私たちの心や思考はさまようものです。

今現在に集中し、常に仕事や学業にフォーカスし続けることはなかなか難しいものです。

集中しなければいけない場面でも時々違うことを考えたり、悩みの世界に入ることもあります。

そういった人間の特性を知るために「マインドワンダリング」について書いていきたいと思います。

心や思考がさまよう?


ある調査では、私たちが活動している時間の約30~50%という長い時間を心や思考がさまよって、いろいろなことに思いを巡らせてしまうという結果が出ました。

人によってその時間は異なりますし、余計なことばかり考える人もいれば、他者への配慮を気にしたり、創造的な思考をしている場合もあります。

「彷徨う(さまよう)」とは、そもそも気持ちが定まらなかったり、目的もなく移ろいだり、迷って歩き回るときに用いられる言葉です。

ストレスを感じない彷徨いや楽しい動きの彷徨い、現実に支障がない彷徨いであればよいのですが、悩みや反芻での彷徨いは非常にストレスになることもあります。

人によっては一日の多くをこの「彷徨い」で過ごす場合もあります。

それは特に行動が制限されている場面で起こりやすいかもしれません。

  • やることがない時
  • 引きこもりの時
  • 病気で長期間、仕事や学校を休む時
  • 悩みが多い時(強い時)
  • 大きなショックを感じることがあった後
  • 行動したくない時

人間は過去のことも未来のことも思考できる能力を進化させてきました。

その思考や心によって今の素晴らしい社会や文化を育んできましたが、その半面では苦しみを何回も頭の中で感じられる機能も持ち合わせてしまいました。

  • まだ起きてない苦悩を感じてしまう
  • 過去の嫌な思い出が何回も頭の中でリピートしてしまう
  • 嫌な気持ちがずっと心の中にある
  • 悪い想像をしてまだ起きていないストレスを今に感じてしまう

特にこのさまよいの現象が起きやすいのは、

  • 解決(改善・変化)したいことがある場合
  • ○○しなければ気が済まないけど勇気がいる場面
  • 苦手で嫌なこと(怖いこと)がある場合
  • 許せない何かを持っている場合
  • もう二度と○○が起きないようにと思う出来事がある場合
  • 大きなショックが起きて処理できない場合
  • 未来に希望が持てない、絶望が強い時
  • 自分を信頼できない、可能性を見出せない、適応できない時

などがあると思います。

一人で解決できない時は、誰かに相談したり、行動していくことでその状態が変化していくことがありますが、それでも難しい場面ではカウンセリングなどの専門的な相談を受けていくことで道が開けていく場合があります。

そんな「彷徨い」についてもう少し詳しく書いていきます。

「マインドワンダリング」とは何か?


マインドワンダリング(英語:mind wandering)とは、心や思考の彷徨いのことで上述した通り、ポジティブな機能とネガティブな機能を持ち合わせています。

現在の世界から離れて悩みの世界や過去の出来事、まだ起こっていないこと、現在やっていることとは関係のない思考に思いを巡らせるこの現象は「心のデフォルトモード」とも呼ばれます。

この現象は「ぼーっとしている時」にでやすいものです。

デフォルトというと一見して意味のないことのようで計画を立てたり、良いアイデアをもたらすようなポジティブな側面も持ち合わせます。

またリラックス効果、感情や混乱した思考を清算するような効果をもたらすこともあります。

しかし上述した通り、ネガティブな方向に入っていった場合、非常にストレスを感じてしまうことも少なくありません。

特に深刻なものは、彷徨いであるマインドワンダリングによって意識が現実から離れ、不注意や事故、ミスなどが起きたり、自分の本来の能力を発揮できないことが起きます。

私は日本の職場に「心理的安全性」がもっとあれば、もっと多くの人の発揮できる能力があるように感じています。そういったことも関係しているように思います。

詳しくは「心理的安全性とチーミング」へ

マインドワンダリングをコントロールする


マインドワンダリングはデフォルトモードというだけあってとても「無意識的」なものです。

意識もそれを助長しますが、湧き上がってきたり、浮かび上がってくるものが多くあります。

それをコントロールするのは難しいこともありますが、できることは多くあります。

一般的にはマインドフルネスや「今現在やっていること」に集中する練習をしていくと良いとされています。

その意識や行動の積み重ねが鍛錬となり、心や思考にも変化がもたらされます。

神経可塑性(英語:synaptic plasticity)について以前書きましたが、脳や神経系は経験によって学習し、その関連する神経が強化されたり、弱化されたり、消失したりします。

よく使われるものは使いやすく神経系が発達し、あまり使わないものは使いにくく減退していきます。

神経可塑性によるニューロンの変化(引用:神経可塑性と認知 COGNIFIT

そのほかの方法としては、彷徨いの原因に対してアプローチしたり、解決したり、執着を外したり、肯定的に諦めていく方法などがあります。

浮かび上がる、わいてくる悩みや思考を操作することはなかなか難しいのですが、その思考の元となる部分にアプローチをしていくと浮かびにくかったり、意識でコントロールできることも増えてきます。

気にしない力を獲得していくことで改善することもあります。

「気にしない能力」を高めていくと生きやすくなる!?について詳しくはこちら

一日の活動を行動と思考の二つに分類すると、自分がどれくらい彷徨いに時間を費やしているか少し理解できるかもしれません。

その方にとって必要な彷徨いや創造的なマインドワンダリングもありますのでその場合は良いものでしょう。

ネガティブで意味のない思考を巡らせないようにするためにはこれらの方法を組み合わせながら時間をかけて行っていくとよいでしょう。

※原因へのアプローチでは余計に彷徨いを強くしてしまうこともあります。難しい場合は、専門家にご相談ください。

マインドワンダリングに対するカウンセリング


自分の頭や心の中で彷徨い、なかなか進展しない場合は、他者に話し、気持ちを出したり、新たな視点を持つと良いでしょう。

また行動に意識を持って行って、時間の経過による改善や行動による解決を狙ってみることも有用です。

それができない、行ってみても難しい場合は、カウンセリングを活用することもよいと思います。

自分が巡らせていた思考を他者に自由に話し、なぜその想いが存在していたかに気付いたときに一気に不思議な解放感を感じることがあります。

またその許せなかった感情やこだわりが手放せたときに心が安らぎ、気楽な気分を味わえることもあります。

それができない場合も一緒に伴走するものの存在に勇気や励ましをもらいながら一緒に乗り越えていく感覚が大事な時もあるかもしれません。

カウンセリングしらいしでは、その悩みや彷徨いの原因にアプローチすることに加えて、マインドワンダリングをコントロールする練習も同時に行うことができます。

思考や心の扱い方次第で変化することもあります。

そのコツが少しでもつかめるようにセッションを行っております。

参考文献

マインドワンダリングおよびアウェアネスと創造性の関連

さまよう思考を刺激する 梶村 昇吾先生

記事執筆
公認心理師 白石

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