近年さまざまなスピリチュアル療法の書籍やセミナーが増加しています。
スピリチュアル療法や考え方も千差万別ですので一概に一括りにできませんが(以下スピリチュアル系と記載します)、スピリチュアル系による苦しみや悩みなどの被害も増えてきているように思います。
そういった方々に対してスピリチュアル系の外からカウンセリングと心理療法を用いて、ご本人(クライエント)がより適切な思想へ回帰し、より適切な状態へと進めるよう支援・介入していくセッションを行っています。
なぜこのようなことを行うかと申しますと私自身、多くの心理学やスピリチュアル学を勉強してまいりましたが、スピリチュアル系の思想や療法を学び、非常に混乱と混迷を学習してしまった経緯があります。
スピリチュアル系には良い点もたくさんありますが、非常に危険な思想を簡単にセミナーやセッションで受けられる実情があります。
スピリチュアリティ(魂や自我の本質)といったところは、多くの方々が大切にしているものでもあります。
あくまでここではスピリチュアル系を学ぶことで苦しんでいる、混乱している、被害にあったなどスピリチュアル系による問題や悩みのみを扱います。
こちらではスピリチュアル系思想への誘導や療法の提供は行っておりませんのでのでご注意ください。
クライエントには、スピリチュアル系の思想を辞めたい方もいれば、自分に適したスピリチュアルの捉え方を行いたい人もいると思います。
こちらではそのような目標もクライエント自身に決めてもらうようにしております。
実際どのような被害が報告されているか、どのような混乱や悩みが生じているかを紹介していきます。
もくじ
自分は良くなったけど周囲と合わなくなった
スピリチュアル系を学び、思想を取り入れ自分がイキイキ生きることができることは素晴らしいことです。
しかし周囲の人達(スピリチュアル系以外の人たち)と話が合わなくなったり、コミュニケーションが取りづらくなる悩みがでることがあります。
思想が異なるので、考え方やどこに価値を置くかが異なるが故に悩みとなるケースに発展します。
スピリチュアル系以外の世界観も受け入れる受容ができれば問題や悩みに発展しないかもしれません。
真理を知ってから苦しい
特に「真理」を探求してスピリチュアル系に見出した場合、それがその方にとって「真理」ということになりますので周囲にその真理を伝えたくなり、周囲との関係に問題が起きる場合があります。
ご本人にとって真理でも他人にとってそれが真理とは限りませんが、ついつい口を出したくなったり、これが正解だという断定が強くなることで問題が起きることが多いようです。
「真理の法則を知る」というような知識を得ると自己優越感や過度な自信を得ることにより自分でも気づかないうちに「偉そう」な雰囲気や発言を行ってしまう場合があります。
特に教える側の先生、ヒーラー、治療家、カウンセラーなどがそのような状態に陥ってしまうケースがあります。
仏教の禅の修行などでは「魔境」と呼ばれていて「瞑想中にブッダや如来が現れたときに浮かれて悟りを開けたと誤解してはならない、逆に槍で突き刺せ、仏を殺せ」などと厳しく教えている口伝があります。
そういったことを露知らず、心や真理を探求するなかで登竜門のような魔境にやられてしまうことが実際多くあります。
仏教などのように歴史がある世界では、厳しく教わることができますが、一人で精神世界を探求し、誰からも厳しく教わらないまま魔境とは知らずに陥ることがあるのです。
この場合、本人は悪気があるわけではありません。
魔境ではあるものの絶対的な自信と絶対的な断定ができるので、救いを求める人にとっては神々しく感じるものです。
そこに憧れや安心感が生まれ、依存に入る場合もあれば、自分も同じようになりたいと魔境の道を進んでしまうこともあります。
※ただ実際に魔境なのか、悟りや真理なのかの判断は難しいものです。
この魔境に入るといつの間にエゴが肥大化して、常識的な判断が行いづらくなります。
そんな人ではなかったのに、偉そうに言葉を放つようになった、人の気持ちを無下にして勝手な物言いになった、お金や物欲が強くなる、絶対にそうだと決め付けるようになったなど今までの人格では考えられないほど強欲になってしまいます。
相談者側だけではなく、教える側の先生、ヒーラー、治療家、カウンセラーの非常に苦しい悩みや問題になっています。
「今まで学んできたことが魔境に落ちていたなんて!!」という事実に直面したとき、とても危険な場合があるので急に受け入れる必要はないかもしれません。
学んできたことや魔境もゆっくり受け入れていけば必ずご本人の経験や学びとして活かせるものだと感じております。
この魔境に関してのセッションは、人の思想の根幹にあたるものですので慎重にクライエントの状態や気持ちに最大限配慮しながら緩やかに進めなければいけません。
自分がおかしくなったのが分からない
「自分がおかしくなった実感はないんだけど、何かがおかしいんです」という声をお聞きすることがあります。
人間の心理には確証バイアスという働きがあります。
確証バイアスとは、無意識的に自分の考えを肯定したり、証明できる情報を集めてしまい、反対意見や反する情報を無視してしまうこころの働きを指します。
スピリチュアル系の思想に魅力を感じ、取り入れていく中でいつの間にか反対意見や反する情報を無視してしまい、スピリチュアルを肯定する情報ばかりを得てしまうことでバランス感覚を失っていく場合があるということです。
これは悪気や悪意があるのではないですが、人間のこころの働きとしてどうしても出てしまうものです。
だからこそ反対の意見も聞きながらバランス感覚を取ることが大切です。
周囲の人が「少し行き過ぎじゃない?」「最近おかしいよ」という言葉をかけてくれる場合、少し吟味していくことも大事かもしれません。
似たようなスピリチュアル系思想をもつ仲間やコミュニティーがある場合、その中では違和感が無い場合も多いですが、日常生活ではさまざまな異なる思想をもつ方々と接する機会がありますのでそういった場面で違和感を感じることがあるようです。
最初は違和感がなかったけど、実生活を送る中で違和感を持ち始めるケースも少なくないようです。
常識や世論を否定する思想
新たな思想により常識や世論が変化するのが時代の常でもありますが、常識や世論をかなりの逸脱や否定をする思想を教えるスピリチュアル系があります。
それによって行動が自由に行えてイキイキ生きることもできますが、常識や世論への理解や配慮がなければ生きていくことが難しいものです。
スピリチュアルの思想を軽く参考にするぐらいで扱えれば問題ではないことも多いですが、それが真理で真実だと悟った場合、その思想以外に常識や世論は必要なくなってしまう方もいらっしゃるようです。
アーティスト的な生き方が行える状況や経済的豊かさを持っている場合は問題ではないかもしれません。(逆にそういった方が必要な場合もあるかもしれません)
最初は良くても常識や世論を否定する思想で人生を進む中で問題が起きて、その思想に向き合わなくてはならないことが生まれてしまうことがあります。
先生の言うことを聞かないといけない
スピリチュアル系の先生の言うことを聞かなければ真理や神様に背くことになるといったロジックになることもあるようです。
そのような場合、高額なお金や物品を提供したり、言われたとおり行動を行わなければ自分を維持できない状況になってしまうことがあります。
いつの間にか教祖と信者の関係になって、先生の言うことが全て正しいといった心理的な状態になったり、見捨てられたり除名される恐怖のあまり先生の言うとおりにしてしまうということが起きてしまいます。
ようやくできた自分の居場所をなんとか守りたいこともあります。
よくわからなくなった
いろいろスピリチュアル系を学んでいるとさまざまな理論や考え方があって学んでいるうちに矛盾したり、混乱してよくわからなくなったというケースもよくお聞きします。
何を信じていいのかわからなくなるこの状況もとても辛い状況です。
わからないので新たなスピリチュアル系を学び、一時的にはよくてもまたよくわからなくなる場合があるのです。
立ち止まって現実を生きていく中で「わかる」ことが増えるかもしれません。
こうすれば必ず治ります、こうすれば必ず成功します
「病気や症状がこうすれば必ず治ります」「こうすれば必ず成功します」「こうすれば必ずお金持ちになります」「○○すれば幸せになれます」ということが100%実現することは難しいものです。
もしそういったことが実現できる方が居れば、もう世界中で有名になっているかもしれません。
しかしかなりの的中率で当てることができる方もいるでしょうし、かなり低い確率で的中する人もいると思います。
どこまで信じてどこまで信じないかが難しいですが、こういった○○すれば治る、成功する、お金持ちになる、幸せになるということで実現できなかった場合に取り返しがつかなくなることもあります。
また信じて大金や資産をつぎ込んで問題となるケースも増えているようです。
信じることである程度は実現しやすくなることもあるかもしれませんが、自分がしっかりと判断しなければいけません。
しかし相談するときは自分で判断できない状態になっていることも少なくありません。
スピリチュアル系の法則に苦しむ
スピリチュアル系には実にさまざまな理論や法則があるようです。
法則があるのでその法則どおりに生きていくことが良しとされるようです。
しかしその法則どおり行っていると逆にうまくいかないこともあり、苦しんでしまうことがあります。
またその法則に縛られて、○○しなきゃ、こう考えなきゃといつの間にか法則に縛られて苦しむ場合もあります。
それを先生に言えない苦しみもあれば、言うと「あなたが悪い」という結果となり、二重に苦しむことになったりすることもあるようです。
神様や霊などの存在が気になる
スピリチュアル系の世界では、神様、創造主、○○星人、○○天使、幽霊、守護霊、龍、前世、パラレルワールドなどが存在する前提で話が進むことが少なくありません。
そういった存在がいるという前提になって生きやすくなる人もいれば、逆に怖くなってしまう人もいます。
怖くなっていつも気にして生きることで日常生活に支障をきたす場合は一度見直すことも検討が必要かもしれません。
頑張ることに意義をもてなくなった
スピリチュアル系の中には、頑張ることは全く必要のないものとして教えているものもあるようです。
過剰に頑張ってきた方や頑張りすぎているところを軽減する目的であればいいのですが、頑張ることに意義を持てず、いろいろな頑張っていたものをやめてしまうケースがあります。
やめてよくなるのであればいいのですが、かえって無気力になり、いつも頭の中でスピリチュアルの世界に没頭してしまうこともあるようです。
本当の自分や魂にこだわりすぎてしまう
本当の自分や魂が何をしたいのか、こだわりすぎてしまうという悩みもあるようです。
すぐに答えが出ればいいのですが、本当の自分や魂の声を聴いてもわからないといったことから行動ができなくなってしまうことがあります。
本当の自分や魂が一番の優先順位にいつの間にかなってしまい、現実にやらないといけないことへの順位が下がってしまい、現実がおろそかになってしまうことがあるようです。
家族や友人がおかしくなった
自分の家族や友人がおかしくなったと周囲の方が気づくケースが多くあります。ご本人にその旨を伝えても伝わらない場合も多く、どうしたらよいかわからない相談もあります。
スピリチュアルの思想は、人格にも関わるほど大きな影響があるので慎重に扱わなければいけません。
ご本人を否定するように伝えることは避けたほうが良いと思います。
周囲から見るとその本人が以前と全く異なっているように見えますが、ご本人は自分では気づかない場合も少なくありません。
スピリチュアル系の悩みと問題に対するカウンセリング
上記のように様々なスピリチュアル系の悩みと問題があります。
改めて言いますが、すべてのスピリチュアル系が問題だというわけではありません。スピリチュアル系によって救われたり、生きやすくなったり、奇跡が起きたり、病気や症状が改善することもよくお聞きします。
心理カウンセラーもそうですが、能力さえあれば簡単にできるものではありません。
自己を省みる厳しさや倫理観を常に持っていなければ務まらない仕事です。先生と呼ばれる仕事はどうしても魔境に陥るようなことが起きるからです。
スピリチュアル系の悩みと問題に対するカウンセリングは、クライエントの心理状態を中心に慎重に進めていかなければなりません。
なぜならスピリチュアルの思想が自分の思想の多くを占めている場合が多いからです。
その人にとって思想は価値観や考え方を含む大きな影響を持つものです。
急な変化は避けたほうが良い状態です。
丁寧に一つずつ絡まった糸をほどいていけば、自然と落ち着く思想や自分に出会えるはずです。
記事監修
公認心理師 白石
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