過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではアンナ・フロイトと「自我心理学」「自我の防衛機制」について書いていきたいと思います。

アンナ・フロイトについて


アンナ・フロイト(Anna Freud)

アンナ・フロイト(Anna Freud)は1895年にウィーンで生まれ、精神分析の創始者であるジークムント・フロイトの六番目の末っ子であり、防衛機制や児童精神分析研究で功績を残されたイギリスの精神分析家です。

アンナは聡明で病弱でしたが、両親は多忙であったり、両親のお気に入りは姉であったりと葛藤も多くあったようですが、叔母のミーナに可愛がられたようです。

父ジークムントはアンナを医師や精神分析医にする予定は当時なかったようですが、外国語の勉強が幸いして海外からの患者と話す機会に恵まれます。

姉たちが次々と結婚していく中で、美人であったアンナは結婚をせずに生涯独身を通しました。

17歳で教員免許を取得し、教師として働いていましたが、健康上の問題から静養している中で「児童分析」を行うようになりました。

児童分析の講義は支持されましたが、イギリスではメラニー・クラインが大きな影響力をもっていたため批判の対象となりました。

※クラインは無意識を重視した「対象関係論」、アンナは自我を重視した「自我心理学」といった基本的なコンセプトに違いがあります。

またアメリカでは、医師免許を持っていなかったアンナは残念なことに相手にもされなかったようです。

アンナは父との精神分析を数年にわたって行い、1923年ごろから子供の精神分析的治療をウイーン精神分析サークルなどで行なっていきます。

アンナの児童分析は、

①遊びなどを取り入れながら信頼関係を構築する
②夢、白昼夢、描画、遊びから無意識を理解する
③成人のような転移はないが、陽性の転移は望ましいとした
④発達を妨げず、過剰に満たさない程よい養育とする

などの特徴がありました。

父がガンに侵されていることが判明し、国際精神分析学会の事務局長やウィーン精神分析訓練研究所の所長を引き継ぎます。

そして児童心理学や戦争が子供に与えた影響などを調査し、多くの研究が発表されました。

自我心理学


父ジークムント・フロイトと娘アンナ

自我心理学(Ich Psychologie)は、精神分析的自我心理学とも呼ばれ、アンナによって創始された精神分析のひとつの学派です。

無意識や抑圧に注目した父ジークムントが晩年「抑圧されるものに注目しすぎてきた。私たちは抑圧するものにも注目しなくてはならない」と語りました。

アンナは「自我」を研究の対象として、自我の防衛方法、自律性、現実への適応などを明らかにしていきました。

クラインが率いる無意識を重視した「対象関係論」の理論をベースとしたクライン派との論争が長くありましたが、現代では無意識も意識も双方に大切であると統合して考えることも多くなっています。

アンナが父ジークムントの80歳の誕生日に贈ったのが「自我と防衛」で、フロイトはたいそう喜んだようです。

防衛機制とは、不安や情動から自分を防衛するための「自己防衛活動」です。

自我の防衛機制


受け入れがたい事や危機的状況に対して自分の精神状態を安定させ、自分を守るための無意識的な働きが「自我の防衛機制」です。

父ジークムントが「抑圧」など自分を防衛するこの言葉と概念を9種類紹介し、アンナはそれらに「昇華」を加えて10種類の防衛機制があると提唱しました。

ジークムントの防衛機制は、

・抑圧(無意識的に情動や欲求を抑え込む)
・退行(幼児期の言動や精神に戻ってしまう)
・反動形成(受け入れがたい衝動や欲求を反対のものに変換する)
・分離(思考と感情が切り離される)
・投影(自分の感情が他人のものとして転じてしまう)
・打ち消し(前の行動を打ち消すように反対のことをする)
・取り入れ(他者の部分要素を取り入れ自分を守る)
・自己への置き換え(他者への感情を自分に向ける)
・転倒(感情や欲求を反対のものに変化させてしまう)

の9つです。

アンナの提唱した「昇華」とは、非適応的な感情や欲求を適応的なものに変化させることです。※例えば、失恋の悲しみと怒りをエネルギーに変換して仕事に精を出すといったようなことです。

またアンナは

幼児期:現実否認、同一化、愛他主義
思春期:禁欲、知性化
発達早期:退行、逆転、自己への置き換え
発達後期:抑圧、昇華

といった成長時期による類型から考える防衛機制を発表しています。

おわりに


最後にアンナの名言をひとつご紹介したいと思います。

いつも自分の外側で見つけようとしていた強さや自信は、実は自分の内側から訪れるものであった。それはいつも内にある。

アンナ・フロイト

参考文献

精神分析的人格理論の基礎 馬場禮子著
アンナ・フロイト-その生涯と業績 山崎 篤
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか

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