人生を歩む中で私たちは様々な出来事に遭遇します。

喜ばしいこともあれば、悲しいこともあります。

時として精神的ショックを受ける出来事にも遭遇してしまうことがあります。

精神的なダメージの強い「精神的ショック」を受けたとき、今までと同じように対応できない場合があります。

そういった時に慎重に丁寧に対象者(自分・他者)を扱うことが必要になってきます。

そんな精神的ショックに対する知識と対応、カウンセリングと心理療法について説明していきたいと思います。

精神的ショックとは?


「精神的ショック」という言葉は、専門用語ではないため学術的な定義付けなどはありません。

一般的に用いられる言葉ですが、改めて説明していきます。

ショック(英語:shock)という言葉には、

 人体や物が受ける物理的な衝撃。「ショックに強い時計」
 予期しない事態にあい、心が動揺すること。衝撃。「ショックを受ける」
 血液の循環などが急に阻害され、生命が危険な状態となること。「ショック死」

大辞泉 小学館

というような意味があります。

身体におけるショックは生命が危険な状態を指しますので、精神的なショックもただのストレスより強い、危険度の高い精神的ダメージと言えます。

精神的ショックは、予期しない事態などに遭遇し、強い衝撃や動揺、精神的ダメージを受けることを意味していると思います。

衝撃度が強いため予期していないことが多いですが、予期していても精神的ダメージが強い場合にも用いられます。

非常に強いストレスがかかっても精神的ショックを感じない人もいれば、精神的ショックを感じる人もいますので個人差がある領域でもあります。

また本人が「精神的なショックはない」と主張していても実は無理をしていてジワジワと長期的に苦しむ場合も有り、かえってそのように捉えている方がいい場合もあります。

このように出来事の衝撃度やストレスの耐性、どのように捉えるか、などの影響によって精神的ショックが変化します。

精神的ショックを感じる出来事と特徴


精神的ショックは衝撃度の強い出来事によって誘因されます。

別れ

好きであった恋人と別れなければならなかった、離婚によって家族と別れなければならなかった、親友や友人と別れなければならなくなかった、大切な人が亡くなってしまった、など大切な人との死別や生き別れによって精神的ショックを受けます。

対象は人だけではなく、犬や猫などのペット、仕事や会社、趣味なども別れによって精神的ショックを感じてしまいます。

大切にしていればしているほど、愛が強ければ強いほどその精神的なショックは強くなります。

大きな損害を伴う失敗

失敗は誰でもあるものですが、大きな損害を伴う失敗を起こすことも精神的ショックを感じやすい出来事です。

仕事で大きな損失を出した、交通事故を起こした、悪気はなかったけど大問題になってしまった、あんなことを言ってしまったために、あんなことをしてしまったために、などのようなケースが該当します。

失うものが多く感じられるほどその精神的なショックは強くなります。

挫折

仕事や学業、人生での目標に向かって走る途中で失敗や何らかの原因でダメになってしまう「挫折」によって精神的ショックを味わってしまいます。

目標を達成しようと意気込んでいた気持ちが強ければ強いほど精神的なショックは強くなってしまいます。

落差の大きい事実の判明

あの人は自分のことをこう想ってくれていると思っていたのに、影で悪口を言っていた、SNSであんなことを、影で浮気していた、実はこんな人だった、騙された、好きだって言っていたのに、今まで健康だったのに大きな病気になった、まさか自分にこんな事が起こるなんて、治るって言っていたのに、効果が絶対あるって言っていたのに、など今までの既存のイメージや期待を大きく裏切られたときにも精神的なショックを受けることが多いものです。

恋愛や結婚、子育て、会社の人間関係、友人、学校の人間関係、先生と呼ばれる人との関係、大きな病気の発覚、事件遭遇、治療、詐欺などで起こります。

良いイメージや期待が強ければ強いほど精神的なショックは強くなってしまいます

自分の理想化と現実

無意識的に実際に持っている以上の価値を自分に認識してしまい、現実でその理想化が打ち砕かれることにより精神的ショックを受けてしまいます。

心理学(精神分析)で考える「理想化」は、他者や自己に無意識的に実際に持っている以上の価値を認識する防衛機制です。

親や周囲の期待に応えたい場合や自分の無力感や不甲斐なさを打ち消すために理想化したり、一部スピリチュアル関係や新興宗教などに理想化が深く関係していることも少なくありません。

適度な理想化は自分を向上させる働きになりますが、現実離れした理想化によって妄想の世界からなかなか抜け出せなくなる場合もあります。

実際に持っている現実的な価値より離れた理想化であればあるほど精神的なショックは強くなってしまいます

当たり前が当たり前ではなくなった時

当たり前だと思っていたことが台風、洪水、地震など天災や事件、事故、病気、解雇によって急に当たり前ではなくなった時に精神的ショックを受けてしまいます。

その当たり前が大切であればあるほど精神的なショックは強くなってしまいます。

精神的ショックを受けやすい出来事まとめ

精神的ショックを受けやすい出来事をまとめると

  • 天災によるもの(台風、洪水、地震、竜巻、大雨、落雷)
  • 大病や度重なる病気や症状の発症
  • 事故(加害者・被害者)
  • 大きな失敗
  • 解雇・倒産・落第
  • いじめや孤立
  • 大切な人(動物)との別れ(生き別れ・死別)
  • 挫折
  • 裏切り・詐欺
  • 犯罪
  • 自己イメージの崩壊
  • 他者イメージの崩壊
  • 流産・不妊
  • 虐待
  • 子どもに関する問題
  • コロナ禍による影響

などがあります。

人前で恥をかくような出来事も繰り返し体験することで精神的ダメージが蓄積され精神的ショックを受けてしまうこともあります。(例:発表による緊張・失敗、過敏性腸症候群、会食恐怖症など)

精神的ショックによる症状


精神的ショックによる症状をここに紹介しますが、パニック障害、PTSD、恐怖症、不安障害、うつ病などの疾患として診断されるケースもありますので強い症状があれば病院やクリニックにて診断されることが推奨されます。

  • 感情が強くなったり感情の麻痺が起こる
  • 恐怖や不安感情が強くなる
  • フラッシュバック(ショックな出来事の想起)
  • パニック症状
  • 無力感
  • 絶望感
  • 罪悪感や自責
  • 関心・興味の減退
  • ネガティブ傾向が強まる
  • 希望が持てない
  • 忘れやすくなる
  • 回避行動が多くなる
  • 過覚醒
  • 動きたくなくなる
  • 頭痛やめまい
  • 吐き気や胃痛、腹痛、下痢など消化器症状
  • 息がしづらい、呼吸が浅いなど呼吸器障害
  • 冷や汗、青ざめる
  • 白髪になる
  • 神経質、強迫的になる
  • 不眠など睡眠障害が出る
  • 悪夢にうなされる
  • 孤独感や孤立感が強くなる
  • 過剰につくろってしまう
  • 死にたくなる
  • 運動麻痺
  • 感覚麻痺
  • 痙攣
  • 驚きやすくなる

などが精神的ショックによる精神的・身体的な症状として挙げられます。

図5 ストレスによって身体に現れる症状
ストレスによる身体反応

上図引用:文部科学省 第2章 心のケア 各論

次に学術的・医学的視点からストレスとショックについてみていきましょう。

「ストレス反応モデル」


ストレス理論の学術的基礎になっているのが生理学者ハンス・セリエ(英語:Hans Selye)の「ストレス反応モデル」です。

ストレス(英語:stress)という言葉自体は、物質に力が加えられた時に生じる歪みや反発力を意味する物理学用語に由来しています。

ストレスとは、「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」であり、ストレッサーとは、「ストレスを引き起こす外部環境からの刺激」であると定義しました。

例えば、「会社の不条理な判断でイライラした」といったケースの場合、「会社の不条理な判断」がストレッサー、「イライラした」がストレス反応ということになります。

ストレッサーには、

  1. 物理的ストレッサー:猛暑、寒冷、騒音、光など
  2. 化学的ストレッサー:タバコ、有害物質、排気ガス、アルコール、大気汚染、化学物質など
  3. 生物学的ストレッサー:細菌、ウイルス、真菌、花粉など
  4. 精神的ストレッサー:怒り、恐れ、不安、憎しみ、悲しみなど
  5. 社会的ストレッサー:家庭、学校、職場の環境など

などがあります。

適応症候群からみるストレス反応モデル

ストレッサーにさらされた生体がその有害性に適応しようとする生化学的反応のことを「適応症候群」といいます。

セリエのストレス反応モデルの基本になっているのがこの適応症候群で、汎適応症候群(GAS:General Adaptation Syndrome)と局所的適応症候群に分けられます。

マウスを用いた実験では、上述した様々なストレッサーを与えた結果

  • 副腎皮質の肥大
  • 胸腺の萎縮
  • 胃と十二指腸の潰瘍および出血

という3つの症状が発現されることが証明されました。

副腎肥大は、副腎皮質からのコルチゾールの分泌過多により起こります。副腎皮質が働きすぎて疲弊するとコルチゾールが分泌されなくなり、エネルギーをうまく作れなくなります。

コルチゾールの影響から胸腺が萎縮してT細胞がうまく作られなくなるなど免疫力に異常をきたしてしまったり、胃酸の分泌に影響していたり、海馬を萎縮させたりもします。

このように疲れやすくなったり、免疫力が低下したり、集中力も低下してしまうためコルチゾールは、ストレスホルモンと呼ばれるようになりました。

コルチゾールの働きが過度に高い、持続的に高い状態であると

  • 血糖値の上昇・高血糖
  • 免疫力低下
  • 筋肉の合成を抑制し、分解を亢進(クッシング症候群)
  • 骨粗しょう症の原因
  • 海馬の萎縮
  • 脳細胞の減少(ニューロンの生成阻害)
  • 脳の早期老化
  • 無気力・無関心
  • アルツハイマー症の増加
  • 入眠困難などの不眠障害
  • コラーゲンの生成を阻害
  • 寿命が縮まる

などが起こります。

コルチゾールの働きが過度に低い、持続的に低い状態であると

  • 低血糖症(エネルギー不足を感じる)
  • 免疫力上昇
  • 無気力、無関心、不安(アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が低下することから)
  • 中途覚醒・浅い睡眠などの不眠障害

などが起こります。

ストレスもコルチゾールも有り過ぎても無さ過ぎてもよくないということですね

汎適応症候群(GAS)には、

  • 警告期(ショック相・反ショック相)
  • 抵抗期
  • 疲憊期(ひはいき)

があります。

警告反応期は、ストレッサーが加えられた直後の時期ですので最初に抵抗力が低下するショック相を経て、抵抗力が高まる抗ショック相へと移行します。

警告期のショック相は、ストレッサーによるショックに適応できていない緊急反応状態のため

  • 血圧・体温・血糖値の低下
  • 血液の濃度の上昇
  • 意識の低下
  • 筋弛緩
  • 副腎皮質の縮小
  • 脊髄反射の減弱
  • 急性胃腸潰瘍の発生

などの反応が起こります。自律神経のバランスも崩れている状態です。

ショック相は、よく漫画などにある「ガーン!!」とショックを受けた時の反応ですね

警告期の反ショック相(抗ショック相)は、ショックに対する生体の適応・防衛反応が働き始めますので

  • 血圧・体温・血糖値の上昇
  • 副腎肥大(副腎皮質ホルモン分泌)
  • 胸腺リンパ組織の萎縮
  • 筋緊張の増加

などの反応により交感神経の活動が活発になりますので、過活動や過覚醒などの問題が起きることもあります。

次にストレスに耐えて適応するようになる時期「抵抗期」があります。

持続的なストレッサーとストレス耐性が拮抗している安定した時期ですが、この状態を維持するにはエネルギーが必要です。枯渇すると「疲憊期(ひはいき)」に入ります。

疲憊期では、

  • 心拍・血圧・血糖値の低下
  • 体温の低下
  • 胸腺やリンパ節の萎縮
  • 副腎皮質の機能低下
  • 衰弱
  • 身体機能の異常

などが起こり、命が危険な場合もあります。

図4 ストレス反応の3相期の変化
(ハンス・セリエ 現代社会とストレス 法政大学出版局 1988)

上図引用:文部科学省 第2章 心のケア 各論

段階別にみる精神的ショック


精神的ショックな出来事が起きたとき「そんなことありえない」と否定したり、否認したくなります。

なぜならそのような出来事が起こると思わなかったからです。

こころに衝撃が走ります。

この段階では、出来事を受け入れることができないために

①否認「そんなわけない、そんなことあるわけない」
②ショック状態「呆然とする、言葉が出ない」

などが起きます。

この段階では無理して受け入れるよりも心に身を任せて行くことが大切です。

そして時間が経つごとに、少しずつ出来事を受け入れていきます。

この段階では、

①感情が表れる(悲しみ、怒り、虚しさ、憎しみ)
※逆に感情が感じられなくなることあります
②罪悪感(自分の問題だと感じる場合)
③相手を責める思い(相手が問題だと感じる場合)
④身体化・転換(頭痛、吐き気、めまい、体の違和感)

などが起こります。

感情や罪悪感、相手への怒りや憎しみ、また体の症状としてでてくることもあります。

「なんとかしなきゃ」と動きたくても衝撃とショック状態を味わっているのでなかなかうまく動くことができない場合も少なくありません。

この段階では無理して何かできるものではありませんので心が感じるまま受け入れてあげていくほうが良い状況です。

周囲の方も言葉で刺激を与えるよりもただそばにいたり、話を聞いてあげたり、相手に応じて対応するほうが良いです。

なかなか受け入れることが難しい場合も多く、自責の念にかられ

①絶望的になる
②希望がもてなくなる
③他人が羨ましく感じ、孤独感が強くなる
④死にたくなる
⑤動けなくなる
⑥抑うつ状態になる
⑦体に症状が出てくる
⑧感情が麻痺する

などの気持ちや状態が現れてくる段階に入ります。

現実逃避をしたくなったり、ひきこもりたくなるような心理状態になります。

またそのような精神的ショックを受けている自分やそのように考えている自分を受け入れがたく感じてしまうこともあります。

この状態では、なかなか心や体が動いてくれないような時期ですので慎重に判断しなければなりません。

カウンセリングや相談を行う時期に多いのがこのような時期か、この時期を少し経過してもう一度頑張ろうとする時期に多く感じます。(実際はどの時期でも有用です)

この時期の絶望感や希望が持てないと思ってしまう現象に惑わされないようにしていくことが大切です。

この時期がすぎれば、また希望を感じて立ち上がっていくことができますが、この時期は本当に絶望的に見えやすくなりますし、希望を感じにくくなるものなのです。

出来事から精神的ショックを受け、感情に囚われ、絶望的になり、時間が経過しながら少しずつ自然に受け入れが進み、笑顔が少し増え、心が少し軽くなりを繰り返していきます。

人の温かさや優しさが必要になりますが、自分の中で時間を使って処理したいために「そっとしておいて欲しい」こともありますので本人が嫌がらないようなサポートが周囲に求められます。

ある時期にくると自分でも意識的に向き合える時期が訪れます。

こころを整理したり、いつまでも責めていてはいけないと感じ、前に進もうとしていきます。

前に進んでいるとふとした時に苦しくなることもありますが、その苦しみも「そういうもんだ」と受け入れながら進めていくことで少しずつ本来の自分を取り戻していきます。

そしてあのショックな出来事を肯定的に捉えることができるようになった時には、以前の自分より大きな自分へと成長していることを感じることができます

そこまできてようやく感謝が生まれます。

ここまで来るのに数週間の場合もあれば数年~数十年といった場合もありますが、出来事や向き合い方、周囲や専門家のサポートによって異なるものです。

しかし実際にはなかなかうまく進めない場合があります。

進めない理由として

①トラウマになる(PTSDなど)
②恐怖症や不安症、うつなど精神疾患へ発展してしまう
③身体的な病気が発症
④まだ心が整理できず動けなくなる、引きこもりがちになる

などがあります。

カウンセリングと心理療法の有用性


最初は自分自身で向き合っていくものですが、時間が経過してもどうしても上手く整理できず、受け入れがたく、前に進めず、身動きがとれなくなることがあります。

そんな場合、自分ひとりで抱えずに家族や友人に相談する、病院やクリニックで診断を受ける、会社や学校へ相談してサポートしてもらうということが大切になります。

「そんなカッコ悪いことするなんて。。。」と思っていれば思うほど必要かもしれません。

人に頼ることを経験することによりその体験の素晴らしさを知り、独りよがりの人生に大きな財産となる体験を得ることにつながります。

またこういった時ほどプロの専門家によるカウンセリングと心理療法が有用になってきます。

家族や友人に相談できることは別として第三者に相談することが功を奏します。

自分と関わりがないからこそ素直に心の内を話せるものです。

トラウマ、PTSD、恐怖症、不安症、うつなど精神疾患への適切な対応とアプローチを心得ている専門性があることも大切です。

では実際にカウンセリングや心理療法を受けるとどのような流れで心の再生や成長が行われるかを紹介していきます。

カウンセリングと心理療法のアプローチ

最初にどのような出来事があり、どのように感じ、どのように捉えて、今どうなってどう思っているかを相談者(以下クライエント)が話していきます。

カウンセラーはその話を受容しながら聞いていきます。共感され、一見恥ずかしい内容でも受け入れられていく流れにクライエントの心が癒されていきます。

そして受け入れがたい理由を話していく中で「それで受け入れられなくて苦しんでいたんだ」という理由を発見していきます。

なぜここまで精神的ショックを受けたかを「心の仕組み」を通して知ることにより不思議な安心感と向き合うべき場所を発見した喜びがでてきます。

トラウマや恐怖症の場合、恐怖条件付けなどの理論を知ることから始まり、クライエントに可能なアプローチを適切に選びます。

恐怖やトラウマ化に学習してしまった条件付けを消去・馴化したり、上書きして学習したり、気づきを得ていきます。

そういったなかで少しずつ恐怖感が減り、不安も減っていきます。

また精神的ショックにより大きく傷ついた自分に向き合っていく中で癒されるだけではなく「自分との向き合い方」が上手くなっていくことがわかってくると思います。

なぜこのように精神的なショックを受けたのか?という原点にはクライエントのドラマティックな根幹の信念や想いが見つかっていきます。

なぜこうなったか、どのように向き合うか、どう心理的にアプローチするか、など心理的な側面ばかりではなく、これからどうしていくか、今何をしていくことがいいか、など行動や未来に向けて焦点を合わせることも時期によって重要になります。

前に進みたい気持ちと前に進むのが怖い気持ちが葛藤を起こすこともしばしば起こりますが、それらの気持ちも受容しながらクライエントのペースで進めていきます。

ひとつひとつ丁寧にカウンセリングを行いながら適切な心理療法でアプローチをしていくことで徐々に「本来の自分」と「この出来事によって成長した自分」が頭角をあらわしてきます

カウンセリングを進めていく中で、あのショックな出来事をどのくらいに扱うかのバランス感覚も大切です。

そしてクライエントにとってちょうど良い適切な受け入れが行われていきます。(何でもかんでも全て受け入れればいいというものではない)

次第に向き合って良かったと達成感や感謝が生まれ、自信を取り戻し、この出来事によって成長した自分を持って現実世界へ進まれていきます。

それはまるで新しい自分に生まれ変わるような、蛹が脱皮するような美しさとダイナミックな現象であったりします。

実際途中には、絶望的に見えやすくなりますし、希望を感じにくくなったりすることもありますがそういう時期だと認知できるようにしていくことが大切です。

おわりに


人生には様々なライフイベントが訪れます。

精神的ショックは無ければ無い方がいいかもしれませんが、「あの出来事があったから今の自分がいる」といった輝きを放つ起点になることもあります。

ご相談頂いたクライエントがよく言われるのが「もっと早く相談しておけばよかった」という言葉です。

誰でも相談やカウンセリングを受けるかどうか悩むものです。

ましてやそういう相談をしたことがない人であればなおのことです。

自分ひとりで乗り越えることも大切ですが、頼る素晴らしさや話すことで整理され、向き合いやすくなる経験も自分の成長につながります。

「精神的ショック」について再三再度申し上げますが、絶望感を強く感じたり、希望が持てなくなる時期がありますが、あくまでそう感じやすくなる時期ですので流されないでください。

その思いに抵抗はしなくていいですが、惑わされないでください。

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記事監修
公認心理師 白石

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