「25%ルール」という言葉をご存じでしょうか?

療育や子育てで用いられることがある方法ですが、その他多くの方に有用な場合もありますのでご紹介したいと思います。

ペアレントトレーニングと「25%ルール」


「25%ルール」とは、完璧に課題や目標行動がとれなくても25%くらいできたら褒めていくという方法です。例えばすぐに行動を起こしたが失敗した、うまくできなかったけどすこし出来たというシチュエーションでも褒めていくということです。

ペアレント・トレーニング (英語:Parent training、略名:PT)とは、知的障害や自閉症、攻撃的行動を持つ子供のご家族を対象に1960年代アメリカのハンス・ミラー博士によって開発されました。

ペアレント・トレーニングの基本的な精神には「親(養育者)は子供にとって最良の治療者である」という考え方があり、子供を対象とするトレーニングとは異なり、親や養育者に対してのトレーニングを行っていくのが特徴です。

その子供にとって最も接点がある親(養育者)がその子の特徴を踏まえた関わり方や環境の設定をしてあげることはそのお子さんの成長にとって何よりも有益になります。

ペアレントトレーニングでは様々なことを学べますが、このような褒める技術やマインドなどが重要になります。

一般的な「褒める」という行為は、何か良い行動や適応的な行動を行って、親や他者から与えられるものです。

この褒められるという報酬があるからこそ、モチベーションが上がったり、行動の意欲や勢いがつくものです。

であれば100%達成していなくても「褒める」を与えることによってよい行動が促されるのであれば行うべきではないかというのが起点になります。

一番最初の例「すぐに行動をしたが失敗した」では、「失敗したが、すぐに行動できたことが素晴らしい」となるわけです。

「うまくできなかったけど少しできた」という例では、目標には達せなかったが、少しは実現できたという点で評価できるというわけです。

これらは子育てに限ったことだけでなく、自分自身のメンタルにも応用できます。

25%ルールによってポジティブな注目が増える?


例えば、今日一日起きている17時間くらいでいいので自分自身に対して25%達成したら褒めるを実践してみてください。

  • 仕事が目標の25%達成で褒める(無理にではなく褒められるところ)
  • 家事で目標の25%達成で褒める(無理にではなく褒められるところ)
  • 学業で目標の25%達成で褒める(無理にではなく褒められるところ)
  • スポーツで目標の25%達成で褒める(無理にではなく褒められるところ)
  • 趣味で目標の25%達成で褒める(無理にではなく褒められるところ)
  • やろうと思ってできなかったときに25%くらいできていたら褒める
  • できないと思ってやって、25%くらいできていたら褒める
  • 頑張ろうとしたことの25%できていたら褒める

※25%は大体の目安ですので4分の1はできたと思ったらそれでいいと思います。

結構たくさん達成できているのではないでしょうか?

褒めることが面倒なほどできているのではないでしょうか?

普段は達成しているところよりできていない未達成が気になるものです。

たしかにそこにフォーカスして「もっと頑張ろう」とするのもいいでしょう。

しかしこのようにみていくと達成していることが多いことにも気づくと思います。

この25%ルールは褒めることがあまり活力にならない人には効果的ではないですが、ほめられるとうれしい方は有用かもしれませんね。

特にお子様の育児、子育て、教育には抜群に効果的です。(どうしても悪いところ指摘する伝統教育がしみ込んでますからね)

「できたところ」に注目していくことを「肯定的注目」とか「ポジティブな注目」と言ったりします。

できているところに目を向けていくことは、ポジティブな注目を増やし、自尊心や自信の回復、自己肯定感、やればできると思える「自己効力感」を高めることにも役立ちます。

自分よりも他者に使うほうが効果的?


さてあなたは自分で自分をほめることと他者から褒められることはどちらがうれしいでしょうか?

特異な好みを除いて多くの方は他者から褒められるほうが嬉しいのではないでしょうか?

ということは自分の親しい周囲にいる方も多くの場合はそうかもしれません。

お子様に用いることから始まった「25%ルール」ですが、婚約者や家族など親しい間柄に用いるとより良好な関係作りに良いかもしれません。

少し恥ずかしいですが、ちょっと注目するところが変わると見える景色が少し変わりますよ。

記事監修
公認心理師 白石

「皆様のお役に立ちますように」

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