過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではジョン・カバット=ジンと「マインドフルネス瞑想」「MBSR」「MBCT」について書いていきたいと思います。
もくじ
ジョン・カバット=ジンについて
ジョン・カバット=ジン(Jon Kabat-Zinn)は1944年にバイオ科学者の父と画家の母との間に生まれます。
マサチューセッツ工科大学にて分子生物学の博士号を取得されました。
禅やヨガを長年実践し、マサチューセッツ大学にマインドフルネスセンター(ストレス低減センター)を創設し、同大学医学部で教壇にも立っています。
いまでは有名な「マインドフルネス」がここまで広まったのは彼の功績です。
仏教やヨガの修行法と教理を西洋科学と融合させ、医療と社会の現場で活かすためにマインドフルネス瞑想が構築されていきました。
マインドフルネス
マインドフルネス(mindfulness)とは今ここに意識を向け、評価を行わず囚われのない状態でただ観るという心理技法であり、カバット=ジンが体系化させたものです。
ドイツ生まれの仏教僧ニャナポニカ・テラやベトナム人禅僧ティック・ナット・ハンが「マインドフルネスが仏教の中心である」と多くの著書を書き、マインドフルネスが広まっていきました。
このアプローチは「正念(マインドフルネス)」状態で全体を観て、気づきを得ていきます。
過去や未来に頭がいきがちな人間にとって「今ここ」に意識を向けるために、またそのトレーニングとして世界中で活用されています。
副作用や危険性が少ないことも特徴的で、仕事や人生の向上にも効果的な側面があるためアップルやグーグルでは社員研修の一環で導入しています。
医療においては、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)が用いられています。
マインドフルネスストレス低減法(MBSR)
マインドフルネスストレス低減法(英:Mindfulness-based stress reduction:MBSR)は、慢性疼痛など痛みの緩和を目的としてカバット=ジンが作った技法です。
テーラワード仏教の伝統的な瞑想を基本として様々な仏教とヨガのエッセンスが織り込まれている技法ですが、宗教に関係なく、誰でも参加できるように設計されています。
8週間のコースでは、座る瞑想、歩く瞑想、ボディスキャン、マインドフルネスヨガ、食べる瞑想、自分のこころを見つめる、囚われについての学び、記録による学び、今ここに意識を向けるトレーニングなどがあります。
臨床研究により様々な身体的・精神的ストレスを軽減させる効果が実証されており、特にガン、心臓病、線維筋痛症、慢性疼痛などに焦点を当てています。
マインドフルネス認知療法(MBCT)
マインドフルネス認知療法(MBCT)は第3世代の認知療法の一つとされ、マインドフルネスを基本としてうつ病や不安障害、燃え尽き症候群、摂食障害などに用いられます。
カバット=ジンのマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を基にシーガルやウィリアムズらによって開発されました。
否定的な考えやその反芻、行動を繰り返さないように思考を一歩離れて観察し、いまここに集中するマインドフルネスと認知療法を組み合わせた技法で行っていきます。
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著
記事監修
公認心理師 白石
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