心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではローレンス・コールバーグ「6段階の道徳性発達理論」について書いていきたいと思います。
ローレンス・コールバーグについて
ローレンス・コールバーグ(Lawrence Kohlberg)は、1927年ニューヨークの家庭の四人兄弟の末っ子として生まれます。
第二次世界大戦が終結するときに高校を卒業し、船乗りとしてユダヤ人難民のパレスチナへの密航をサポートする仕事に就きます。
その後は、シカゴ大学に入学してわずか一年で学位を取得し、ジャン・ピアジェの認知発達理論の影響を受け、博士号を取得します。
エール大学やハーバード大学で教壇に立ちましたが、1971年にベリーズでの仕事では伝染病にかかり肉体的・精神的苦痛に苦しむ日々を過ごします。
1974年にハーバード大学へ復職しますが、苦痛とうつ病に苦しめられ、1987年に自殺しています。
主著には、
1969年「道徳性の形成ー認知発達的アプローチ」
1976年「道徳段階と道徳化」
1981年「道徳的発達」
などがあります。
道徳性発達理論
コールバーグの考えでは、道徳性は幼年期と思春期を通じて徐々に発達すると言います。
3年ごとに20年間、72人の少年に対し、どちらを選んでも満足できないような質問をする調査を行いました。
その回答をもとに発達は6段階を通して発展していくと理論づけました。
■慣習以前のレベル(9歳までの期間)
①服従と懲罰の段階(善悪を懲罰や服従で考える段階)
②個人主義と交換の段階(善悪を報酬や利益によって考える段階)
■慣習的レベル(思春期から青年期にかけて)
③喜びと「良い子」の段階(助けや喜びなど良い子であるかどうかで考える段階)
④法と秩序の段階(権威の尊重や法への服従、社会的側面を考える段階)
■脱慣習的レベル(協調を超える段階で全体の10〜15%の人が到達する)
⑤社会契約と個人の権利の段階(規則も大事であるが生命の尊さに気づく段階)
⑥普遍的倫理観原理の段階(万人を尊重する段階)
コールバーグは、このように発達の発展を考え、子供は他者との関わりと相互作用を通じて尊敬や共感、愛に気づくことで道徳性を発達させると語っています。
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか
記事監修
公認心理師 白石
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