過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではフリッツ・パールズと「ゲシュタルト療法」について書いていきたいと思います。

フリッツ・パールズについて


フレデリック・サロモン・パールズ(Frederick Salomon Perls)

フレデリック・サロモン・パールズ(Frederick Salomon Perls)は、1893年ベルリンで生まれたドイツ(ユダヤ系)の精神科医です。

医学を専攻し、第一次世界大戦中はドイツ軍に従軍したのちに博士号を取得します。

ウィーンで精神分析の訓練を受け、1930年にローラ・ポスナーを結婚しますが、迫害から逃れるために南アフリカへ移住し、精神分析の研究所を設立します。

研究発表の評価やフロイトとの関係性、精神分析の理論や技法の方向性の違いなどもあり、精神分析の世界と決別していきます。

1940年代になって二人はニューヨークに移り住み、ウィリアム・アレンソン・ホワイト精神分析研究所にて診療を行いながらも世の中の不条理や矛盾を是正しようとする改革や進歩主義に影響を受けます。

1952年にニューヨーク・ゲシュタルト療法研究所をローラと設立し、「ゲシュタルト療法」という名称を用い、広まっていきます。※日本の禅の修行もしており、その影響も受けています。

1960年代後半に二人は別れてしまいますが、パールズはカリフォルニアに移住し、精神療法の変革に努められました。

主著には、

1946年「自我の飢餓と攻撃性」
1969年「ゲシュタルト療法バーベイティム」
1973年「ゲシュタルト療法–その理論と実際」

などがあります。

パールズの提唱した「ゲシュタルト療法」は、カール・ロジャースの「来談者中心療法」や近年の神経言語プログラミング(NLP)の発展にも貢献しています。

ゲシュタルト療法


ゲシュタルト療法の説明をするにあたってその前史を知ることから始めます。

18世紀カントが「私たちの知識が精神と感覚に制約されているのであれば決して自分たちは外部に何があるのか知り得ない」と指摘したところからスタートし、1920年代頃カール・ユングは「人々に必要なことは内的自己とコンタクトをとることだ」と述べ、1943年頃マックス・ウェルトハイマーは「生産的思考」などの概念を提唱し、1950年頃カレン・ホーナイが「〜すべき理想の自己」について注意を喚起した。

私たちは物事を認識する際に「個人的なレンズ」を通してコード化しています。

パールズによれば、「現実についての個人的感覚は、出来事そのものではなく、私たちが経験を見るその方法によって創られる。このことは容易に忘れ去られるし、認識されることも少ない。わたしたちの唯一の真実は自分自身の個人的真実だけだ」といいます。

前置きが長くなりましたが、「ゲシュタルト療法」とは、思考や感情、身体を統合し(ゲシュタルトは統合された形という意味)、今ここで起きていることに焦点を当てて「なにをどうしていくのか?」を相手の主体性を重視しながら「気づき」などを行なっていく療法です。※主にグループワークによる

ゲシュタルト療法の特徴として、

・内的経験や感覚、思考と感情のコントロールを堅固にする
・環境をどう解釈するか?どう応答するか?という力が備わるようにする
・「自分を自分以上に立腹させられるものは他にいない」という格言がある
・自分がどのように振る舞い、どう対応するかについての責任を持つ
・治療側に主導権が多かった当時において患者側の主導権を大切にした
・自覚する力を育て、注意力と集中力を育てる
・「今ここにいられる」という能力が重要である
・「なぜ?」よりも「なにを」「どうのように」が重要視される
・治療者と患者の共感的な関係性によって行われる
・過剰な思い込みや幻想を正しい状態や言葉に変換する
・「〜すべき」を「〜したい」に変換する
・自分への洞察、コントロール力、不要なものと必要なものを判断する力を大切にする

などがあります。

ゲシュタルトの祈り


「ゲシュタルトの祈り」とは、パールズがつくったゲシュタルト療法の基本思想を要約する目的で書かれました。

自分の欲求に従い、他者による充足を求めない重要性を説いています。(以下参照)

私は自分のことをし、君は君のことをする。

私は君の期待に応えるためにこの世界にいるわけではないし、君にしても私の期待に応えるためにこの世界にいるわけではない。

君は君で、私は私だ。

そしてもし偶然、私たちが出会うことができたならそれは素晴らしいことだ。

そうならないのであれば、それはそれで仕方がないことなのだ。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか

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