過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではエンデル・タルヴィングと「意味記憶とエピソード記憶」について書いていきたいと思います。

エンデル・タルヴィングについて


エンデル・タルヴィング

エンデル・タルヴィング(Endel Tulving)は1927年エストニアのタルトゥの裁判官の息子として生まれます。

私立学校で教育を受け、模範的な生徒ではあったが、勉強よりもスポーツの方に関心があった。

1944年にロシアが侵入してくると兄弟共にドイツへ逃亡し、勉強の中断や両親との離別を経験します。

第二次世界大戦後はアメリカ軍で翻訳者として働き、カナダへ移住します。

1953年にトロント大学の心理学科を卒業し、修士号を取得、ハーバードにて博士号も取得します。

人間の記憶に関する研究を多く行い、「エピソード記憶」などの概念を提唱し、記憶研究に多大な功績を残しています。

主著には、

1972年「記憶の組織化」
1983年「タルヴィングの記憶理論」
1999年「記憶・意識・脳」

などがあります。

意味記憶とエピソード記憶


タルヴィングは記憶研究において、「情報の貯蔵」と「情報の想起(思い出す)」仕組みと相互関係に興味を持ちました。

この時代、長期記憶と短期記憶の区別がすでに提唱されて一般化しつつあったものの長期記憶がひとつだけではないとタルヴィングは思っていました。

研究により事実や知識の貯蔵である「意味記憶」と経験や思い出に基づいた情報である「エピソード記憶」があると提唱しました。

タルヴィングは、エピソード記憶に基づく想起を「心的時間旅行」と呼んでいました。

研究を進めていく中で気づいたのは、どちらの記憶も分類整理される「組織化」が想起されるためには重要な役割を果たしているということでした。

思い出せないからその記憶は消失したということよりも想起することができない「検索(再生)」の問題の方が可能性として高いという見解も示しています。

また組織化だけではなく、自分の感情(情動)に強く訴えるような記憶は思い出しやすくなります。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著

記事監修
公認心理師 白石

「皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っています」

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