過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではポール・エクマンと「感情心理学」について書いていきたいと思います。
ポール・エクマンについて
ポール・エクマン(Paul Ekman)は1934年ワシントンD.C.の小児科医の父親の家庭に生まれ、第二次世界大戦が勃発すると家族は西部に移動し、南カルフォルニアへ転居します。
シカゴ大学にて心理学を学び、ニューヨークのアデルフィ大学でし臨床心理学の博士号を取得します。
アメリカ軍に従軍したのちカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)にて非言語的行動と顔の表情の研究を開始しました。
顔の表情は文化によるものではなく、人類に普遍的な特徴であって生得的なものであると提唱し、「感情心理学」という分野を開拓しました。
主著には、
1985年「暴かれる嘘」
2003年「顔は口ほどに嘘をつく」
2008年「感情への気づき」
などがあります。
感情心理学
1960年代アメリカの文化人類学者マーガレット・ミードは顔の表情が文化によって異なることを示唆し、社会的慣習(文化)によって表情や感情が学ばれると思われていました。
エクマンは世界中を旅行し、パプアニューギニアの近代文化の影響がほとんどない原始的な人々を研究対象としました。
そこでは、西洋的な表情の解釈もこの原始的な文化の解釈も相違がさほどないことに気づき、感情や表情は生まれ持って備わっている人間進化の普遍的なものだという考えを提唱しました。
基本的な感情として、
・怒り
・嫌悪
・恐れ
・幸福
・悲しみ
・驚き
の6つの感情をエクマンは提案しました。
これらの感情は時に強く現れ、まるで暴走列車のようにコントロールできず、顔の表情で隠しきれないサイン「微小表現」となって現れます。
現在の顔認識テクノロジーではテロや犯罪の防止などでも活用されており、エクマンの研究による功績も大きい。
実際、エクマンも顔の表情で嘘をついているか否かを判別する機械を開発しています。
のちの90年代には、6つの基本感情以外に
・喜び
・安心
・満足
・面白い
・興奮
・自負心
・納得感
・軽蔑
・困惑
・罪悪感
・恥
の感情と表現を追加しました。
顔は口ほどに嘘をつく
ポール・エクマン
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著
記事監修
公認心理師 白石
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