過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではハリー・ハーロウ「身体的接触と愛着形成」について書いていきたいと思います。

ハリー・ハーロウについて


ハリー・ハーロウとアカゲザルの実験

ハリー・ハーロウ(Harry Harrow)は1905年アメリカのアイオワ州フェアフィールドの家庭の4人兄弟の3番目として生まれます。

1924年にスタンフォード大学に入学し、大学院まで心理学を学び、博士号を取得します。

ウィスコンシン大学マディソン校にて教壇に立ちますが、十分な実験スペースがないために大学近くの空きビルに霊長類研究所を創設します。

国家科学勲章やアメリカ心理学財団の金メダルなど数々の賞を受賞し、アメリカ心理学会の会長も務めています。

プライベートでは、クララ・ミアーズと結婚し、二人の子供を授かりますが、1946年に離婚しています。

その後、児童心理学者マーガレット・クエンヌと結婚し、二人の子供をもうけましたが、マーガレットが癌で亡くなるとうつ病を発病し、クララと再婚したのち亡くなるまでアリゾナ州のツーソンで一緒に暮らしました。

身体的接触と愛着形成


これまでの愛着形成の考え方は、乳児や幼児の食事などの欲求を満たすことから生まれると考えられていました。

ハーロウはアカゲザルの赤ちゃんを母親から取り上げて、二人の代理の母親を入れた檻の中で実験を行いました。

一人目の代理母は、母親猿には見えないようなワイヤーでできていているものですが、哺乳瓶が付いています。

もう一人は、哺乳瓶は付いていないが、柔らかいタオル地で猿に似せたものです。

欲求を満たすことで愛着が生まれるのであれば、一人目のワイヤーにその行動が出るはずなのですが、恐怖の対象が入れられるとタオルでできた代理母にしがみつきました。

空腹で仕方ない時だけワイヤーの代理母に近寄ったそうです。

その後の改良で代理母が動くようにするとより愛着は深まったようです。

育児の主たる機能は「母親との身体的接触」であることを実証し、世界中の子育て論にその理解を広めていきました。

ジョン・ボウルヴィが母性剥奪の危険性と母親の養育の重要性を説いていたことをハーロウは見事に実験で実証した結果となりました。

今では倫理的に行えないような実験ですが、私たちの深い理解と愛情を育てるための研究でもありました。

甘えん坊になるからと身体的接触を避けるべきだとする子育て論も広まっていた中でこの考え方は現代へ受け継がれる重要なものとなりました。

またハーロウは猿を社会的孤立状態にする実験を行なっており、そのような状態になると感情的なショック状態になってしまうと報告しています。

ひどい場合には、食事を拒否し、死亡してしまう猿もいるほどでした。

赤ちゃんの場合では心理的に重篤なうつ病症状がでていたようです。

この実験も倫理的問題があり、現代では行えるものではありませんが、いかに社会的孤立も生物に多大な悪影響を及ぼすかがうかがえる重要な実験です。

私たちは自分で思っているよりもはるかにコミュニケーションや身体的接触を必要としている生き物なのかもしれません。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか

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