アンガーマネジメントという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
アンガーとは日本語で「怒り」を表し、怒りをマネジメントするという比較的新しい考え方です。
日常で活用しやすい「アンガーマネジメントの8つの技術」をここでは紹介していきたいと思います。
もくじ
そもそも怒りとは何か?
怒りとは人間の原始的な感情の一つで、カッとなる怒りもあれば、憤りやイライラするような怒りもあります。
衝動的で一時的なものもあれば、持続的でずっと熱を持つような怒りもあります。
言葉で表すと、
・カッとなる(頭に血が昇る)
・腹がたつ(ムカつく)
・カチンとくる
・キレる(ぶちぎれる)
・怒る(怒られる)
・怒鳴る(怒鳴られる)
・イライラする(される)
・憤り
・ムッとする(ムッとされる)
・逆上する
・暴言や暴力
・怒りが爆発する
などがあります。
大きく分けると怒りを強く表現する「動的な怒り」と怒りを押し殺すような「静的な怒り」があります。
怒りの多くは、
- 自分の大切な物や人を侵害された時
- 自分の思うとおりに進まない時
- 上手くいかないことが続く時
- 自分を否定、批判、蔑まれる、辱められる時
- 許せない時
- 不快な出来事に遭遇した時
- 嫌な気分になる時
- 欲求不満になる時(通したい欲求がある時)
- 自分が守っているルールを守らない人がいる時
- 責任問題に発展する時
- 怒りを上手く扱えない時
- 怒りの連鎖の矛先が自分に多い時
などがあるでしょう。(スネるという状態も怒りの一種という捉え方もあります)
どのような怒りが出やすいか、どのように制御したり、管理するかは遺伝的な影響もあるようですが、後天的な環境などの影響も強いとされています。
人類の歴史的には、「怒りを抑える」「怒りを気にしないようにする」「その怒りを糧にする」という3つの技術がアンガーマネジメントとして今でも継承されています。
いままで継承されているということは有用であった証明でもありますので、逆に用いてこなかった場合、改めて有効な手段になることもあります。
怒りのメリットとデメリット
怒りを詳しく知るためにはメリットとデメリットを知ることが大切です。
怒りのメリットとしては、
・強い主張であることを訴えることができる
・自己防衛を行う
・問題提起になる
・怒りがエネルギーや活力になる
・相手に「大切なことである」と理解が促される
・自分や対象者の力を奮起させる
などがあります。
このようなメリットがあるのですが、怒りの表現方法や伝わり方に問題があるとデメリットが非常に強くなることがありますので注意が必要です。
デメリットとして、
・人間関係に問題がでる
・喧嘩や不仲な状態に発展してしまう可能性がある
・仕事や学業、作業に問題が生じる
・場の雰囲気が悪くなる
・自分や対象者の力を弱める(削ぐ)
・対象者の精神的ダメージやトラウマティックな衝撃がある
・問題がより大きなものになる
・傷害や障害、訴訟、事件に発展することもある
・問題が長引く恐れがある
・いじめ問題やハラスメント問題に発展することがある
などがあります。
精神的な問題だけではなく、症状や病気に発展してしまう健康問題になりえるという研究も多くあり、心身ともに影響があるものとして認識がされるようになってきています。
怒りの連鎖を知る
会社の上司に怒られて、その怒りを家庭に持ち込み、その子供は学校で吐き出す、その影響を受けた者がまた。。。と続いてしまうようなことがあるため「怒りには連鎖」があると一般的に言われています。
まるで熱いバトンを渡すかのように渡し合ってるようです。
怒りにはもう一つ重要な特徴があります。
それは「吐き出しやすいところに吐き出す」という特徴です。
上司に怒られて、その怒りを吐き出すところが社内になく、自分の中や友人、趣味にもなければ、家庭に持って帰ってしまいます。
あまり怒りの矛先が来ない人もいれば、不条理にも多く溜まってしまう方もいます。
そのため現代では、ハラスメントという言葉が一般化してルールになることによってその偏りを是正しようとする働きかけが行われています。
しかし行き過ぎたハラスメント化も現実に起きており、バランス感覚がより重要になってきています。
アンガーマネジメントとは何か?
アンガーマネジメント(英語:Anger management)とは、怒りやイライラといった感情をうまくコントロールすることで制御と予防を行うための心理的な管理技術です。
怒りの感情に振り回されず、怒りと上手くお付き合いするというマネジメントであり、もっと発展することができれば「怒りを上手く活用する」こともできる技術です。
1970年代から導入され始め、現在では日本アンガーマネジメント協会や専門家が増え、アンガーマネジメントの普及に貢献されています。
ここでは日常で活用しやすい「アンガーマネジメント」を臨床経験も踏まえて、8つ紹介していきたいと思います。
①怒りの衝動に対する6秒ルール
怒りの衝動であるアドレナリンは最初の6秒に強く出るといわれています。
「理性が使いにくいその6秒」をやり過ごすことが重要視され、そのために
・6秒を数える
・感情にフォーカスしている状態から自分のペースで離れる
・自分を落ち着かせる言葉や行為を身に付ける
・怒りのスケール評価でどれくらい強いか判断する
・「怒っているな」と客観的に評価する方向へ行く
・その場所から離れる
・今目の前にある景色にフォーカスする
・呼吸に意識を持っていき、ゆっくりにしていく
などの方法が一般的に知られています。
怒りの衝動に焦点を合わせないことにより、落ち着かせる方法が上記には多くあります。
当カウンセリングでは、上記以外にさまざなテクニックを提供しており、怒りの衝動にあえてフォーカスして周囲に被害なく表現する方法などは「面白い」「怒りが可愛くなった」と言っていただける方もいます。
②怒りの反応に対する方法
自分の怒りに反応するポイントを知ることから始まります。
どのようなことに反応するか理解できたら、そこにある自分の価値観や許容を広げたり、深めたりしていくことで怒りの反応が変化してくることがあります。
怒りの感情が強い時にはできませんので、そうではない冷静なときに行うことが大切です。
これはカウンセリングが非常に有効で、改めて自分の外に声を出して話していくことでより自分が見えてくることが出来やすくなります。
またほかの人がどのように乗り越えていったかを知ることやより自分に適した方法を検討することにも役立ちます。
③怒ってしまう自分への自己批判と自責に対する方法
ついつい怒ってしまう、イライラしてしまう自分をどう思いますか?
自己批判や自責が強くなりすぎている場合、怒りをコントロールすることがより一層困難になってしまうこともあります。
そんな自分への許容によって改善することも多くありますが、怒りを強めたり、衝動による被害が強くなるような許容は意味がありません。
「なるほど、だからこんなに起こってしまうのか~」というような納得性のある理解によって許容と怒りの改善が進むことも多くあります。
怒りは扱いしだいで可愛いものにも悪魔にも成りえます。
④怒るぐらい伝えたいことがあるという視点
怒りには「伝えたいことがあるもの」と「伝えたいことがないもの」があります。
その2つに分けてどちらだろうか?何を伝えたいのだろうか?ということを一度考えてみることによって怒りの理解が進むことが多くあります。
その伝えたいことを怒り反応が出ていない時に対象者と話し合うことで怒りが改善・変化していくことがあります。
⑤第一次感情にアプローチする方法
怒りの感情は第2次感情であり、
・悲しみ
・不安や心配
・苦しい
・寂しい
・悔しい
などの第一次感情が変換されたものという考え方があります。
怒り自体にアプローチするよりもこれらの第一次感情にアプローチを行う方が功を奏すことも多くあります。
⑥怒りが出やすい状態を改善する方法
ストレスがたくさん溜まっている状態では怒りの感情が出やすくなることがあります。
そのようなストレス過多な状態を改善することによって余裕が生まれ、アンガーマネジメントが行い易くなります。
自己への向き合い、ストレス発散や解消、打ち込むものを見つける、生きがいややりがいを持つなどさまざまな方法が考えられます。
障害や身体的な影響によっても怒りの感情が現れやすくなることもあり、改善することだけでなく、そういった理解や認知が必要なこともあります。
⑦行動の計画を行う方法
自分の怒りに対して理解を進めながら
・どのように行動する方が良いのか?
・どのようにしていくとより良いか?
・どのような環境づくりが必要か?
・何に配慮すればいいか?
・誰の協力が必要か?何の協力が必要か?
・周囲に理解を促す必要があるか?
・どのようなユーモアが必要か?
など自分の行動を計画していく方法です。
心の中だけではなく、実際の行動も合わせて行うことによってアンガーマネジメントを心身ともにバランス良く行っていくことができます。
⑧怒りを資源として活用する
怒りは全て悪いものではありません。
怒りも扱い方や転換方法によっては、その人の活力やバイタリティーになります。
またユーモアのセンスも活用していくととても可愛らしく、面白いものになることもあります。
怒りはよく熱を持ちます。
その熱は意外と再生可能エネルギーのように活用できるかもしれません。
自分専用のアンガーマネジメントをつくる
「カウンセリングしらいし」では、自分の特性や状態、個性に合わせた自分専用のアンガーマネジメントをつくるお手伝いを行っています。
手法や技法は人によって千差万別です。
アンガーマネジメントを上手く行うには自分の意志が重要です。
自分の怒りに対して「なにかしよう」と思わなければ難しいものです。
「なにかしよう」と思う方にお役に立てられるよう柔軟にセッションを行っていきます。
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記事監修
公認心理師 白石
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