過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではロバート・ザイアンスと「単純接触効果(ザイアンス効果)」について書いていきたいと思います。
ロバート・ザイアンスについて
ロバート・ザイアンス(Robert Zajonc)は、1923年ポーランドにあるウッチに住む家庭の一人っ子として生まれました。
ナチスのポーランド侵攻によりワルシャワへ亡命しましたが、亡命先で両親は爆弾で亡くなり、ザイアンスも重傷を負いました。
ドイツの労働者収容所に送られましたが、脱獄しますが、捕まりまってしまいます。
釈放されたのちにフランスのレジスタンス運動に加わりながらパリ大学で学び、第二次世界大戦後はアメリカへ渡ります。
ミシガン大学で心理学の博士号を取得し、スタンフォード大学で心理学の名誉教授に就任しています。
プライベートでは、社会心理学者(文化心理学者)のヘイゼル・ローズ・マーカスと結婚しています。
主著には、
1968年「単純接触の態度上の効果」
1975年「生まれた順番と知的発達」
19080年「感情と思考」
などがあります。
単純接触効果(ザイアンス効果)
単純接触効果(ザイアンス効果)とは、繰り返し接触すると好感や印象が高まる効果のことを言います。
ザイアンスの関心は、感情と思考の間の関係や情動と認知の交差にありました。
ザイアンスより先にエドワード・ティーチナーが親密性が増大するに従って親しみの感情が増えていくことを提唱していますが、当時はあまり受け入れられなかったようです。
ザイアンスはこの領域に対して研究をおこない、
・好みは理性的ではなく、好みに優劣はない
・定期的に会うと好意を感じやすい
・敵意→好奇心→親しみといった進化生物学的流れがある
・夫婦は互いに共感し会うことが多いため顔が似てくる傾向がある
などの提唱を行なっております。
なぜこのようなことが起きるのか?ということに対して「知覚的流暢性誤帰属説」を挙げられています。
これは接触することによってその刺激に対しての知覚情報処理効率が上昇することによって刺激への親近性が高まることで起こっていると考えられています。
営業でも、広告でも、人間関係でも、何度も何度も会えば親しみがわき、好意を持たれたり、購入してしまったりするものです。
ひいきや愛着といったものに変容していくためには接触機会を増やすことが有効であるということです。
嫌いな人と接触が増えれば増えるほどストレスを抱えそうですが、それが続き、受け入れが進むのか?慣れてくるのか?いつのまにか当たり前になってストレスというよりも愛着がでてくることもあります。(逆もありますが)
ザイアンス効果で全ては語れませんが、うまく活用することで人生をより良く生きることもできるかもしれません。
最後にザイアンスのシンプルな言葉を紹介します。
見れば見るほど好きになる
ロバート・ザイアンス
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか
記事監修
公認心理師 白石
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