心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。

ここではスタンレー・シャクターと「情動の二要因説」について書いていきたいと思います。

スタンレー・シャクターについて


スタンレー・シャクター

スタンレー・シャクター(Stanley Schachter)は1922年ニューヨークのルーマニア系ユダヤ人の家庭に生まれました。

イエール大学で美術史を学んだのちにエール大学で心理学の修士号を取得し、新行動主義のクラーク・ハルの影響を受けます。

軍隊で2年間従軍したのち飛行中のパイロットが経験した視覚障害の剣苦湯を行い、MITではドイツの社会心理学者クルト・レヴィンと協力して研究を行い、グループダイナミクス研究センターで勤務しました。

レヴィンが亡くなった後はレオン・フェスティンガー とともに研究を進めていきます。

ミネソタ大学時代では5冊の本を執筆し、米国科学振興協会の社会心理学賞や行動科学研究賞を受賞しています。

1961年からはコロンビア大学の心理学の教授として教壇に立ち、犯罪行為、痛みの知覚、肥満、タバコと離脱反応などに焦点を当てて研究を行っていきました。

主著には、

1951年「偏差、拒絶、コミュニケーション」
1959年「所属の心理学」
1968年「肥満と食べる」
1971年「感情、肥満、犯罪」

などがあります。

情動の二要因説


情動(emotion)は、環境に対する身体的・生理的反応の認知が生むという「末消起源説」を1890年に唱えたジェームズ=ランゲ説と知覚の興奮が大脳と末梢器官に伝わり情動反応が起こるとする「中枢起源説」を1927年に唱えたキャノン=バード説があります。

「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい」という有名な一節があるようにジェームズ=ランゲ説では一般的な解釈とは反対の概念を主張し、キャノン=バード説では、末梢神経を損傷していても情動反応があることを指摘し、脳と視床による情動形成理論が作られていきました。

しかしこの2つの理論だけでは身体反応が同じでも情動が異なる場合があることに対して説明ができません。

そこで社会心理学者のシャクターとシンガーは1964年に「情動は、身体反応による生理的な喚起とその認知的な解釈(ラベリング)の相互作用によって生じる」という「情動の二要因説」を唱えました。

要するに生理的反応に対する認知と解釈によって情動が異なるということです。

この認知と解釈は意識的というよりは無意識的な自動思考であり、のちの認知行動療法などはこの認知と解釈をあえて意識的に汲み取り、変容させていくような治療プロセスを組みます。

参考文献

心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか

記事監修
公認心理師 白石

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