「未来に明るい兆しが見えない」「今後どうなるかわからない」など先が見えない不安を感じることがあります。

それは暗く永遠に続くかのようなトンネルにも例えられます。

この記事では、「先が見えない不安」とカウンセリングについて書いております。

先が見えない不安


先が見えない不安とは、未来に対して今やっていること、今頑張っていることに意味や期待、報酬性が持てない時に感じるものです。

この記事を書いている2021年はコロナ禍による先行き不透明な状況であり、このような事態により先行きが不安に感じやすくなります。

「このままでいいのだろうか」
「このままやってて大丈夫なんだろうか?」
「どうしたらいいんだろう」

疑念や諦め、不安、絶望感に苛まれることもあります。

人によって何に対して感じているかは異なり、

・このままの進学・進路でいいのか?
・今の仕事で大丈夫なのだろうか?
・このままの今の人と付き合っていていいのか?
・今のやり方や生き方でいいのだろうか?
・ここにいていいのだろうか?
・何か変えていかないといけないんじゃないか?

など様々なことを考え、悩むものです。

そこから新たな道を検討・修正したり、より良い方向性へとシフトしていければいいものです。

それが容易にできる状況もあれば、苦悩し、悩み続けた上で変化するような時間が必要なこともあるでしょう。

驚くべきスピードで発展・変化する人間社会、その影響によって変化する地球環境、わたしたちの先祖も「生き残る」には再検討や修正、変化を必要に迫られて行なってきたと思います。

行わなければ生き残れない時代も多かったと思いますが、そのスピードの加速はますます早くなり、その対応に追われることが増えている特徴が現代にはあるかもしれません。

現代では、

・時代の変化により先行き(さきゆき)が不安になる
・新型コロナの影響により先行きが不安になる
・業界の衰退により先行きが不安になる
・失敗の連続により先行きが不安になる
・国家の情勢により先行きが不安になる
・「今後もうまくいかない」と思い込んで先行きが不安になる
・自分の能力の低さや不適応さを感じて先行きが不安になる
・自分の歩む道がわからなくて先行きが不安になる
・借金や病気、障害、介護などにより先行きが不安になる
・ストレスでもう耐えられない状況で先行きが不安になる

など理由も様々です。

軽い不安がでるくらいの方もいれば、不安と恐怖に押しつぶされそうなぐらい強い重荷を背負っている方もいます。

そもそも不安とは何か?


一般的に緊急事態で目の前に迫っている時には、わたしたちは「恐怖」を感じ、未来や脅威がそれよりも遠い場合には、「不安」を感じます。

なぜわたしたちは恐怖や不安を感じたりするのでしょうか?

それには人体の仕組みを知ることが必要になります。

今でこそ戦争や獣に襲われる危険性がなくなったものの、人類の歴史から言えばそういった危険性とともに歩んできた歴史があります。

動物でも同様のことが言えますが、命を守ることを最重要選択として自分を守る「自己防衛本能」が体には備わっています。

恐怖を感じると「戦うか」「逃げるか」「フリーズするか」という反応が自動的に現れます。

※フリーズは、体を硬直させ獣などの脅威から気を悟られないようにする反応です。

脅威から離れ、恐怖が遠くなると「不安」という感情を用いて対象を避けたり、リスクを考えることに専念するのです。

恐怖や不安によって慎重になることで命を落とす確率を下げてきたのです。

そうやって代々受け継がれてきた命の結晶がわたしたちです。

日本人に多い不安遺伝子

住んでいる地域の特性や人種によって特徴的な遺伝情報が異なります。

日本人にも心的・性格的に特徴的な要素があります。

ここでは不安遺伝子と呼ばれる「セロトニントランスポーター遺伝子」について説明していきます。

セロトニントランスポーター遺伝子には「SS型」「SL型」「LL型」の3種類があります。

「SS型」に近いほど不安や恐怖などの悲観的(ネガティブ)になりやすく、「LL型」に近くなるほど安心などの楽観的(ポジティブ)になると言われています。

○S遺伝子だけもつSSタイプ
日本 68.2%
アメリカ 18.8%
○S遺伝子とL遺伝子をもつSLタイプ
日本 30.1%
アメリカ 48.9%
○L遺伝子だけをもつLLタイプ
日本 1.7%
アメリカ 32.3%

クラウス-ピーター・レッシュ「サイエンス」1996 中村敏昭「アメリカン・ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネディスク」1997

「SS型」68.2%、「SL型」30.1%という結果から、日本人のほぼすべての人が不安や恐怖などの悲観的(ネガティブ)になりやすい傾向を持つということが遺伝子から分かっています。

セロトニンに関係してる遺伝子という限定的な見解ではありますが、日本人の不安や恐怖、悲観的な特徴はこういったところから説明が付きます。

不安がでやすい、不安をよく用いてきた民族であることを遺伝子が物語っています。

戦や山賊、海賊、切腹といった人為的な脅威、地震や洪水、台風などの自然の脅威が多い日本では、不安や恐怖のアンテナを強くしておかなければ生き残ることが難しかったのかもしれません。

「恐怖−過敏−不安」システム

恐怖を感じ、恐怖を学習すると神経は高ぶります。

要するに過敏になるということです。

ですので通常よりも不安もたくさんでてくるものです。

また不安によって強迫的傾向が強まることも少なくありません。

このような人体の防衛の仕組みを知らないことによって、「なんで自分はこんなに怖がったり、不安が強いんだろう?」「なんでこんなに神経質になったんだろう?」と疑問を自分に投げかけ、その責任の所在を自分の心的弱さにしてしまいます

そうすることによって自責し、ますます自分を弱め、より恐怖が強く感じるようになり、より過敏に、より不安になっていく負のスパイラルに巻き込んでしまいます。

ですのでこういった仕組みがあることを知ることがまずは大切になります。

自分を批判しないことから始める

不安と恐怖が強くなっている自分を責めたり、批判することがある場合もあるためにこのような情報を書いていきました。

人にはそれぞれ特徴があります。

自分の力を弱めることはできる限り少なくしていくことが良い策である場合も多くあります。

みんな「自分の正しいと思うこと」を発信していることが多くあります。

それが活かせる場合もあれば、参考にならないこともあります。

あくまで自分自身が良い状態を作ることが大切になることが多くあると思います。

打開策とリスク


先行きが不安な状態は、多くの場合、このままではリスクがあると感じられる時に感じます。

ですのでそのリスクを回避できる、打開できることができればリスクは下がります。

感情的には、暗い気分に光が差し、明るい未来へと向かっていくような気分です。

今自分が感じているリスクに対してどのような打開策があるでしょうか?

どのようなシフトチェンジが必要でしょうか?

何を変えて、何を変えないでいることがいいのでしょうか?

それが簡単にわかれば苦労しませんが、このような問いが役に立つこともあります。

自分の中で答えが出る場合もあれば、人に相談して答えが見えてくることもあります。

行動としてのアクションが必要なのか?気持ちや心理的な問題なのか?両方が必要なのか?ということも一考が必要な時もあります。

今の自分に向き合い、精査しながら検討する時期であればカウンセリングは「使えるもの」かもしれません。

先行きが見えない不安に対するカウンセリング


どのようなことが先行きを見えなくさせているのか?どのくらい不安なのか?は人によって異なります。

自分の中での自問自答は視野が狭くなることもあるため、自分の考えや思いを外に出すことによって客観的に冷静に見つめることができます。

そして何が問題なのか?何をどうすればいいのかが見えてくることも少なくありません。

不安や落ち込み、諦め、絶望感などが強い場合、その気持ちが少しでも癒える、改善するために少し時間を取ってあげることも必要でしょう。

自分には自分にしかわからない苦悩があります。

その苦悩やその原因が明らかになることでスッキリとした気分になることもあります。

不安という感情はなくすべきものという単純なものでもなく、使い方、見出し方次第で有効に活かせる資源になることもあります。

それらの感情をどのように扱えばいいのかは人によって異なります。

自分に最善な捉え方をしていくことも有用ですので、その捉え方を一緒に考えていくことも行なったりします。

周囲の協力も必要な場合、そのようになるように働きかけが必要な場合もあります。

感情や悩みに時間と労力を取られている場合、どれくらい労力をかけるべきか?その他への労力や時間の掛け方、何を優先すべきか?などについても話していくことによって見えてくることも多いかもしれません。

しかしそれは感情に振り回されなくなってできることでもあります。

相談されるクライエントの感情や思いに寄り添いながら、その方の意志を尊重し、適切な形へと向かっていくようにカウンセリングを行なっていきます。

一番大切なのは、今の自分がより良い状態になり、先行きが見える打開策や方向性がみつかることだと思います。

そのような結果になるように全力でサポートしていきたいと思います。


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記事監修
公認心理師 白石

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