心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではニコ・フライダ「情動と無意識(情動心理学)」について書いていきたいと思います。
ニコ・フライダについて
ニコ・フライダ(ニコ・フリーダ:Nico Frijda)は、1927年オランダのアムステルダムで敬虔なユダヤ人家庭に生まれます。
第二次世界大戦中はユダヤ人迫害の被害を避けるために隠れながら生活する経験をしています。
1956年にゲメンテ大学で「顔の表情の理解」という論文で心理学の博士号を取得します。
オランダの軍隊神経センターで臨床心理学者として勤務したのち、アムステルダム大学の助教授と実験心理学や理論心理学の教授として教壇に立ちました。
その後、ヨーロッパ各地の大学で教授職に就き、現在は二人目の婚約者とともにアムステルダムに住んでいます。
主著には、
1986年「情動」
2006年「情動の法則」
2011年「情動の統制と自由意志」
などがあります。
情動と無意識(情動心理学)
私たちの情動(エモーション)や感情(フィーリング)はなぜあるのか?その目的は?それが何の役に立つのか?といった疑問を解決すべく、フライダは情動の研究(情動心理学)を行なっていきました。
恐れのような情動は、多くの動物に備わっている生物学的なものです。
それ以外の情動は、文化によって異なるなどの認知や思考と深く関わっています。
「情動」は身体感覚を通して自然に湧いてくるもので、情動は行為(逃げるか戦うか)を促し、本質的に無意識的過程であるとフライダは主張しました。
反対に「感情」は、自分の経験した情動の自己解釈であり、情動のように突如としてとらわれるようなものではなく、より意識的な過程を持つものです。
フライダは、
①怒り
②喜び
③恥ずかしさ
④悲しみ
⑤恐れ
の5種を基本的情動として定義しました。
嫉妬や罪悪感は他の動物に見られないとされているため除外しました。
情動は表情など外見に現れやすく他者に理解されやすい傾向があり、感情は隠すことができるため他者が推測することを難しくさせるとも語っています。
私たちの情動的自己と理性的自己は個室のように区切られているように感じられるが、実ははるかに深く連結している
ニコ・フライダ
後史として1991年に心理学者リチャード・ラザラスは『情動と適応』の中で、「思考は任意の情動や生理的高揚よりも先行している」と主張しています。
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか
記事監修
公認心理師 白石
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