心理技法には数多くの種類の技法がありますが、行動に着目する行動療法のなかにある「嫌悪療法」をご存知でしょうか?

非常にユニークであり、シンプルなのですが、使い方に注意が必要なこの技法について紹介したいと思います。

「嫌悪療法(嫌悪条件付け)」ってなに?


嫌悪療法(英語:aversion therapy)とは、古典的条件付けの原理を利用した行動療法で、不快な刺激や嫌悪感を結びつけることでアルコールやタバコなどの依存物質をやめるために用いられます。

古典的条件付けとは、中性刺激を反射誘発刺激とセットで繰り返し提示されるようになると、これらふたつ刺激を関連付けて学習し、反応するようになることを指します。

刺激に応答(respondent)するということでレスポンデント条件づけ、あるいはパブロフ型条件づけとも呼ばれています。

ロシアの生理学者イワン・パブロフによって、犬に餌を与える前にベルの音を鳴らすことで、次第にベルの音を聞くだけで唾液を分泌するという条件反射の研究がもとになった理論です。

この古典的条件付けを利用してやめたい好きなものに嫌な深いなイメージを結びつけていきます。

アルコール依存でしたら「抗酒剤(こうしゅざい)」が有名です。

これはお酒を飲むと気分が悪くなる薬で、飲むと不快感や気持ち悪さを脳神経系に学習をさせ、「お酒=嫌なもの(不快なもの)」というイメージを新たに形成して、やめることを助けていきます。

たばこの禁煙などでは「急速禁煙法」といって短い時間でたくさんのタバコを吸い、気持ちの悪さを体感し、「タバコ=気持ち悪い(体に悪い)」を学習させる方法もよく用いられます。

嫌悪を条件付けるので「嫌悪条件付け」と呼ばれることも多く、タバコやアルコール以外にも

  • 薬物治療
  • 性的逸脱
  • 過食
  • 問題行動の消去

などにも用いられたりします。

アルコールやタバコを見ただけでも「気持ち悪くなる」というレベルまで行くと手が出なくなるとも言われています。

しかしそこまですり込むことによる精神的なダメージやトラウマなどの危険性もあるため、現在では慎重に検討されるべき技法とされています。

近年の行動療法では、罰によって行動を制限するよりも、報酬によって行動を促す方が長期的に見ても良策とされています。

がしかし時には罰を持って行動を制限をしなければいけない、綺麗事だけでは言ってられないこともあります。

法律に罰則があるから良識を保てている人たちも多くいるのです。

記事監修
公認心理師 白石

「皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っています」

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