過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではダニエル・カーネマンと「プロスペクト理論」「ヒューリスティック」について書いていきたいと思います。
もくじ
ダニエル・カーネマンについて
ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)は1934年イスラエルのテル・アヴィヴで生まれ、幼少期をパリで過ごします。
エルサレムのヘブライ大学で心理学を学び、イスラエル国防軍の心理学部門に従事します。
博士号取得のためアメリカへ移り、カリフォルニア大学で博士号を取得します。
ヘブライ大学、ブリティッシュコロンビア大学、カリフォルニア大学、プリンストン大学にて教壇に立ち、心理学の受賞はもとよりノーベル経済学賞や科学貢献による賞も多数受賞しています。
人は多くの時間を無駄にしている。時間は無限にあるかのように振舞っているが、実際には時間こそ限りある資源であり、人はそれを上手に活用していない。
ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)
プロスペクト理論
プロスペクト(Prospect)とは期待や予想を意味する言葉で、プロスペクト理論はカーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱された「不確実性の状況下において人はどのような予測を立て行動するか」を説明した理論です。
以下4つが代表的な内容です。
①利益と損失を比較すると損失の方が重大に見えるため、損失を過大に評価し、損失回避をするための行動をとりやすくなる。
②高い確率は低く感じ、低い確率は高く感じるといった正確に確率を認識することができないことが多くある。
③金額が大きくなるほど価値の感じ方は小さくなる
④負けているときはリスクを冒してまで利益追求を目指す傾向が高く、勝っているときは安定志向が強まる。
このプロスペクト理論による功績に対してノーベル経済学賞が与えられました。
ヒューリスティック
「ヒューリスティックス(heuristics)」とは発見的手法とも呼ばれ、経験や先入観から答えを導き出そうとする思考法です。
カーネマンとトベルスキーが提唱した理論で、「多くの場合きわめて有用であるが、ときに深刻な系統的エラーにつながる」と語っています。
彼らが提唱した3つのヒューリスティックには、
◎代表的なイメージを参照して判断する「代表性ヒューリスティック」
◎思い出しやすい情報に頼って判断する「利用可能性ヒューリスティック」
◎最初に得た情報を参照して判断する「アンカリングと調整ヒューリスティック」
があります。
ピーク・エンドの法則
多くの経験の印象は、ピーク時と最後の感情や感覚によって全体の印象へ影響されるとする法則でカーネマンが1999年に発表しました。
良い感情でも良いと感じない感情でもピーク時とエンド時の影響はその記憶の全体に影響します。
ピークと終わりよければすべて良しといったところです。
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著
記事監修
公認心理師 白石
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