一番身近である人が、時として一番ストレスを感じるストレッサーになることもあります。
今回はママたち・奥様側の視点から夫(旦那)に感じるストレスとカウンセリングについて書いていきたいと思います。
もくじ
夫(旦那)に感じるストレスのいろいろ
夫(旦那)に感じるストレスとはどのようなものがあるでしょうか?
離婚の原因となった問題における調査では、
1位:性格が合わない
2位:生活費の問題(生活費が少ない・渡さない)
3位:精神的にストレスをかけてくる(精神的虐待含む)
4位:暴力をふるう
5位:異性の問題がある
6位:浪費する
7位:家庭を省みない行動
8位:性的不調和
9位:家族や親族と折り合いが悪い
などがランクインしています。
参考資料:裁判所|平成29年 司法統計19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所
性格が合わないという要素が最も離婚の原因として多く、ストレスも積み重なれば大きなものになってきているようです。
結婚した当初は恋人同士の延長で仲が良かったご夫婦も時の経過とともに不調和になったり、お子様が生まれて子育てや家事分担などへの考え方の違いが生まれ、すれ違いが生じることも多くあります。
育児が始まると夫(旦那)さんの行動にイライラしたり、もっと手伝ってほしいのに配慮してもらえないことも増えていく傾向にあります。
育児中のストレスとして、
- 育児や家事を妻に押し付ける(手伝わない)
- 子供と遊んでくれない(配慮不足)
- 子供や家庭より自分の趣味や仕事を優先しすぎる
- 頼んだことを忘れる(こなしてくれない)
- 嫌なダメ出しをしてくる
- 大きな子供のように手が焼ける
- なにもしてくれない(どころか散らかして仕事を増やす)
などがあります。
また夫(旦那)に感じるストレスは他にも
- 話を聞いてくれない
- 話し合うことすらできない
- 話を親身になってできる人ではない
- どんどん冷たい態度になっていく
- 私や妻への理解が足りない(苦労が分からない)
- 自分勝手すぎる
- 否定してくる(理解しようとも思わない)
- 手伝ってくれない(言わないでもわかってほしい)
- 子供に私の悪口を言う
- 仕事のストレスを家庭に持ってくる
- 家族をより良い方向にしようと思わない(努力しない)
- 自分の母親と比べて口うるさい
- 子育ての考えが違う
- 週末の過ごし方の考え方が違う
- 配慮がない
- 疲れて帰ってきて何もしない
- 当たり前と考えることが多い
- お金を入れてるからそれくらいやれよって感じの態度
- 家族のための時間を取らない
- 頼りにならない(頼りになる行動や言動が少ない)
- お金を使いすぎる(金遣いが荒い)
- ギャンブルやたばこ、お酒など中毒的になっている
- 精神的に困窮し、頼りにできない(家庭内の空気が悪い)
- 優しい言葉やねぎらいの言葉が少ない
- 褒めてくれない
- けなしてくる
- 合わせようと努力してくれない
- 大切にしていることが違いすぎる
- 考え方が違いすぎる
などなど挙げればきりがありません。
塵も積もれば山となり、小さなストレスも溜まって大きくなると精神面のみならず、身体まで不調になる場合もあります。
また働くお母さんたちのストレスには、
- 掃除や片付け
- 体力不足
- 時間不足
が関係していることが多いというデータもあります。
会社のストレスに加えて、旦那さん(夫)が手伝ってくれないことによってストレスを感じるのもこれらが関係するところも多くあります。
話し合いによってどこまで改善するのか?
さていろいろなストレスを感じ、改善したいと「話し合い」をおこなってどこまで修正できるでしょうか?
話し合いに応じて修正できる場合もあれば、できない場合もあり、手紙だと効果的な場合もあり、なにをしても変わらないこともあります。
強く感情的に言えば伝わることもあれば、涙が必要な時もあれば、それでも伝わらないこともあります。
身体的な不調がでて、ようやく伝わることもあれば、それでも伝わらない場合もあります。
また伝わってもご主人(旦那さん)がどのように改善すればいいかわからない場合もあり、遺伝子的な影響を強く受けて立ち往生する場合もあります。
夫婦関係でのストレスや悩みは今の私たちに始まったことではありません。
人類の歴史とともにはじまったくらい長い普遍的なテーマでもあります。
そのため過去の偉人たちの格言や名言から過去の対応やとらえ方を学んでみることから始めてみましょう。
夫婦関係にまつわる格言から学ぶ
男は結婚するとき、女が変わらないことを望む。女は結婚するとき、男が変わることを望む。お互いに失望することは不可避だ
物理学者アルベルト・アインシュタイン
結婚前には両目を大きく開いて見よ。結婚してからは片目を閉じよ
聖職者(歴史家)トーマス・フラ
愛する者と一緒に暮らすには一つの秘訣がいる。すなわち、相手を変えようとしないことだ。欠点を直そうとするのは相手の幸せを破壊することにも繋がるからだ
小説家シャルドンヌ
同床異夢(どうしょういむ)とは同じ布団で寝ていても同じ夢は見られないということ。愛や情熱は3年以上は続かない。しかし苦楽を共にすることで夫婦というのは愛情を持ち続ける
小説家瀬戸内寂聴
結婚生活で1番大切なものは忍耐だ
劇作家チェーホフ
奥さん、ダンナはおだてて使いなさい
淡谷のり子
結婚生活を長続きさせたかったら、妻は目を夫は耳をふさぐこと。
ドイツのことわざ
面白い名言も多いですね。
また男性と女性の違いをうまく表現していているものも多くありますね。
私たちの親の世代からも
「諦めてから夫婦の関係がよくなった」
「おだてているほうが省エネで」
「相手を変えるより変えないようにするほうが実は楽」
「結婚ってそういうもんよ」
「気にしなくなるほうがうまくいく」
「あんまり真面目に考えないほうがいいよ」
といった言葉を聞くこともあります。
代々引き継がれてきた対処法や方策はシンプルではありますが、裏打ちされてきた結果の重みがあるようにも感じます。
少しでも何かの参考になれば幸いです。
奥様(妻)のストレス解消法
さていろいろストレスがたまりやすい奥様(妻)側のストレス発散や解消法はどのようなものがあるのでしょうか?
- おいしいものを食べる
- おいしいものを飲む(呑む)
- テレビやドラマ・映画鑑賞
- YOUTUBE鑑賞などスマホ遊び
- 買い物(旅行)
- 一人の時間を楽しむ(子供を預けて)
- 友達と遊ぶ
- 運動やヨガ
- 趣味
などが一般的なようです。
ストレスという言葉は近年当たり前に使われ、意識するようになってきましたが以前はそこまで一般的ではありませんでした。
このストレスに関して詳しく知ることで、実は有益なことがたくさんあります。また不利益を被りすぎないようにできることもありますのでできるだけ簡単に説明していきたいと思います。
ストレスとはそもそも何か?
ストレス(英語:stress)という言葉自体は、物質に力が加えられた時に生じる歪みや反発力を意味する物理学用語に由来しています。
ストレスとは、「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」であり、ストレッサーとは、「ストレスを引き起こす外部環境からの刺激」であると生理学者ハンス・セリエ(英語:Hans Selye)は定義しました。
ようするにストレッサーからの刺激を受けた時の反応がストレスということです。
例えば、「旦那のことでイライラした」といったケースの場合、「旦那さん」がストレッサー、「イライラした」がストレス反応ということになります。
ストレスを感じるメカニズムとして以下のような流れが基本としてあります。
ストレッサー
↓
抵抗性(耐久性)・脆弱性・認知的評価
↓
ストレス反応
↓
耐久性・対処能力・回復力
↓
変化したストレス反応もしくは消失
まずはストレッサーに対する「抵抗性(耐久性)」「脆弱性(ぜいじゃくせい)」がどれほどあるかによって、その衝撃であるストレスの大きさが異なります。
※脆弱性とは、弱さや脆さ(もろさ)といったこころの側面を意味します。
「抵抗性(耐久性)」「脆弱性」は遺伝的影響を受けますが、その後の環境や成長によって変容していきます。
その抵抗性や脆弱性を大きくも小さくもするのが、「認知的評価」になります。※認知的評価とはとらえ方や解釈などのことです。
その抵抗性と脆弱性、認知的評価のフィルターを通って「ストレス反応」が起こります。
ストレス反応には、精神的なストレス反応もあれば、身体的ストレス反応もあります。
もともと自分が持っているストレス耐性がもろくても、練習や意識の使い方次第で強くしていくことは可能です。
地道な鍛錬が必要になりますが、当人の意志があればうまくいく傾向にありますが、「考え方やとらえ方」を変えていく認知的側面は特に重要になってきます。
この図は「ストレス量」と「成果・達成感」の関係性を踏まえた影響図です。
成果や達成感があればストレスの感じ方も変わるものです。逆に成果や達成感もなくてストレス量もあると受ける感覚は大きくなりやすいということが分かりやすいと思います。
ようするにそのストレスのとらえ方や転換の仕方によってストレス量が変わるということです。
もう少しわかりやすく言うと「良い意味づけ」ができるとストレスの負担が軽減できるということです。
また「ストレス」を意識しすぎることによって弊害が生まれやすいのもストレスの特徴です。
ストレスに興味があると、ストレスになっているものを探そうとするのが人間の脳です。そうやって見つけたストレスを再度その場で感じることによってストレスを再度感じることになります。またそこから他者への強い思いや怒りを感じたり、自責などへ発展して広げてしまうこともあります。
また解決しようと強く想っているものは、その原因のストレスを再認識してしまうことにつながってしまいます。それによって一日のストレス量を多くしてしまうデメリットも知っておかなければなりません。
それは人間の機能の問題もあるので
このリンク先は少し専門的ですが、わかるところだけでも読まれると理解できるかもしれません。
ストレスを減らそうと努力するのは良いことのように見えて、それ自体がストレスを強めてしまうこともあるので時に注意する必要性があります。
何が言いたいのか?といいますと、人間の脳の機能上「忘れられるなら忘れたほうがストレス量が少なくなる」ということです。
昔から言う、「気にしないほうがいいよ」「まじめに考えすぎないほうがいいよ」という言葉に嫌気がさしている方もいるかもしれません。
私もどちらかというと考えるほうでしたのでそういった気分を持ち、反抗的に考えたり、気にしたりして解決の糸口を探っていました。
しかし気にしない、忘れるという超シンプルな対処は、人間の機能上、非常に有用なストレス・コーピング(ストレス対処法)なのです。
夫(旦那)のストレスとカウンセリング
とはいっても、今持っているストレスを気にしないなんてできないし、忘れることなんてできない!!ということも少なくないはずです。
それはそれでもちろん、いいと思います。
そんなに聞き分けがいいように人間はできていませんし、相手にわかってほしいですし、よりよい解決法を探したいときもあります。
第三者に話すことで気持ちがすっきりするかもしれませんし、絡み合った糸が整理されて整ったり、どうすればいいか専門的な視点を組み込んでいくことで見え方も変化するかもしれません。
遺伝子学的に親が抱えていた問題と同じような夫婦問題を抱えることもありますし、時代的に「前の世代でできなかったことに挑戦する」方も少なくないかもしれません。
当カウンセリングでは様々な視点からクライエントの気持ちが癒えていきますように、解消していくようにセッションを組み立てていきます。
その道のりは簡単ではないかもしれませんが、思ったよりできることは多いように思います。
ご縁があれば最適なセッションを並走しながら組み立てていきましょう。
記事監修
公認心理師 白石
「皆様のお役に立ちますように」