあります。
人によってどこまでわかってほしいか?どこまで理解されたいか?には違いがあるということです。
逆に言えば自分が
・どこまでわかってほしいか?
・どこまで理解されたいか?
ということをわかっていくことも大切です。
諦めとバランス感覚
上記のようにみんなある程度の「わかってほしい」「理解されたい」欲求を多かれ少なかれ持っています。
そんななか自分が理解され、わかってもらうには、相手を理解し、わかってあげることをしなければなかなか得られるものではありません。
またどこまでの深さで理解されるか?ということに関しては、非常に難しい点があります。
人間は、一つの生物にも関わらず実に多様な個性と性格を持っています。
表層的なところで言えば、認識を共有できることも多いですが、信念や生き方、考え方になると似ている方はいると思いますが、瓜二つといった「同一性」はあまり感じられないかもしれません。
経験したことや経験値、遺伝子も異なるのである程度は理解されても「完全に理解される」「完全にわかってもらえる」という感覚がなかなか得られにくいものです。
そういった点を踏まえてある程度のところで「諦める」「納得する」ということも必要になるかもしれません。
非常に強い無理をする必要はありませんが、そういった認識からバランス感覚が取り戻されることも少なくありません。
カウンセリングの有用性
「理解された」「わかってもらえた」という感覚が相談されるクライエントに感じられることは、カウンセリングにとって最も大切なことの一つです。
そのためにカウンセラーはクライエントの背景や立場、視点を理解、共鳴し、共感的理解を行なっていきます。
受けられた方はわかるかもしれませんが、この領域は非常に奥深いものです。
なぜならこのような経験を私たちはあまりされてきていない、していないことが多いからです。
カウンセラーによっては、どこまでクライエントの視点や気持ちに寄り添い、理解していくかは異なるかもしれません。
自分のペースで話しながら共感され、受け入れられ、話していくうちにスッキリしたり、気持ちが楽になっていくことができるのもそのような「理解」や「わかる」ということができていなければ実現できません。
自分が理解されなかった、わかってもらえなかった気持ちを話しながら気づきを得たり、その欲求が癒えたり、新たな行動を行おうという意欲に変わることもあります。
非常に重く、苦しい気持ちを蓄積されているような場合、ゆっくりと丁寧に行なっていくことも大切です。
また家族や周囲の方の理解が必要なこともあります。
そういった支援やサポートも必要に応じて行うこともあります。
なによりクライエントの求めに応じながら、クライエントのペースで適切に進めることが重要です。
自分がカウンセリングを受けてみたらいいのかどうかわからない場合、10分無料相談をご利用ください。
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記事監修
公認心理師 白石
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