「ポジティブな注目」「ネガティブな注目」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
もともとはABA(応用行動分析)やペアレントトレーニングなどで用いられる言葉と概念ではありますが、より多くの方々にとって有用なものかもしれませんのでご紹介したいと思います。
肯定的注目と否定的注目
ポジティブな注目とネガティブな注目は、「肯定的注目」と「否定的注目」という言葉でも表現されています。
療育的な解釈であれば、お子様の良い行動に注目してほめることや報酬を与えることを「ポジティブな注目(肯定的注目)」といい、お子様の良くない行動に注目して叱りや厳罰を表すことを「ネガティブな注目」と表現しています。
子供はどうしても注目が欲しくなります。
そのために意図的に行動を起こすこともあれば、無意識的に注目が得られる行動をしてしまうこともあります。
注目が欲しくてよくない行動を行った場合、あえて戦略的に無視をして注目を行わず、しっかりとした要求する言葉が出たり、適切な自己表現ができたら注目する方法がよく用いられます。
ネガティブな注目を減らして、ポジティブな注目を増やすというわけです。
お子様がいらっしゃる方はわかると思いますが、我が子を親という立場から見るとついつい悪いところに目が行ってしまうこともあります。
それは自分自身にも同様に思うことかもしれません。
ついついネガティブな注目が多くなり、我が子が、自分が、婚約者が、彼氏(彼女)が適切にみることができなくなってしまいます。
注目のバランス
私たちはテレビを見ながらしゃべるなどいろいろなことを同時に行うことができますが、フォーカス(注目)できる量には限りがあります。
1人に話しかけられるより10人に話をされると聞き取れる量は限られます。
いろいろな情報がある中で見て視覚的に得られる情報も限りがあります。
そういったなかで「注目している先」はとても重要になります。
昔からポジティブ思考がいいと教えられて、今でもそのように扱われているのもポジティブな注目を増やすからです。
先ほどは子供さんの例えを使いましたが、自分自身の人生においても
- 自分の良いところをできるだけ見る
- 他人の良いところをできるだけ見る
- 悪いところに注視しすぎない
- 悪いところ探しをしない
- 自分をほめる
- 他人をほめる
- 出来事の良いところを見る
- 出来事の悪いところばかり注視しない
といったところは大事になるのではないでしょうか。
良いところを探せない方も、「1日1個見つけて褒める習慣」をしていくことによって少しずつポジティブ注目とネガティブ注目のバランスが変化していくことも多くあります。
ご夫婦の関係でもよいところを毎日1個褒める習慣にしていくとより笑顔の多い家庭になるかもしれませんね。
ただ無理に行うものでもなく、脳神経系や遺伝子的な思考回路はかなり固着化しているケースも多くあるので、少しずつ意識的に、習慣的に用いて、新たな回路を作っていくことが大切です。
人をほめることが苦手な場合はまずは自分へ褒める、ねぎらう、ご褒美を与えるところからやってみるといいですね。
記事監修
公認心理師 白石
「皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っています」