過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではギー・コルノーと「男性心理学(父親と息子)」について書いていきたいと思います。
ギー・コルノーについて
ギー・コルノー(Guy Corneau)は、1951年にカナダのケベック州サグネに生まれます。(名前がガイ・コルノーと翻訳されていることもあり、彼はフランス系カナダ人です。)
1972年にコンコーディア大学、1976年にモントリオール大学を卒業し、ユング研究所にて研究を行っています。
経歴や生涯などの文献が少ないために記述できることは少ないですが、コルノーは、1970年代からはじまった「男らしさ」分析の代表格として活躍したカナダの精神分析医です。
有名な著書としては、1991年の「男になれない息子たち」があります。
男性心理学(父親と息子)
男性心理学とは聞きなれない言葉ですが、男性、つまり父親と息子とのコミュニケーションや関係性を対象とした心理学を研究する分野です。
1900年代ではフロイト派が息子が父親に対して自然に競争意識を感じる「エディプス・コンプレックス」という概念を打ち出し、フランスの精神分析家ジャック・ラカンは「息子にとって父親は法を体現した存在だ」と語っています。
コルノーは男性の世代間でのコミュニケーションの難しさを検討していく中で見えてきたものとして「父親は無言のルールに服している」と提唱しました。
父親は多くの場合、母親よりも子に対して賞賛や愛着、承認を与えるのが下手であり、どこか気が乗らないことが多くあります。
そして沈黙であることが多くなり、それを経験した息子は強い印象や承認を得るために頑張ったり、逆に撤退してしまいます。
それほど父親の沈黙は、子に影響を与えるとコルノーは言います。
それが良い方向へ働くのであれば問題はないかもしれませんが、悪い方向へ働くこともあるのです。
かといって賞賛する父親になれば父親の威厳が失われやすく、間違った方向へ働くと頑張る力を削ぐ可能性もあります。
1991年には作家ロバート・ブライが著書の中でこう語っています。
父親に必要なのは息子の内部にある「野生の男」を目覚めさせることだ
アメリカの作家ロバート・ブライ
著書「男になれない息子たち」によると、息子はまず母親と同一視(同じものとしてみる)する生き物であると考察しています。
そして成長していく中で母親と別れることができなければ、いわゆるマザーコンプレックスという状態や女性化していく状態になります。
息子は、母との別れによって男になっていくということです。
一方で父親からの愛情や関わり合いを受けることで男としてのアイデンティティを確立していくため、父親不在や沈黙の問題性を提起しました。
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか
男になれない息子たち ギー・コルノー
記事監修
公認心理師 白石
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