「アハ体験」という言葉をご存知でしょうか?

この記事ではアハ体験の効果と落とし穴、問題や悩みに役立つエッセンスなどを書いていきたいと思います。

アハ体験とは何か?


アハ体験(独語:Aha-Erlebnis,英語:aha! moment)とは、エウレカ効果とも呼ばれ、ドイツの心理学者カール・ビューラーが提唱した概念で「知らない未知の事柄において瞬間的に閃めきを起こし、腑に落ちるような認識や解決策(正答)ができた体験」を指しています。

わかりやすく説明すると、なぞなぞが解けたときやずっとわからなかったことがわかったときに「そういうことだったんだ!」「なるほど!!」と理解できたときがアハ体験です。

カウンセリングや心理療法を行ってセッションの中で大きな気づきや変容を経て、見える景色が変わった経験をされている方は体感的にわかると思いますが、0.1秒という超高速で脳の神経細胞が活性化し、ものの見え方が変わったりすることも科学的にわかってきています。

ビューラーの論文ではこのアハ体験には、

①アハ体験は突然起こる(閃めきは突然に起こる)
②問題解決がスムーズにゆく
③歓喜やポジティブな感情を引き起こす
④その閃めきの正確性を疑いを持たない

という4つの理論的根拠が有ると提示しています。

ヒラメキによって問題解決が起こり、喜びや気持ちの良い状態(カタルシス)を感じ、そのヒラメキに疑いを持たず信じ込むということです。

りんごの木からりんごが落ちて「万有引力の法則」を発見するほどのアハ体験はないと思いますが、誰でもなんらかのアハ体験は経験されていると思います。

実際私たちの身の回りにある便利なものやサービスはこれを思いついた誰かの「アハ体験」だらけとも言えるかもしれません。

アハ体験による効果としては、

  • アハ体験による記憶はそれ以外と比較して思い出されやすいという記憶の促進作用がある
  • 右脳の活性化が起こる(洞察を行わない問題解決と比較して)

があります。

普通の記憶より、アハ体験をしたことは思い出しやすいということですね。

またアハ体験を行うためには、

  • 睡眠は問題を再構築し、新しい洞察に導きやすくなる
  • 行き詰まりが無意識のプロセスを促進させ、新たな解決策を生み出す

という2点も重要になるようです。

逆に言えば、行き詰まるまで悩み、考え抜き、苦悩しなければなかなか得られないことも多いかもれません。

アハ体験と心理相談


心理相談を行ってきて、「アハ体験をしました」という言葉を用いる人は少ないですが、「大きな気づきを得ました」「なんであんなに悩んでいたんだろうと思います」「まるで世界が変わって見えるようです」といった感想を持つ人は多くいます。

これらもおおよそアハ体験により起きていることも多いと感じます。

悩んで行き詰まり、第三者を通して問題を再構築し、閃めきや解決策を得ていくプロセスは一緒だと思います。

ただなだらかに理解や気づきを得ていくこともあれば、ふとした瞬間に大きな気づきを得ることもあります。

アハ体験は後者の部類に入ります。

この体験は、上述した③の歓喜とポジティブな気持ちを想起させる非常に心地が良い状態が訪れます。

これを専門的には心の浄化作用である「カタルシス(効果)」と言ったりします。

いままで悩んできて良かった、生きてきたよかったといった壮大な感動を生むことも多くあり、心理相談における醍醐味であることも多くあります。

しかし注意が必要なこともあります。

アハ体験と落とし穴


カタルシスによって得られる快感は時として中毒性を持ちます。

一部の世界では、「カタルシス中毒」という言葉が生み出され、注意喚起がされることもあります。

もう少しわかりやすく言うと「気づき」の素晴らしさや快感が欲しさに無意識的に「気づき」へのフォーカスが過剰になってしまうことがあるのです。

これは「気づき中毒」とも呼ばれることがあります。

本来の目的は人生をよりよくするために心理学を学び、探求しているにも関わらず、いつの間にかその魅力と快楽に時間と労力を費やしてしまうということです。

また④の「その閃めきの正確性を疑いを持たない」という点も注意が必要であると思います。

これは良いことでもありますが、その気づきや閃めきを疑わず、信じるがあまり、盲信してしまうこともあるのです。

疑うことを知らない強烈な思い込みになって問題が起きてしまうこともあります。

どんなものにもメリットとデメリットがありますので、時として厳格に吟味することも大切かもしれません。

洞察の枠を超える


多くの方は「アハ体験」をしたいというよりは、今ある問題や悩みを解決したいという要望が多いと思います。

その要望を叶えるために必要なこととして「枠を超える」ということが重要になります。

それは今までの考え方や視点、解釈、アイデアという規定の枠を超えた視点からその問題を見ていくということです。

いままでずっと同じ行動で同じ考えで行き詰まっていた人が別の行動や別の物事を見て、閃いて解決するといったサクセスストーリーを見たことはないでしょうか?

いままでの考え方や洞察の枠を超えた時にその問題や悩みの解決法が見えてきたりすることがあります。

おそらくカウンセリングや心理療法など心理相談では自然とクライエントさんが枠を超えた視点を獲得し、気づきや閃めきを得ているのだと思います。

今までと違う行動や観点を得ることがアハ体験のみならず、問題や悩みの解決に重要な働きを与えてくれます。

少しでも参考になれば幸いです。

記事監修
公認心理師 白石

「皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っています」

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