「生きにくいなあ」「なんで人生ってこんなに生き難いんだろう」と考えたり、思い悩むことがあります。
そんな時に読むと良い記事を書けたらと思い、この記事を作成しました。
少しでも参考になれば幸いです。
もくじ
「生きづらさ」や「生き難さ(にくさ)」という言葉と背景
「生きづらいなあ」「この人生、生き難い」と感じる人が増えてきていると言われることがあります。
もちろんある程度昔から心で感じていた先人も多くいるかもしれませんが、言葉となって表に出てきたのは近年になってからと言われています。
むかしは今よりも食料に困り、病に倒れ、戦争で多くの人命が失われてきたにも関わらず、あまり文献にこのような言葉は載っていなかったようです。
仏教や伝統教育的な教えからあまりネガティブな言動は慎まれてきた、感謝するという精神が推奨されてきたという背景も影響があるのではないではないでしょうか。
そういった伝統的な精神も現在ではあるものの、多様性の尊重、人の心や心理への配慮、本音と忖度のバランスなどが変わってきています。
現在では、そういったこころの本音が表に出しやすい時代になり、生きづらさや生き難さを表に出しやすくなっている、他者が言葉で言っていたり、ブログやSNSで発信しているのを見て共感したり、自分も感じていることを素直に感じやすくなっていることもあると思います。
また
- 昔ながらの三世代家族などから核家族化へ
- 一人暮らしが驚異的に増えている(1965年7.8%と2015年34.5%を比較すると約5倍)
- スマホやインターネットの普及によりひとりの時間が増えている
- 世代間での考え方や常識に違いが多くある(言動や対応含めて)
- 自由度が増えている
- 考える時間や悩める時間が昔よりも多い
といった「一人でいる時間」や「考えたり悩んだりする時間」が増えていることも生きづらさや生き難さを感じる要因になっている可能性もあります。
どんなことに「生きづらさ」や「生きにくさ」を感じているのか?
では現代ではどのようなことで 「生きづらさ」や「生きにくさ」を感じているのでしょうか?
- お金がない(貧困・金銭的貧しさ)
- 機会がない(お金を得る・成功する)
- 発達障害や精神障害、身体障害など障害によるもの
- 病気など疾患によるもの
- 自分の感覚と合う人があまりいない(合わせられない、合わせるのが嫌)
- みんなと一緒に楽しめない(楽しい感覚が出ない、合わせるのが嫌)
- コミュニケーションが苦手(嫌い)
- 仕事がうまく行かない(うまく働けない、自分にあった職場や仕事に出会えない)
- 多種多様なハラスメント
- 自分が授かった遺伝子の問題や親ガチャと呼ばれるもの
- 自分の精神的弱さや問題を起こしてしまうパーソナリティ
- 理解しあえる人がいない(共感)
- 親との問題を抱えている場合(毒親という呼び方をする人もいます)
- 結婚後うまくいっていない場合(婚約者や子供との関係性)
- 婚約者の家族や親との関係性が悪い・縛られる
- 自分の信じている信念や感覚と社会が合わない
- 周囲と同じことができない(したくない)
- 発達障害のグレーゾーン特性がある
- 苦手なものが多い(学校や社会で用いるスキルに苦手が多い)
- 無理をしないとついていけない(生きられない)
- 完璧主義や思い込みが強い
- 周囲の目を気にしすぎる(考えすぎる)
- 自信や自己肯定感が低くなっている
- 自分という人間がわからない(軸が定まらない)
- 理想が高すぎて現実とのギャップが強い
- 人生に疲れた(頑張りすぎた、過剰適応しすぎた)
- 不登校や休職、退職によって感じる(悪いことのように感じる)
- 自分を卑下する、自分を責める癖が強い
- 社会の問題や不条理さを感じることが多い
- 感受性が高くて受け取りやすい(HSP気質、エンパス気質)
- 世界観の違い(宗教やスピリチュアリティ)
- 差別を感じる、差別される
- 孤立する、孤独になっている
- サポートや助けを得られない(得ようとしない)
- プライドが邪魔をしやすいことが多い
- 自由度がありすぎて逆に感じてしまう
- 新しい常識やルールと自分の性が合わない
- うまく人と関われない性格
- ついつい○○してしまう性分
- ついつい比較してしまって自分をダメだと思ってしまう
- 失敗やミスが多い
など挙げればキリがないほどたくさんあります。
その当人が「生き難い」「いきづらい」と感じれば、いきづらいということなので、その当人の考え方によって大きく異なります。
例えば、同じ障害や問題を持っていても「生きづらい」と感じる人もいれば、あまり感じないという方もいるでしょう。
ですので物理的、身体的、現象的な目に見えるものだけでなく、捉え方や解釈などの「認知」による影響も多くあると言えます。
また以前は気になっていたけど今は気にならない、以前は気にならなかったけど今は気になるといった時間や出来事、年齢などの影響も受けるものです。
ではどうすればいいのか?ー対処法や打開策を考えるー
「いきづらさ」や「生き難さ」を感じる場合、
①現実的な行動や現象にアプローチする
②認知的にアプローチする
の2つに分けられると思います。
「現実的な行動や現象にアプローチする」では例えば、
- お金が多く得られない場合では、現実的に少しでも多く得られるために最適な努力していく。
- 失敗やミスが多いのであれば、多くならないようにどうすればいいかを考え、実行していく。
- コミュニケーションの問題を抱えている場合、悩むことを減らして、勇気を持って少しずつ積極的にする。
- 病気や障害では、正しい診断や治療と食事、生活習慣、行動を行えるようにする。
- 自分の性格や遺伝子の悩みに力を入れるよりも、もらったものの中で精一杯できることに精を尽くす。
- 自分の行動に注目して、何をすべきか、何をしないほうがいいかを評価して行動する。
といった現実や行動にフォーカスを行って改善や打開策を実行に移していきます。
これができれば簡単なのですが、なかなか難しい場合もあります。
しかし小さなステップから一つずつ進めていくと意外と状況を打開できることもあります。
2つ目の「認知的にアプローチする」では例えば、
- お金が多く得られないことをネガティブに捉えていないか?受け入れて進んだほうが実は良いのではないか?
- 失敗やミスをしやすい要因を探し、受け入れ、悩みの世界から脱却し、実行しやすくする
- 人間関係の苦手さを受け入れ、適切な理想を持ちながら、悩みの世界から実行しやすい世界観へ
- 病気や障害に対する自分自身への偏見やネガティブな捉え方を変換し、受け入れ、前に進みやすくする
- 自分の持っている資源にも注目し、ダメだと思っているところも受け入れながら肯定感を持つ
- 自分のこころに向き合うべきか、向き合わないべきかを評価し、適切に心理を用いる
といったような心理的アプローチを行って現状の改善を行っていきます。
また理想と現実のバランスの開きを是正し、生き易い理想へと変容していくことも有用です。
この2つをバランスよく捉え、行っていくことが得意なものとして有名な「認知行動療法(CBT)」があります。
常識との闘い
多少の「生きづらさ」や「生きにくさ」は、誰しも持っているものかもしれません。
この時代に非を唱え、違和感を感じ、声を出し、世の中を変えるという流れは、どの時代も起こります。
昔は学生運動など表立って行われてきましたが、今ではネットやメディアを通して議論が挙げられ、世のスタンダードが変化していっています。
そういった意味でも必ずしも「生きづらさ」や「生きにくさ」は不必要なものではなく、新たな時代の常識の変化を促すものであったりもします。
人権の重要性、精神的苦痛への配慮、永続的な社会活動など近年になってその重要性を増してきています。
とあれば、ある程度の生きづらさには目をつぶり、我慢することも大切ですが、同時にその声を表に出していくことで小さな変化から社会を動かすムーブメントになることもあります。
物理的幸福を得た私たちは、次に精神的幸福を目指し、永続的な社会活動を求めて旅をしている生き物のように私自身は感じます。
それは容易ではなく、時に命を削るような苦境に立つこともあります。
昔の先人たちも声を出し、その時の正義や常識と戦ってきました。
命を削るほど無理はして欲しくないですが、「受け入れるところ」と「訴えるところ」のバランス感覚も今の時代には、求められているように思います。
カウンセリングや認知行動療法(CBT)の有用性
その「生きづらさ」を共感できる友人や知人がいれば相談できたりすることもあります。
しかしなかなか相談できない状況もあったり、慢性化してうつ病や抑うつ気分、落ち込みなどもあれば難しい場合もあるかもしれません。
そんな時にカウンセリングや認知行動療法(CBT)のような心理療法を行ってみるのも非常に有用になります。
個性を出しやすくなった反面、その個性を感じやすくなり、他者が共感しにくいエリアまで知覚しやすい時代になってきています。
その「生きづらさ」に共感し、理解してくれる存在や体験を得て、適切な方法でともに伴走する第三者がいることはその人の人生にとって非常に有益になる人も多いように感じています。
依存をするような関わりではなく、必要な時に必要なセッションを行う心理のプロフェッショナルに相談することは海外では当たり前になってきています。
日本でも利用しやすい状態になっていますが、どこか敬遠するような風潮が残っている人もいます。
自分の中で悩み抜き、答えを出して前に進むことも素晴らしですが、時にはそういったものをうまく活用することも「生きやすさ」につながっていくものです。
ストレスへの対処能力であるストレス・コーピング能力が高い人ほど他者に相談できると言われています。
カウンセラーや心理のプロのみならず、家族や友人、知人に自分の悩みや考えを公開して、相談してみることで道が開けていくこともあるかもしれません。
また厚労省や自治体、各種団体などもサポートをしてくれますので最後にご紹介します。
厚生労働省「生きづらさを感じている方々へ」
生きにくさネット
生きづらさJAPAN
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記事監修
公認心理師 白石
「皆様のお役に立ちますように」