モチベーションを上げる、アップさせる、維持させるといったように日常的に用いられ、活用されている「モチベーション」。

ここでは個人的なモチベーションと同時に企業や産業分野におけるワークモチベーションについてさまざまな角度から深く理解できるように記事を書いていきたいと思います。

モチベーションとは何か?


モチベーション(英語:motivation)とは、行動を起こすための意欲、やる気、動機付けなどを表す言葉です。

そもそもモチベーションは動機を表す言葉であったり、モチーフを意味する「motive」を語源としているようです。

「モチベーションがある/ない」「モチベーションが高い/低い」「モチベーションが安定している/不安定」といったような表現が日常的にされていて、モチベーションという言葉自体は皆さんよく使っていると思います。

若い方はモチベーションという言葉が長く感じるらしく、略して「モチベ上がるわー/下がるわー」といったような表現をするらしいです。

一般的にモチベーションが上がる、感じられるには、

  • 惹きつけられる(魅力を感じる)
  • 関心を持つ・興味が惹かれる
  • 欲求を掻き立てられる
  • 意欲が出る・掻き立てられる
  • 行動を起こす動機づけができる
  • 目的や目標へ向かう動機ができる
  • 積極性が湧き上がる
  • 他者のモチベーションが伝染する
  • 他者の言動に影響を受ける
  • 自分の中から活性化する

などがあります。

ここで二つに大きく分類するとしたら、外部から惹きつけられる誘発「外発的動機付け」と自分の内部から起きる・起こす「内発的動機付け」の2種類があります。

「外発的動機付け」 と「内発的動機付け」


基本的には、「外発的動機付け」では外部から動機づけられて目標も自動的に設定されるものが多く、「内発的動機付け」 では自分で目標や目的を設定するという違いがありますが、そのような単純なものだけではありません。

外発的動機付けは、評価される、収入が得られるといった報酬・賞賛や罰や叱責などの嫌悪・恐怖・不安などによる影響による動機付けのことを指します。

ようするに「なんらかの目的」を得る、回避するために行動するもので、即時的にはうまくいくことも多いですが、持続するには報酬の再設定なども必要になっていきます。

一方「内発的動機付け」は、自分の知的好奇心や関心が惹かれ、主体的に行動する動機付けです。

この動機付けによる学習は効率的で継続的な傾向が強く、

①感性動機(感覚や感性を刺激するもの)
②好奇動機(興味を引く刺激)
③操作動機(操作や活動による刺激)
④認知動機 (情報から解釈・見出すことによる刺激)

の4つに分けられます。

このように内発的動機づけはあまり賞罰に依存しない行動と言えます。

せっかく内的動機付けがしっかりあるにも関わらず、報酬を設定することによって動機付けややる気が低減する現象のことを「アンダーマイニング効果といいます。

こういった現象を知っておくことも内的動機付け効果を高めるためには必要になります。

一般的には「内発的動機付け」の方が有用と言われていますが、両立も可能であったり、使いようによってはそれぞれ有益な効果を得ることができるものですので活用次第と言えます。

モチベーションに関してこの2つの動機付けをうまく使いこなすことでモチベーションをUPさせる、維持させるためには不可欠となることが多いと思います。

他にも生きていくために不可欠な生理的欲求を満たすための「生理的動機づけ」や自分のちからの証明、成功、達成への欲求、他者との関係での欲求、社会に与える貢献についての欲求などを求める「達成動機づけ」もあります。

※ちなみに「達成動機付け」で有名なアトキンソンモデルには、自分の達成動機と達成時の期待や価値によって動機付けとモチベーションが決まると考える「期待ー価値理論」があります。

生死に関わるような「生理的動機付け」や達成や貢献への欲求である「達成動機づけ」も組み合わせることでモチベーションの深みと広がり、強度を確固たるものへと結びつける効果を得られるかもしれません。

ここでもう少し、わかりやすく見ていきましょう。

今あなたの状況が「モチベーションが上がらない」「モチベーションを上げることができない」という2つの表現のうちどちらが最適な表現かを選択した場合以下のようなことが推測されます。

「モチベーションが上がらない」といった言葉が出る、心の中の声を感じるときは、その姿勢は受身であることが多く、外発的な動機付けにフォーカスが入っている(求めている)ことが少なくないと言えます。

理想や収入など欲求が手に入らないと考えているときなどが該当すると思います。

一方「モチベーションが上げることができない」という表現が出る状況では、その態度は自らを鼓舞しようとする努力はあるため主体的な姿勢であることが多く、内発的な動機付けにフォーカスが入っていることが多いと言えます。

興味が惹かれない、やりがいや面白さを感じられないといったときが該当すると思います。

言葉ですので人によって多少異なるかもしれませんが、ようするにモチベーションや動機付けに対して「受身(受動的)」なのか「積極的(主体的)」なのかを自分自身で知っておくことが大切になります。

その姿勢や態度、動機づけやモチベーションに最も影響を与えるのが「どう在りたいか?」「どうなりたいか?」という視点です。

「どう在りたいか?」「どうなりたいか?」


「どう在りたいか?」「どうなりたいか?」

というふうに考えて想定して動いている人もいれば、考えていない人もいれば、そんなこと考える必要性があることを知らなかった人もいれば、そういえば昔は考えていたなと思う人もいるでしょう。

「どうなりたいか?」は目標や目的を持って生きるということなので比較的多くの人が気にしたことがあるかもしれませんが、「どう在りたいか?」まで考える人は少ないかもしれません。

私はこのようなお仕事をさせていただいている関係でこの「在り方」が他人や社会へ大きな影響を与える事を知っています。

前置きが長くなりましたが、「自分がどんな人間で在りたいか(なりたいか)?」からどんな行動や言動、仕事、遊び、人や社会との関わり方をするのかが決まり、その動機付けをもとに行動にモチベーションが付随してくるといったイメージです。

ようするにあなたという人間の根幹です。

心理学では「中核信念」と表現したりもします。

カウンセリングを行っていて、このあたりの深いところから「在る」「成る」という状態を整理して考え、決断していくようなセッションを上手く行えると、動機やモチベーションは自然についてくるように感じます。(しかし維持はある程度の努力や調整が必要であったりします)

さてモチベーションの話に戻りますが、学術的に様々な理論があって、参考になることも多く、深い理解につながることもあるのでここからはその説明をしていきます。

アダムスの公平理論


衡平理論とも訳されている公平理論とは、自分と他人の「仕事量(インプット)に対する報酬(アウトプット)」の比較結果に対して公平感や不公平感を感じ、モチベーションが決まっていくとする理論です。

人は公平にするために自分が報酬を受けすぎている場合には仕事量を増やしたり、報酬が少なく仕事量に見合わない場合は仕事量を減らす傾向を持つということです。

これはよく社内の中で比較されると言われていますが、社外の同様な職種や役職との比較も含められます。

また自分のことだけでなく、他者に感じた場合、「もっと働いて欲しい、成果を出して欲しい」「もっと休んでほしい」という欲求がでます。

ここで重要なのは、結果(報酬)だけが仕事量と比較されるわけではなく、その過程であるプロセスに対する公平性も含まれるということです。

会社にしても、家族にしても、社会にしても「不公平」な報酬やプロセスを減らしていくことによって多くの人のモチベーションが高い水準で維持されていくということです。

逆に言えば不公平な報酬やプロセスが多いコミュニティでは多くの人間のモチベーションをそぎ落とすということです。

これはとても重要な理論で、世界中にある不公平な報酬やプロセスを排除していくと平和や幸福度の高い人生を多くの人が歩めるということになります。

今はまだ不公平が多く、牛歩かもしれませんが、時代は着々と公平に向かっているように感じます。

ブルームの期待理論


仕事のモチベーション(以下ワークモチベーション)は、①「主観的な期待」②「成果と報酬の関連性(用具性)」③「結果の満足感や重要性、魅力(誘意性・価値)」の掛け算によって表せることとする理論です。

後者の「誘意性と価値」は、二次的な魅力や今後に役に立つであろうとする掛け算(積)によって決まるとします。

その後にポーター&ローラーが最も重要なのは「報酬の価値」と「その努力が報酬につながる仕組み」を構築することとして、ブルームの理論を実践的に発展させました。

努力すれば良い報酬が得られると感じられ、実際にそれを得られる仕組みとシステムが社員のモチベーションアップと維持につながるということです。

考えてみれば当たり前なのですが、実際にはなかなか努力しても年数がある程度必要な古い制度や伝統などが引っかかってきますよね。

ハースバーグの「二要因論(動機付けー衛生理論)」


ワークモチベーションは、成長や達成、承認、昇進、権限など満足を与える「動機付け要因」と会社の方針や制度、給与、福利厚生、人間関係などで不満を感じる「衛生要因」の2つの影響を受けると提唱しました。

誰でもわかることですが、この両要因を改善することがモチベーションや成果を上げるために必要です。

動機付け要因は「やりがい」につながっていることが多いため特に重要とされています。

200人のエンジニアと経理事務員への調査で分かったのは、不満を感じる時は作業環境にフォーカスがいきやすく、満足を感じる時は仕事に関心が向かっていたようです。

やりがいを感じて、不満が少ない会社や組織にしていくことが働く方々のモチベーションや成果を上げるために必要だということです。

マクレガーの「X-Y理論」とオオウチの「Z理論」


マズローの欲求階層説をベースとして、

①人間は怠ける生き物で、責任を取りたがらず、放っておくと仕事をしなくなるという「X理論」
②人間は生まれながらに嫌いではなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする「Y理論」

の2つで形成されています。

「X理論」は、マズローの欲求5段階説における生理的欲求や安全の欲求を表す「低次欲求」に関する行動モデルで、「Y理論」は、社会的欲求や自己実現欲求を表す「高次欲求」に関する行動モデルです。

X理論で考えると、ルールや手順を用いてマネジメントを行う必要性があり、必要に応じて命令や強制を行う必要があり、報酬と処罰を設定する「アメとムチ」によるマネジメント手法が用いられます。

Y理論で考えると、社員個人の欲求や自己実現と職務とのマッチング、適材適所な人材配置、機会を与える、主体性に任せるといったマネジメント手法になります。

ちなみにマクレガーが未完成で生涯を終えた「Z理論」の概念をウィリアム・オオウチという方が再構築し、発表しました。

「Z理論」とは、企業と従業員の信頼関係を重視し、社員一人ひとりの価値観に合わせて適切なマネジメントをとる理論です。

公平性やあたたかな親密度などを保ち、良い社内統制ができれば、監視しなくても自発性は保たれ、モチベーションも高く維持できると考えました。

ワークモチベーションでも考える「在り方」「成り方」


お仕事をされている方であれば、自分は仕事を通して

「どのように在りたいか?」
「どのようになりたいか?」

と考えてみる機会が自分の今後の人生にとってとても重要な気づきと姿勢を生んでくれるかもしれません。

また自分の人生において「どのように在りたいのか?」「なりたいのか?」によってキャリアプランや転職、転属なども決まってくるかもしれません。

会社や企業などの組織全体でのワークモチベーションについて検討されている方であれば、

「その会社や企業はどう在りたいのか?」
「その会社や企業はどのようになりたいのか?」

が明確でなければ、表層的な変革で終わってしまうかもしれません。

モチベーションを維持・管理する


モチベーションを上げる、下げないといった内容をここまで書いてきましたが、実際に難しいのは「維持」「管理」することです。

せっかく上がったモチベーションや動機付けが簡単に崩れてしまうと何も意味をなしません。

そのためには根源的な「在り方」や「どうなりたいか」といった点をしっかりと再認識・再設定をすることが重要になります。

誰でも日々の業務ややるべきことに追われ、いつの間にか設定がすり替わる、自然に軸が変わっているということがあるものです。

一般的に言われている個人的にモチベーションを維持・管理する方法として、

①スモールステップ化して小さな達成感を継続的に得る・報酬を与える
②進捗状況を確認し、何ができて何ができていないかを明確化する
③モデリング学習や仲間との協同作業(仲間との連携意識・一体感)
④モチベーションばかりにとらわれず習慣化する・当たり前化する
⑤成功にとらわれずチャレンジやプロセスも大切にする
⑥モチベーションを意図的に上げたり、維持させるコントロール能力を上げる
⑦モチベーションを下げる人間関係に影響されないようにする
⑧やると決めたことをやり抜く
⑨不意にやめない、新しい刺激に囚われすぎない
⑩モチベーションが高い人たちと関わる
⑪成長志向を持つ・長期的ヴィジョンと忍耐強さを持つ
⑫ある程度のモチベーションの揺れ幅にとらわれず、許容する

といったところがあると思います。

言うのは簡単ですが、維持、管理を実践することはある程度の練習によってコントロール術を習得していくことが大切です。

苦手な人ほど練習が必要で、練習次第では得意な人よりレベルアップ度合いも大きく見込めます。

管理者側で言うと、

①不公平な制度や機会、報酬、プロセス、人間関係を減らし、公平に近づける
②ひとりひとりに適合する働き方や適職を検討・対話・実践する
③特に取締役・役員職による理解と自己一致が大きな影響を生む
④モチベーションに関する理解とコントロール術の勉強・社内セミナーを行う
⑤協同できるチーム連携やチームビルディングなどの仕組みづくり
⑥主体性を育てる仕組み
⑦やりがいのある制度と不満を起こす衛生要因の是正
⑧努力と報酬がつながる体系を整える
⑨経営的な余裕を持つ
⑩外発的動機付けと内発的動機付けのバランスとアンダーマイニングへの配慮
⑪意欲を掻き立てる魅力と風土づくり
⑫モチベーションを削いでしまう仕組みや意識の変革

などが考えられます。

会社を舵取りする側として、モチベーションよりも「それでいくらの利益が出るのか?」という視点が非常に強くなりますが、確かに社員のモチベーションによって成果がどれくらい変わってくるかを「数値化」する難しさがあります。

利益がなければ存続できないために最も重要にはなりますが、売上を上げるために必死になることによって見落としてしまう大切なものもあるかもしれません。

逆に社内の幸福度やモチベーションアップ、不必要なストレスの排除を行っていくと、余裕が生まれ、パフォーマンスが発揮されやすくなり、売上と利益がびっくりするほど上がったということもよく報告されるような時代になってきています。

ようするにそういった働き方や生き方をしたい人の絶対数が増えているということです。

そこにどこまで理解と配慮があるかが重要になってきているのかもしれません。

また幸福度の高い社員はそうでない社員に比べて3倍も創造性が高いといった検証結果がニュースで流れたように社内で働く大切な社員さんの「Well-being」を高めていくことで成果を上げ、総合的な満足度を高めるといった風潮が近年活発になってきています。

■「Well-being」とは?
「こころ」「からだ」「社会的な状態」が良い状態であることを意味、解釈する言葉として活用されており、持続可能な幸福度の高い働き方を目指すようなエッセンスも含まれて使われています。

そういった企業意識を持つ会社が人気になり、優秀な人材や才能を発揮できる人財が育つ土壌になると言われています。

農業で言う「土を作る」ことが実は一番大切といったところと似ているのでしょうか。

おわりに


深く広く「モチベーション」について理解できますように長々と書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

なにかしら少しでもヒントになりましたら幸いです。

人間のパフォーマンスが0~100の振り幅で発揮されるとしたら、100に近いほうが良いと誰でも考えます。

しかし実際は人のパフォーマンスを削いでしまう、落としてしまうことが非常に多く、あまり注目されていなかったりします。

このモチベーションの扱いに関して「もったいない」が非常に多いと感じます。(成果を出す手順は人それぞれあることがわかってきた時代ですから)

人の可能性とモチベーションは相互に関連していると思いますし、ますますその重要性を感じる時代になってくると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

記事監修
公認心理師 白石

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