過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではドナルド・ブロードベントと彼が提唱した「選択的注意と短期記憶」について書いていきたいと思います。

ドナルド・ブロードベントについて


ドナルド・ブロードベント(Donald Broadbent)

ドナルド・ブロードベント(Donald Broadbent)は1926年イギリスのバーミンガムに生まれます。

若くして両親が離婚しましたが、ウィンチェスター大学奨学金を得て17歳で英国空軍に入り、パイロットの訓練や航空工学を学びます。

空軍の訓練の一環でアメリカへ渡った時に心理学と出会います。

空軍を除隊したのちケンブリッジの実験心理学者フレデリック・バートレットから心理学を学び、応用心理学研究所(APU)にて研究を行い、所長を務めます。

APUの指導者クレイクのサイバネティックの考えを心理学に取り入れ、「ノイズの行動に及ぼす影響」を研究しました。

彼自身は3度の結婚をし、性格は内気で寛容、そして仕事は実践で用いられるものでなければならないという強い信条を持ち、堅物な要素もあったようです。

その後の研究では、知覚プロセスが意味や内容によって規定・成立することを主張します。

1991年に引退するまでオックスフォードのウォルフソン・カレッジの会員に任ぜられ、66歳で亡くなられました。

主著には、

1958年「知覚とコミュニケーション」
1971年「意志決定とストレス」
1993年「人間知能のシュミレーション」

があります。

選択的注意と短期記憶


パイロットには多くの作業を行う必要があり、指示司令や航空機能を使いこなすためにはしばしば困惑させられたようです。

そんな経験を持つブロードベントは、人間の「情報処理過程」に関心を持ちます。

人間の「脳」を情報処理機械として捉え、パイロットや司令部との研究を行ったところ、明らかになったのは「一度に一つのメッセージしか有効に処理できない」ものであった。

私たちの脳は五感を通じて送られる大量の情報を「取り除く(フィルタリング)」する機能を持ち、処理が難しくなると「ボトルネック」に送られフィルタリングされ、一つの回路だけその先へ伝達される。

ブロードベントはY型のチューブの両方からボールを入れるとどちらかがせき止められ、一方のみボールが下に抜けるという例えで表現しました。

この感覚から短期記憶の貯蔵庫に移行する際に選択的注意が行われるとするモデルを「記憶のフィルターモデル」として発表しました。

ブロードベントは注意を向けていない情報は完全に失われるとしましたが、トリーズマンの実験で意識されないまま意味処理がされていること(注意の減弱モデル)が明らかになり、注意を向けていない情報を認識することもあるということも他の研究からわかっています。

実地での活用を最も大切にしたブロードベントは自分の主張に間違えがあった場合、それを歓迎し、実地で生かせる社会的発見を歓迎するマインドを持っていました。

ブロードベントの提唱は認知心理学とコンピューターサイエンスなどへ大きな功績を残しています。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著

記事監修
公認心理師 白石

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