カウンセリングや心理療法では、「マイナスの部分」である「悩み」や「問題」をテーマとして扱うことが多いものです。

「マイナスの部分」を乗り越え、「プラス」に転換していく方向性が基本ですが、逆に「プラス」を補うことで「マイナスの部分」が改善したり、乗り越えやすくなったりもすることも少なくありません。

そのプラスにあたる「幸せ」や「幸福感」を感じる上で欠かせない体内物質があります。

それが「幸せホルモン」と呼ばれている「オキシトシン」「セロトニン」「ドーパミン」「エンドルフィン」です。

それぞれの「効果」と「分泌を促すこと・もの」について説明していきます。

幸せホルモン「オキシトシン」


オキシトシンは英語でOxytocinと表記し、通称 OXTとも表記されています。

脳の視床下部で合成されて下垂体から分泌されているホルモンです。

「愛情ホルモン」「思いやりホルモン」「幸せ(幸福)ホルモン」などの呼び方が一般的にされています。

出産時に子宮を収縮させる、授乳、愛情のホルモンとして「お母さんのホルモン」として最初は、理解されていました。

しかし男性や女性、高齢者もこのホルモンが分泌されることが研究によって明らかになってきています。

オキシトシンの効果

幸せホルモン「オキシトシン」には以下の効果があると言われています。

  • 幸せな気分になる
  • 不安や恐怖の感情が減る
  • 怒りやイライラの感情の緩和
  • 穏やかになる
  • 愛情深くなる
  • ストレスが緩和する
  • ストレスを感じることが減る
  • 癒される
  • 他者への信頼が増す
  • 他者への共感性が増す
  • 社交的になる
  • 好奇心が高まる
  • 学習意欲の向上
  • 記憶力の向上
  • 心肺機能の向上
  • 摂食抑制
  • 痛覚伝達に作用(鎮痛)
  • 自閉症症状改善
  • 骨の形成
  • 骨格筋に作用
  • 腸炎の抑制
  • 免疫力向上
  • 感染症予防

こころだけではなく、からだに対しても効果があることが研究によって明らかになり、ますます注目されています。

オキシトシン研究の第一人者と呼ばれるモベリ教授はこのように述べています。

オキシトシンを中心とする生体内システムを「安らぎと結びつき」システムと呼んでいる。

オキシトシンと心身の健康 – J-Stage

心身の健康に大切な働きを持つホルモンです。

ではどのようようにすればオキシトシンが出やすいか説明していきます。

オキシトシンの分泌を促すもの

ここでは一般的に言われているオキシトシン分泌を促すものについて以下のようなものがあります。

  • 肌の触れ合い
  • マッサージ
  • 抱擁やハグ
  • 性交渉
  • 愛撫
  • スキンシップ

などの直接的触れあいが幸せホルモンの「オキシトシン」分泌を促します。

人間だけではなく、犬などのペットとのふれあいでも分泌されると言われています。

  • 共同作業
  • おしゃべり
  • カラオケ
  • 家族団らん
  • 一緒に旅行に行く
  • 一緒に食事をする
  • 一緒に寝る
  • 一緒に何かをする

などの誰かとのつながりによって「オキシトシン」分泌を促されます。

  • 愛情を感じる
  • 素直に感情を表す
  • 親切や思いやりを持つ
  • 感動する
  • 感銘する
  • 大きな喜びを感じる
  • 嬉しく感じる
  • 幸せを感じる

などこころの持ち方や感情によって、幸せホルモンの「オキシトシン」の分泌が促されるものがあります。

幸せホルモン「セロトニン」


セロトニンは英語でserotoninと表記され、生体リズムや神経内分泌、睡眠、体温調節などに関わっていると言われています。

セロトニンは、約90%が腸、約8%が血液中、脳内に存在するのはわずか約2%といわれています。

セロトニンは幸福感や幸せ、安心感など精神を安定させ、自律神経を整え、ストレスを軽減させる働きがあることがわかっています

また食欲にも深く関わっています。

一般的にドーパミンはやる気など興奮系の神経伝達物質と呼ばれ、セロトニンは安心感とリラックスの鎮静系の神経伝達物質といわれています。

セロトニンの効果

セロトニンが増えると

  • 安心感が増える
  • リラックスできる
  • 精神の安定
  • 頭の回転が良くなる
  • 幸せを感じる
  • 自律神経が整いやすくなる
  • ストレスを軽減する
  • 囚われが減る
  • 体温調整
  • 睡眠の質の変化
  • 鎮痛
  • 消化器官への影響

などの効果があると考えられています。

セロトニンの分泌を促すもの

セロトニンの分泌を促すものとして以下のようなものがあります。

  • 日光を浴びる(朝が良い)10~30分
  • リズミカルな運動(ウォーキング、ダンス、歌うなど)
  • 食品を摂る(アミノ酸:トリプトファン、炭水化物、ビタミンB6など一緒に摂るとよい)→バランスよく食事を取るぐらいでもよい
  • 感動などの喜ばしい感情や涙
  • 咀嚼
  • 良い睡眠
  • 心地よい触れ合い
  • 癒しの体感
  • 温泉や旅行

※トリプトファンはナッツ、マグロやカツオ、納豆、豆腐、味噌、チーズ、卵、ヨーグルト、チーズ、牛乳、バナナなどを食べることで摂取できます。

幸せホルモン「ドーパミン」


ドーパミンは英語でDopamineと表記される脳の側坐核(そくざかく)から分泌される神経伝達物質です。

やる気が出る、気持ち良い、心地よいなど「意欲や快楽」に関係しているのがドーパミンです。

人間が行動を起こすとき、「苦痛を避けるか」「快感(楽しい・報酬性がある)を得るか」の2つの選択肢があるとされています。

その快感を得るために行動を起こします。

そこにドーパミンの分泌があるといった感じです。

ドーパミンの効果

  • 幸せを感じる
  • ワクワクする
  • ポジティブになる
  • 行動したくなる
  • 達成感
  • 興奮する
  • 楽しみになる
  • 嬉しい
  • 学習性の向上
  • 快感
  • 運動調節
  • ホルモン調節

などがあると考えられています。

ドーパミンの分泌を促すもの

  • 目標の達成
  • 特に小さな目標を繰り返す
  • 楽しいとき
  • 笑う
  • 褒められる
  • やる気が出るとき
  • 美味しい
  • ときめき
  • 好奇心が高いとき
  • 報酬が得られると思えるとき
  • ポジティブになるとき
  • バランスの良い食事
  • 運動

ワクワクして小さな目標を達成し、褒めることを繰り返すことでドーパミンの分泌が促されます。

ワクワクで1回目のドーパミン分泌、目標達成で2回目のドーパミン分泌、褒めるで3回目ののドーパミン分泌が促さるといった具合です。

自分への褒め上手が無料で簡単にできるドーパミンの分泌方法ですね。

幸せホルモン「エンドルフィン」


エンドルフィンは英語でendorphineと表記され、脳内でつくられる神経伝達物質です。

モルヒネと似たような作用があり、幸せや幸福感を感じる特徴とモルヒネの6.5倍の鎮痛効果があると言われています。

ランナーズハイなど極限状態でも分泌されているものです。

エンドルフィンの効果

  • 気分の高揚
  • 幸せや幸福を感じる
  • 集中力の向上
  • 記憶力の向上
  • 鎮痛効果
  • 苦しみを癒す効果
  • ストレスが減る
  • 免疫力の向上
  • 回復力の向上

などが効果としてあります。

エンドルフィンの分泌を促すもの

  • 痛みがあるとき
  • ストレスがあるとき
  • 運動
  • 辛いものを食したとき
  • スキンシップ
  • 美味しいものを食べたとき
  • 満たされたとき
  • 本能が満足
  • 良い睡眠が取れたとき

などがエンドルフィンの分泌を促します。

おわりに


愛情と思いやりの「オキシトシン」

安心とリラックスの「セロトニン」

やる気の「ドーパミン」

高揚の「エンドルフィン」

これら4つの「幸せホルモン」

ちょっとした工夫で人生を彩ってくれるかもしれません。

参考文献・サイト
オキシトシン – Wikipedia
“オキシトシン”の多彩な生理作用 – 山口内分泌疾患研究振興財団
オキシトシンと心身の健康 – J-Stage
セロトニン – Wikipedia
エンドルフィン – Wikipedia

記事監修
公認心理師 白石

「皆様のお役に立つ情報を提供していきたいと思っています」

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