「Who am I?」という質問に対し、「私は~です。」という形で20個の回答を出していくテストをご存知でしょうか?
「Who am Iテスト」とか「WAIテスト」と呼ばれるのですが、非常にシンプルでいて、自己理解の役に立つテストです。
就職活動などでの自己分析のためにこのテストをやったことがあるかたもいるのではないでしょうか。
ちなみに自己分析を間違えると職業選択を間違える可能性も大きくなると言われているくらい大切なものです。
この記事では、少しでもご活用いただけるように「WAIテスト」について詳しく書いていきたいと思います。
もくじ
「WAIテスト(Who am Iテスト)」
「WAIテスト(Who am Iテスト)」とは、クーン博士とマックパートランド博士(Kuhn,M.H.&McPartland,T.S.)が作成した「私は誰?」というシンプルな質問に対し、20個の回答をしていくことで自己分析と自己理解を行えるテストです。
海外では、「20ステートメント(20 Statements)」や「Twenty Statements Test」を略して「TST」と呼ばれていたりします。
まずはやってみてもらうと良いのですが、注意点があります。
人の目や評価を気にしすぎると、
・無意識的な自分
・自分でもあまり知らなかった未知の自分
・隠しておきたい自分
・本当の欲求や希望
・実は大切な性格の悪いところや短所
などが抽出できず、自己理解と分析が浅く終わってしまうこともあります。
それでは意味がないので、正直に隠さず、思ったまま書いていくことが大切です。(上記箇条書きに囚われなくていいです)
でははじめてみましょう。
「私は誰ですか?」という質問に対して紙とペンを用意して「私は○○です。」と20個書いてください。
印刷して記入しても、携帯電話のメモ帳の機能を使っても良いです。
進むにつれて書くことがなくなってもできるだけ20番まで書いていってください。
制限時間は5分です。
1. 私は です。
2. 私は です。
3. 私は です。
4. 私は です。
5. 私は です。
6. 私は です。
7. 私は です。
8. 私は です。
9. 私は です。
10.私は です。
11.私は です。
12.私は です。
13.私は です。
14.私は です。
15.私は です。
16.私は です。
17.私は です。
18.私は です。
19.私は です。
20.私は です。
書き終わりましたでしょうか?
ではこの記入していただいた回答をもとに評価を行っていきましょう。
WAIテストの評価と解釈
まず回答をご自身で見返してみてどのように感じたでしょうか?
感想を赤字でその紙に書いてみるといいですね。
共通点のあるものとか、意外性のあるものとかいろいろ出てきたのではないでしょうか?(なくてもいいです)
さて次にその回答のポジティブな見解とネガティブな見解の比率はどのような感じでしたでしょうか?
事実を多く書いている人もいれば、ポジティブな解釈をしている人もいれば、否定的な見方をしている人もいると思います。
このテストは、心理学的には「投影法」の文章完成法という手法を用いた検査で、答えがないシンプルな設問によって被験者が意識していない無意識の欲求や性格、感情などを抽出しやすくなります。
回答が下に向かうに従って、振り絞って書く事が多く、自分でも気づいていないような無意識的な欲求とか悩み、セルフイメージが出てきやすい特徴があります。
一般的には、
①1~5(1~10)番 「よく知っている個人的な性格や特性」
②6~14(11~15)番 「意識化されている欲求や深層心理のセルフイメージ」
③15~20(16~20)番 「無意識的な欲求や抑圧された悩み」
といった解釈や評価がされます。※答案番号などの区切りは諸説有るので、あくまで目安にすると良いと思います。
無意識的な欲求とか悩み、セルフイメージなどはでてきましたでしょうか?
その回答に赤丸や赤でアンダーラインなどを引いてみると視覚的に理解しやすいかもしれません。(15~20番目でなくても良いです)
あえて最初にあまり説明しなかったのは、15~20番目の最後の方の回答が非常に重要になりやすいことを知られないためです。
わかっているとついつい意識しちゃいますもんね。(それでもできることもありますが)
自分の性格や特性をよく書いている人もいれば、願望や実現したいことをたくさん書く人もいれば、好き嫌いを書くのが多かった人もいれば、過去のことを多く書いてしまうこともあれば、未来のことばかり書いてしまうこともあります。
あなたはどのようなことを多く書いていましたか?
この20回答を書くことで自己理解と分析を深めることができるのですが、それは言葉を変えると「今の自分の状態」も映し出しています。
自分の調子が悪い時は悲観的であったり、否定的な見解がつい多くなるものです。
人生うまく行っていたらポジティブで建設的な見方が自然にできたりするものです。
過去に囚われたり、未来に希望を見る時期もあるでしょう。
そういった自分の状態も回答に反映されやすく、理解し、分析できるポイントの一つです。
説明したことをわかりやすく箇条書すると、
①20回答直後の感想
②共通点や意外性があるものはありましたか?
③ポジティブな見方とネガティブな見方はどうでしたか?
④過去のことが多かったですか?未来が多いですか?
⑤自分でも気づいていないような無意識的な欲求とか悩み、セルフイメージはどうでしたか?
⑥どのようなことを多く書いていましたか?
⑦自分の今の状態(現状)もそこから感じられますか?
とここまで評価・解釈してくるといろいろな気づきが生まれることもあります。
それは例えば「意外と自分を悪く(良く)見る癖があるな~」ですとか、「実は○○したかった人間なんだ~」とか、「自分でも気づかない思いや欲求、悩みがあったんだ」などですね。
そしてここまでくると最後に「総括」をしていくと良いですね。
この時には、回答した直後の感想と異なっていて良いので、気づきなどをまとめてみて締めくくってみてください。
これで終わりなのですが、実はもっと「WAIテスト」の本領を発揮させることができる方法があります。
Who is he(she)テスト
「彼(彼女)はどのような人ですか?」という質問に対し、あなたのことを20回答してもらう方法です。
家族や親しい人など自分のことを長い期間知っている人や深く親密な関係の人にお願いをして書いてもらいます。
一番良いのは「忖度なし(そんたくなし)」で気を使わずありのままに書いてもらうことなのですが、ストレートに書かれて喧嘩やトラブルになりそうであれば、この方法は使えなかったり、条件設定をするしかありません。
条件設定とは彼(彼女)である私の良いと思うところ20回答といったポジティブな内容です。これでも気づきがあったりするのでやってみる価値はあります。
また「忖度あり(なし)」という設定も状況によって設定するといいですね。
ただ悪口や批判に感じやすいですが、他人から見える自分の「短所」を知ることがものすごく人生で価値を生むことが多くあります。
ある程度心理状態がよく、ストレスの負荷に対応できるときには、「私の悪いところ(短所)20選」などを書いてもらうのも良いかもしれません。
基本的には、自信がないときには「良いところ」を、自信があって余裕のあるときには「悪いところ」を見ていくとバランスが取れやすくなると言われています。
(自信がないときにはあえて自信を持って、自信があるときは自信をセーブしてといった具合です。これ投資の世界でも同様のようです。)
相手の本心や自分への評価なども抽出されてしまいますからその旨を両者が理解し、喧嘩や争い、テスト後の追究のないようにお互いが承諾しておくほうが良いかもしれません。
またいつも自分を否定的に観る人は、否定的な見解が多くなる可能性も鑑みておく必要があります。そして回答は必ずしも正しいというわけではなく、その人の解釈や思い込みも入っていることも知っておくことが必要です。
第三者(カウンセラーなど)を介して複数人の回答を本人がみないようにして誰が何を書いたかわからないように集計する方法もあります。
やり方は「彼/彼女(あなたの名前)はどんな人ですか?」という質問に対して紙とペンを用意して「 彼/彼女(あなたの名前) は○○です。」と20個書いてもらってください。
手間になるのでこちらで紙やペンを準備し、印刷しておくのもよいでしょう。
進むにつれて書くことがなくなってもできるだけ20番まで書いてもらってください。
制限時間は同じく5分です。
ですので「5分ほど時間もらえるかな?」と事前に承諾を戴いてくださいね。
※彼/彼女(あなたの名前)のところは略して「あなた」と表記しておきます。
1. あなたは です。
2. あなたは です。
3. あなたは です。
4. あなたは です。
5. あなたは です。
6. あなたは です。
7. あなたは です。
8. あなたは です。
9. あなたは です。
10. あなたは です。
11. あなたは です。
12. あなたは です。
13. あなたは です。
14. あなたは です。
15. あなたは です。
16. あなたは です。
17. あなたは です。
18. あなたは です。
19. あなたは です。
20. あなたは です。
ジョハリの窓から考えるとよくわかる
ジョハリの窓(英語:Johari window)とは、サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムが発表した自己分析のモデルです。
彼らは自分から見た「自分」と他者から見た「自分」を組み合わせて4種類の「自分(自己)」に分けました。
それは、
①自分も他者も知っている「自分」・・・開放の窓
②他者は知っていて自分は知らない「自分」・・・盲点の窓
③自分は知っていて他者は知らない「自分」・・・秘密の窓
④自分も他者も知らない「自分」・・・未知の窓
の4つの区分になります。
このモデルから考えると、「WAIテスト」だけではなく、「Who is he(she)テスト」を行うことで自分を理解できる範囲が一気に広がることがわかると思います。
他者から見える「自分」を知らなければ、実は①~④の中で一つも完成されないのです。
それでは自己理解と自己分析の大きな欠陥となってしまいますが、実際は聞く機会もないですし、聞くきっかけもなかなかありません。
そこでこの記事をご覧になっている機会に、就活に、転職に、人生の転機にこの 「WAIテスト」を行って、少し勇気を振り絞って「Who is he(she)テスト」 に協力してもらってはいかがでしょうか?
何のために協力して欲しいかを説明していくと協力してくれやすくなるかもしれません。
この機会に自己理解や自己分析のお役に立てられれば幸いです。
記事監修
公認心理師 白石
「皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っています」
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