過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から学べることは多くあります。

ここではヨハン・フリードリッヒ・ヘルバルトと「観念」について書いていきたいと思います。

ヘルバルトについて


ヨハン・フリードリッヒ・ヘルバルト

ヨハン・フリードリッヒ・ヘルバルト(Johann Friedrich Herbart)は18世紀〜19世紀に活躍したドイツの哲学者・教育学者・心理学者です。

ドイツのオルテンブルクに生まれ、12歳になるまで教育熱心な母親から個人教育を受け、イエナ大学で哲学を専攻しました。

後にヘルバルトは、このような名言を残しています。

一人の賢母は百人の教師に匹敵する。

ヨハン・フリードリッヒ・ヘルバルト

著書には、1808年「一般実践哲学」、1816年「心理学教科書」、1824年「科学としての心理学」があります。※一説には「心理学」という言葉を初めて用いたのがヘルバルトであると言われています。

ヘルバルトは、教育の目的を実践哲学(倫理学)に、方法を表象力学(心理学)に求め、教育学を体系化しました。

「教授の無い教育などというものの存在を認めないし、逆に、教育の無いいかなる教授も認めない」という名言を残し、教育の目的として能力の向上のみならず、道徳的に立派な人間になること「道徳的品性の陶治」の重要性を説きました。

「善なるものを生徒は自分で選び、悪を退けるようにせよ。性格の陶治とはまさにこれのことである。自覚的な人格へのこのような高まりは、明らかに生徒自身の心の中で生まれ、自身の行為を通して行われる。教師がそのための力の固有の本質を作り出し、他のものの中に流しこもうと望むのは愚かなことだ」と語っています。

また教育学として、

①対象を限定し、意識の混乱をなくす(明瞭)
②対象とすでに持っている知識と連結させる(連合)
③連合を経て体系化する(系統)
④ほかのことに応用を可能にする(方法)

の四段階教授法を提唱したことでも有名です。

ヘルバルトが考える「観念」


彼は心がどのように機能するのか?どのように概念や観念を操作するのかを研究しました。

■観念とは何か?
観念とは、主観的な物事に対しての考え方です。主観的ですので思い込みや印象なども含みます。

観念が破壊されることはないのに、なぜ意識的な知覚を超えた観念があるのかを明らかにしたいと考えていたようです。

意識的な知覚を超えた観念とは、18世紀のドイツの哲学者ゴットフリート・ライプニッツが提唱した「微小知覚」のことを指します。

わかりやすく説明すると、その時に知覚していなかったけど、後になって思い出すようなこと(例:部屋の景色を見ていて何があるか知覚していないのに後になってあそこにアレがあってと思い出すことができる)を指します。

要するに記憶で貯蔵して覚えているのにそのことにその時は気づかないことがあるという不思議な現象のことです。

観念(ヘルバルトは表象と言う)には、思考、イメージ、情動(感情)、ほかの観念などが磁石のように引き寄せられ、結びつき、拒絶するなど静的なものではなく力動的なものであると考えました

ヘルバルトの考える観念論は次のようである。

似た要素を持たない観念同士は、結合しないまま存続し、力が弱まり意識の閾下(今で言う無意識)に沈み込む。

互いに矛盾しなければ共存することができるということです。

二つの観念が矛盾する場合は、互いに反発し合い、その反発の中で強力になっていく。

その結果、好まれた観念は意識のうちにとどまり、もう一方の観念は意識の彼方(今で言う無意識)に追いやられる。

この時代は無意識と言う概念がないため、ヘルバルトは、意識の彼方を「観念の貯蔵庫」と見なしていたようです。

そして後に私たちが認識できるようになったフロイトやユングなどの「無意識理論」の起源になりました。

心理学的には、ヘルバルトの提唱は哲学的ルーツの構造主義であり、20世紀の精神分析の土台を作ったと評価されています。

ヘルバルトの観念論を今に活かす


「観念」という言葉は色々な捉え方ができるのでここではわかりやすく「考え方」と捉えてみます。

矛盾する考え方によって私たちは苦しむことがあります。

それらが強く反発している時に強力になってしまいます。

そこに興味があればあるほど強く感じるでしょう。

逆に言えば興味が薄ければそれほど強く感じないかもしれません。

また磁石のように感情や思考が引き寄せられ、結び付けられやすい特徴を増幅させることを控えることで強く重たくすることを回避することもできるかもしれません。

今抱えている矛盾する考え方や感情に決着をつけれない時は、少し離れてみることで、精神の状態を良い状態へ向かわせることができる時があります。

矛盾している時に「好み」で決着をつけてしまいがちですが、善と悪という2つの品性(陶治)からもみていくことでより良い決断が促されるかもしれません。

できるかどうかは別として「矛盾していても穏やかに共存する」という精神の獲得も応用の一案としてあるかもしれません。

いろいろな考え方(観念)を主張しやすくなった現代では、観念をうまく尊重、共存させる能力も必要になってきているように感じます。

参考文献

ヘルバルト研究に関する一考察 岩本俊朗
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか著

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