心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではエリック・バーンと「交流分析(TA)」について書いていきたいと思います。

エリック・バーンについて


エリック・バーン(Eric Berne)

エリック・バーン(Eric Berne)は1910年カナダのモントリオールにて開業したユダヤ系医師の父と作家の母のもとに生まれます。

バーンが11歳の時に父親が結核で亡くなり、母はバーンと妹のグレースのために必死で働きながら女手ひとつで子育てをしていきます。

バーンは父親の足跡を辿るように医学の道に進んでいき、マギル大学医学部で手術(医学)の修士号を取得します。

エングルウッド病院のインターンシップを始めることでアメリカへ移住し、イエール大学の精神科クリニックで2年間働きます。

手術の助手から精神科医として移行し、第二次世界大戦中は陸軍の精神科医として少佐まで昇進します。

1946年からはカリフォルニアにて精神分析の研究と治療を行っていましたが、独自の理論「交流分析(TA)」を開発し、発展させていきます。

精神分析医として入会を拒否されるなどの経験をしますが、その理論と技法は世界中で学ばれ、今日も現場の臨床で活用されています。

プライベートでは3度の結婚を経験し、バーンは1970年心臓発作で亡くなっています。

交流分析(TA)


交流分析(Transactional Analysis:TA)は精神分析を土台とし、PACのエグゴラムや独自のパーソナリティ理論を用い、言語的コミュニケーションを中心に据えた統合的な心理療法です。

エリック・バーンによって開発され、健やかな人間関係の形成や心身の健康、活発な組織づくりなどに応用されています。

日本交流分析協会によると交流分析には以下の7つの要素によって成り立っています。

①ストローク(触れ合い):否定的な脚本を手放し、プラスのストロークへ
②エゴグラム:親心(P)、判断する成人の心(A)、子供心(C)の3つの心から理解する
③対話分析:3つの心を理解しながら対話する
④人生の基本的立場:自分も相手もOKという相互理解的立場の獲得
⑤心理的ゲーム:触れ合い不足による否定的なパターンに気づき手放す
⑥時間の過ごし方:生きがいのある時間の過ごし方の模索
⑦人生の脚本:本来の自分を取り戻す

過去に親などの外部から取り入れた親心(P)や現在の自主的な判断である成人の心(A)、過去の自分が子供の頃に体験したパターンの表れである子供心(A)などの解釈は自分の新しい捉え方として理解が進み、問題の解決、修正に新たな光をもたらしました。

またゲーム分析と呼ばれる否定的でこじれる関係の進行にも理解が深まりやすく、ゲームを手放すという新たな見解も特徴的です。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか
日本交流分析協会

記事監修
公認心理師 白石

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