「コロナの影響でずっと家にいる」「介護でずっと家にいる」「主婦業でずっと家にいる」「仕事を引退してずっと家にいる」「病気療養でずっと家にいる」「仕事を辞めてずっと家にいる」「学校を辞めてずっと家にいる」「ひきこもりでずっと家にいる」など家にずっといる理由は人によって様々です。

外で忙しくしていた時期よりストレスは少ないように見えて、実はつらくてストレスも多いのでは?と思うことはないでしょうか。

家にずっといて何も問題がない方や建設的に捉えられている場合を除き、問題がある場合に対してここでは「家にずっといるつらさとストレス」について追求し、カウンセリングの有用性を説明していきたいと思います。

※「ずっといる」という言葉は、常にいる、長期にわたっている、といった意味で用いられる話し言葉です。文章化すると少し違和感がありますが、このまま記載していきます。

家にずっといると何がつらくストレスなのか?


外で忙しい毎日を過ごしていると「家にずっといたい」と思ったり「家でゆっくりしたい」と思うことがあるものです。

家にいることは本来、ゆっくり自分が休める安全でリラックスできる場所です。

自分の部屋は、誰にも気を使わなくていい、誰の目も気にせずに自由に過ごすことができます。

そういった場所は唯一無二です。

しかしそれが常に、長期にわたって「ずっといる状態」になってくると少し状況は異なってきます。

人によって「家にずっといる状態」になった理由が異なりますが、家にいるつらさとストレスについて説明していきたいと思います。

家族と居合わせる時間が増える

家にずっといることにより、家族と一緒にいる時間が増えます。

良い場合もあるかもしれませんが、それによって生まれるストレスが増えることもあります。

以前の外に出ていた時は我慢できていたことに腹が立ったり、イライラしたり、喧嘩をする機会も増えてしまうことがあります。

ストレス発散の種類が減る

現代では自宅で楽しめるサービスや機会も増えましたが、外でのストレス発散の機会が失われることにより、発散の種類が減ってしまいます。

特に体を動かしたり、誰かと話したり、新たな刺激を入れることが減る傾向にあります。

喋らなくなる

外に出ると必ず人と顔を合わせます。そこでは挨拶をしたり、雑談をしたり、仕事や学業などで最低限必要な会話が行われるものです。

そういった最低限の会話がなくなってしまうことで、人と喋る機会を失っていしまいます。

人と話したくないと思っていても、いざ長期にわたって喋らなくなるとさみしかったり、孤独感が湧いてくることもあります。

気楽なんだけどつらいと言われるストレスです。

嫌な会話は減るかもしれませんが、新たな情報に出会うことが少なくなり、笑う機会も少なくなってしまうかもしれません。

喋ることは、脳をトレーニングしていることにつながりますので、喋らない時間が増えると認知症的傾向が進んでしまう可能性があります。

また妄想や空想にとらわれやすくなってしまい、偏った見方や考え方になってしまうこともあります。

寂しさと孤独感

外で気を使っていると疲れてしまうことがあります。

家にずっといることでそれは免れます。

そのストレスは減っても、寂しさと孤独感、時に孤立感に襲われることがあります。

その中でも社会的な孤立感を感じるような場合、ストレスホルモンが増えたり、自律神経が乱れたり、鬱や不安障害・睡眠障害を増長させてしまう場合があります。

自分でも気づかない「寂しさ」や「孤独感」もある場合があり、体に不調をきたしているストレスになのかな?と気づくこともあります。

刺激のないストレス

毎日家にいることによって刺激に曝露されることが減ります。

嫌なこともその分減りますが、良いことも同じように減る傾向があります。

その分、頭は軽くなるように思いますが、過去の出来事にとらわれたり、悩みがちになってしまうことがあります。

ある程度のストレスはある程度のストレスに耐えうる心と体を作りますので、適度な休養でない限り、ストレスに弱くなってしまうことになりかねないかもしれません。

妄想に囚われる

家にずっといて、やることがあまりない場合、考える時間が増えてしまうことがあります。

考える時間が多くなると不必要で不適応な考えが増えてくるものです。

過去の事実を再検討する中で「実はこうだったんじゃないか」と空想し、「絶対そうだ」と認識してしまい、事実に妄想を付け加えたことも忘れ、それが事実になってしまうことがあります。

それが被害者意識を強くしてしまい、ひきこもりの原因になったり、強いストレスに変貌させてしまったりしてしまいます。

反芻(はんすう)で困ってしまう

心理学的に用いられる「反芻(英語:rumination)」という言葉は、今の状況や過去の出来事を何度も繰り返し考える思考や疑念を指します。

「ああすればよかったんじゃないか」「なんで自分はこんなに落ち込むんだろう」「なんでこんなに寂しいんだろう」と自己批判的な思考が湧いてくることによって自分を責めたり、ネガティブ傾向が強まったりしてしまいます。

鬱々とするような「抑うつ状態」になりやすく、また抑うつ状態になると反芻もかえって強まってしまうこともあります。

スイッチのオンがない毎日

私たちは外に出て「人に見られる」からちゃんとしようとするものです。

人に見られないことにより、身だしなみを整える機会が減り、こころのスイッチがオンにならない毎日を過ごしてしまう可能性が高まります。

外用の服を着替え、髪をセットし、男性は髭を剃り、女性の場合は化粧をするように私たちは軽度なドレスアップして毎日を過ごしています。

家にずっといることにより部屋着で過ごしたり、鏡に映る自分がだらしない感じがするようなことも増えてしまい、それが当たり前になることもあります。

住まない家は老朽化しやすいと言われますが、私たち人間も人に見られることにより一層身だしなみを整え、良い状態に維持させようと努めているのかもしれません。

こころのスイッチとしては、「自宅モード」と「外出モード」がなんとなくあるのは感じると思います。

長期にわたって家にいると外出モードが使えず、自宅モードばかりが増えてしまいます。

それは一見して良いことのようにも見える場合がありますが、外出モードでアクティブに動き、疲れて自宅モードのリラックススイッチを入れてきた人生とは異なります。

それは休みが休みでなくなってしまう可能性があります。

ずっとリラックスしているとアクティブに動きたくなりますが、家にずっといるようなアクティブに動けない状況ですと、頭だけがアクティブになってしまい前述した「考えすぎ」「妄想」「反芻」が増えてしまうことがあるのです。

ネガティブ傾向が強まる

考えることが増えるとついついネガティブに捉えてしまったり、考えてしまったりするものです。

それが毎日になるとそれはまるで自己洗脳をしているかのように悪影響を起こしてしまいます。

起きた事実にネガティブを追記し、自分や他者を責める気持ちが強まり、感情にとらわれ、ネガティブ傾向がより強まってしまいます。

ネガティブに考えることは、建設的であれば有用な場合も多いですが、多用することには注意が必要です。

考えないようにしても収まらないこともあり、そういう場合は抜本的な問題解決や体を動かすことにフォーカスしていくことが有用です。

からだと脳が衰えやすい

仕事や学校に行くということは、歩く筋肉を使い、喋る筋肉を使い、脳や神経を仕事や学行の方向に用いるため体と脳に一定の負荷を与えます。

負荷はストレスという言い方もできます。

このような一定の負荷のストレスが、一定の体や脳の機能の維持に役に立ちます。

そういったものがなくなることにより身体や脳が衰えやすくなってしまうことがあります。

体も脳も「使えば強くなり、使わなければ弱くなる」といった可塑性(かそせい)の原理が根底にあります。

耐えきれない、許容を超えすぎた負荷はトレーニングでない限り必要ありませんが、ある程度の負荷は私たちの心身の健康に重要な役割を担ってくれます。

また運動不足により体重や体脂肪が増加してしまうこともあります。

睡眠の問題

家にずっといることから疲れる疲労度が少なかったり、いつでも横になれる状態が万全に整ってしまうこともあり、睡眠に問題が起きる場合があります。

夜寝れなかったり、昼間に寝てしまったり、睡眠が浅かったり、睡眠リズムのバランスが悪くなったりします。

ある程度の疲労は、睡眠にとって必要不可欠です。

また人体は周期リズムがありますので一定のリズムをつけて安定的にしていくことが推奨されます。

やることがないストレス

ずっと家にいると人によっては、「やることがないストレス」にさいなまれることがあります。

やりたいという欲求「やる気」が出ない場合、どうしようもなく、毎日がただただすぎてしまうこともあります。

そういったことからストレスを感じてしまう人もいます。

「やる気が出ない」「やりたいことがない」といった相談のカウンセリングでは、クライエントが話していくことにより、「実はやりたいことがあった」という発見が臨床経験上多くありました。

やる気が出なくなった、やりたいことがなくなった理由が誰にでもあるものです。

そういった理由や「崩壊した何か」に向き合い、受け入れていくと新たな向かう先が見え、エネルギーが湧いてくるものです。

自己注目の問題

外に行くと仕事であったり、学業であったり、人間関係であったり、さまざまなことに囚われ、私たちが思っている以上に注目・注視しています。

そういったところにフォーカスするので、自分のこころやからだにフォーカスする時間が少なくなります。

しかし家にずっといる状態は、そのようなフォーカスする機会が失われ、注目する先は自分になる時間が一気に増えます。

それによって悩む時間や考え事の時間が増えたり、体の不調への心配が増えてしまいます。

それが強くなれば自己洗脳的に強度を増してしまいます。

これが本当につらいとおっしゃるクライエントも多く、自己注目による弊害は予想よりも大きいかもしれません。

変な症状がでてくる

あれもこれも気にしてたら「変な症状」で悩まされるようになったというケースもよくお聞きします。

病院で検査をしても物理的な異常がない場合も少なくありません。(念のため病院にて検査を行うことを推奨します。)

上述した「自己注目−ネガティブ−妄想−反芻−自己批判・他者批判−運動不足−リズムの乱れ」などにより自律神経が乱れたり、感覚過敏性が増してしまったり、神経的な学習が強化されてしまったりすることが要因の一例として考えられます。

これが非常にやっかいな症状も多く、悩まされ、さらにそこに注目し、上記の乱れや強化を増長してしまう難しさがあります。

家にずっといるつらさとストレスに対するカウンセリング


ここで改めて申し上げておきますが、家に常にいても、長期間いても問題がない場合もありますのでそのような事例は除外して、カウンセリングの有用性について説明していきます。

カウンセリングでは、相談される方(クライエント)がどのような問題に直面し、何に悩まれているかによってカウンセリングテーマが異なってきます。

また家にずっといる状態になった原因や理由がある場合、それらも含めてカウンセリングを行っていきます。

家にずっといる状態では人と話す機会が減っていることも多いため、クライエントを中心において話を進めることが少なくありません。

自分の悩みや問題、話したいことを自分のペースで話し、カウンセラーは受容的・共感的態度で話を伺っていきます。

そういった中で少しすっきりとした感覚が得られたり、気づきなどによって癒される感情や想いもあるでしょう。

外に出ること、仕事や学業に戻ることに抵抗感があったり、恐怖や不安の対象になっている場合、慎重にお気持ちを汲み取りながらカウンセリングを行っていきます。

何かの理由があって、傷つきや苦しみ、苦手意識がある場合も多く、少し時間をかけながら丁寧に心に向き合っていきます。

苦痛を伴うこともありますが、問題に直面し、乗り越えていくと以前の自分よりひとまわり成長した自分に出会えます。

そういった心理的成長の機会を得ることができます。

そのような理由がない場合、自分の人生を再構築し、あらたな目標や人生の歩み方について検討していくいい機会になります。

自宅に長期にわたって常にいる状態には、上述したように自己注目から一連した数々の問題が起きやすい側面があります。

考えないようにしても考える場合、その考えの根源にアプローチしたり、考える必要のない環境を作ることが大切になります。

生活習慣などが乱れている場合も理由があったりしますので、その理由にアプローチをしたり、乱れを改善しやすく小さな目標設定から一段ずつ上がっていくように計画を設計します。

毎日自己嫌悪になる生活から自己達成感を感じる生活へのシフトしていく形になります。

ストレスの捉え方も現在やこれからの人生に大きく影響してきます。そういった捉え方やその根底にある捉え方の原因にもアプローチをしていくと有益な場合もあります。

家にずっといる状態を望む時、蓄積した慢性的なストレスや精神的ショックの大きい負担を経験している場合が少なくありません。

そういったところのこころを癒し、回復させるだけにとどまらず、自らの脆弱性やレジリエンス(耐久力・回復力)、コーピング力(対処能力)の向上を目指すセッションを組み入れていくことが重要になることがあります。

カウンセリング終了後の人生を「ひとまわり成長した自分」で歩んでいくことはクライエントの自信につながり、建設的・適応的に役立ちます。

引退後の老年期には「老年期らしさ」の生き方もありますが、目標を失うことも多く、エネルギーが湧かず、体も頭も使わなくなってしまうこともあります。

人生を振り返って「人生の捉え直し」や「総清算」などを行うことにより、残りの人生をよりよく生きことができるようになります。

家にずっといることで最も苦しいことのひとつとして、「頑張らなければならないのに頑張れない自分」と毎日出会うことが挙げられます。

この状態があると、家というリラックス環境ですっきりリラックスできず、自律神経を乱れやすくさせたり、自己批判の嵐に苛まれてしまうことがあるのです。

気持ちの良い療養や休養ができなくなってしまうのです。

「頑張れないから頑張ろうとする」エネルギーで徐々に疲弊してしまう場合は、だれかに相談されたり、何かしらの別の角度のアプローチをする必要があります。

家にずっといる状態が長いと、家にいない状態への耐性や適応が少し難しくはなりますが、人間には慣れる力が備わっていますので、正しく向き合い、自分の意思があれば新たな状態へと慣れていくことができます。

「なんであんなに悩んでいたんだろう」と思えるのもそういう力が備わっている所以です。

昔は何かと忙しく、敗戦後の悔しいエネルギーを経済活動に転嫁させたり、両親や家族を助けることに生きがいを燃やしたり、ご飯を食べられない危機感があった故に自宅に長期にわたって常にいる状態は回避できていたかもしれません。

現代では豊かさと自由を獲得でき、それが容易になりやすくなったところがありますが、弊害もその分多くなったかもしれません。

一時的なものであれば有用ですが、常に長期にわたって「家にいる」ということは私たちが思っている以上に大きなストレスになっているのかもしれません。


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記事監修
公認心理師 白石

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