夫婦関係は、人生の幸福度に最も大きく影響する人間関係の一つと言われています。

「最近会話が減った」
「些細なことでケンカになる」
「一緒にいるのに孤独を感じる」
「子育てをしてから関係が変わった」
「もう昔のようには戻れないかもしれない」

このような悩みを抱えながら生活しているご夫婦は少なくありません。

しかし、夫婦関係が悪くなったからといって、

「相性が悪かった」

「愛情がなくなった」

と決めつけるのは早いかもしれません。

心理学の研究では、多くの夫婦問題は「愛情の有無」ではなく、

「コミュニケーションのパターン」や「感情の扱い方」

が大きく影響していることが分かっています。

夫婦とは何か?ステージによる特徴とは?


結婚当初はお互いの愛情が強く、

楽しい時間も多くあります。

そのような幸せな新婚生活を進みながら

お互いの違いが徐々に明確になっていくことが多いと思います。

お金の使い方

家事の分担

休日の過ごし方

親との距離感

仕事への考え方

言葉のかけ方や優しさ

「どちらが正しいか」という方向に進むと喧嘩が多くなることもあり、

「二人の新しいルール」を作っていくことで解消できることもあります。

「子どもの誕生」を経験されたご夫婦では

多くの研究で第一子の誕生後は夫婦満足度が

一時的に低下する傾向が報告されています。

睡眠不足

育児への不安

家事の増加

仕事との両立

自由時間の減少

など、心身への負担が急激に増えるためです。

夫婦が「恋人」から

「父親・母親」という役割へ

変化していくなかでの気持ちのずれが生じることも少なくありません。

子どもが成長すると、「子育て中心の時期」に入ります。

生活は子どもを中心に回るようになり、

夫婦だけで話す時間が少なくなります。

「夫婦の会話が子どものことだけになった」

というご相談もよくあります。

しかし、この時期は夫婦仲が悪いというより、

「夫婦でいる時間」が減っているだけというケースも多くあります。

短時間でも、お互いの気持ちを話す時間を持つことが、

後の関係を大きく左右すると考えられています。

やがて子どもが思春期や自立の時期を迎えると、

親としての役割が少しずつ終わりに近づきます。

ここで新たな課題になります。

「夫婦二人だけになる」

という変化です。

子ども中心だった生活から夫婦中心の生活へ戻ることに

戸惑う方も少なくありません。

長年、親として協力してきた二人が、

「夫婦」として改めて向き合う時期になります。

この頃には仕事での責任や親の介護、更年期なども重なり、

ストレスが増えやすい年代でもあります。

そのため、相手への思いやりが減ったように感じるかもしれませんが、

「余裕がなくなっている」ことも少なくありません。

さらに人生の後半になると、退職や子どもの独立を迎えます。

毎日一緒に過ごす時間が増えることで、

「何を話したらいいか分からない」

「相手の生活リズムに戸惑う」

という悩みが生まれることもあります。

一方で、この時期は夫婦が新しい趣味や旅行などを通して、

新たな関係を築ける時期でもあります。

長年の夫婦だからこそ、

お互いを支え合える安心感が生まれることもあります。

夫婦関係の研究で世界的に知られるジョン・ゴットマン博士は

長年にわたり数千組の夫婦を追跡し、

「幸せな夫婦はケンカをしないのではなく、修復が上手である」

と報告しています。

意見の違いがあることは自然なことです。

大切なのは、

傷つけた後にどう向き合うか

気持ちをどう伝えるか

相手の話をどう受け止めるか

という日々の積み重ねです。

また、夫婦満足度は一直線に変化するのではなく、

子育て期に低下し、

その後、子どもの独立をきっかけに再び上昇する

「U字型」の変化を示す研究も多く報告されています。

これは、多くの夫婦がライフステージに応じて関係を再構築していることを示しています。

夫婦関係は、その時々の課題に向き合い、

お互いを理解しながら少しずつ形を変えていくものです。

しかしそのように相手が考えてくれないとなると

この先一緒に進んでいくことが難しくなることもあります。

途中でDV、不倫、浮気、離婚、再婚、死別、不登校などの

大きなライフイベントを経験される方もいます。

夫婦の中だけではその問題や課題を解決できない、支えきれないこともあります。

悩みの渦中で苦しくなって、前を向けないこともあります。

奥さん(お母さん)の夫婦関係の悩み


日本の夫婦関係に関する調査(内閣府、厚生労働省、国立社会保障・人口問題研究所、民間の大規模夫婦調査など)

で繰り返し報告されている内容を総合すると、このような悩みが最たるものになります。

1. 夫が話を聞いてくれない
「相談しても解決策ばかり」「気持ちを分かってもらえない」という悩みは非常に多く、夫婦満足度とも強く関係しています。

2. コミュニケーション不足
会話が減った、必要最低限しか話さない、スマホばかり見ているなど。

3. 家事・育児の負担が偏っている
共働き家庭でも妻の家事・育児負担が大きく、不公平感を感じるケースは非常に多く報告されています。

4. 気持ちを理解してもらえない
「共感してほしいだけなのに」「否定される」と感じる相談。

5. 子育ての価値観が違う
叱り方、甘やかし方、教育方針など。

6. 愛情表現がなくなった
「ありがとう」「お疲れ様」「好き」という言葉やスキンシップが減った。

7. 夫が家族より仕事を優先する

8. お金の使い方・家計管理
貯金、教育費、趣味への支出など。

9. 義父母・親族との関係

10. 夫婦喧嘩が増えた
同じ内容で何度も繰り返す。

11. セックスレス・性生活の悩み
日本では夫婦相談の大きなテーマの一つです。

12. 感謝されない
家事や育児をしても当たり前と思われる。

13. モラハラ・精神的な圧力
否定、無視、見下す発言など。

14. 浮気・不倫への不安や裏切り

15. 一人で育児しているように感じる

16. 価値観の違い
休日、お金、人付き合い、仕事観など。

17. 将来への不安
老後、お金、子どもの進学など。

18. 自分の時間がない
家事・育児・仕事に追われる。

19. 離婚するべきか迷っている

20. 自分が我慢し続けている
「言いたいことを言えない」「私さえ我慢すれば」という状態。

このような悩みのなかには

  • 大切にされていると感じられない
  • 理解してもらえない
  • 一人で頑張っている
  • 安心できる居場所がない

という心理的なストレスや孤独感が、

多くの夫婦問題の背景にあります。

旦那さん(お父さん)の夫婦関係の悩み


1. 妻に何をしても認めてもらえない

「頑張っているつもりなのに評価されない」「ありがとうと言われない」という相談は非常に多くみられます。

2. 話すとすぐに怒られる・責められると感じる

会話をすると口論になりやすく、「何を言っても否定される」と感じてしまうケースです。

3. 妻の気持ちが分からない

「どう接したらいいのか分からない」「急に機嫌が悪くなる理由が分からない」と悩む方も少なくありません。

4. 仕事のストレスを理解してもらえない

長時間労働や責任の重さを家族に分かってもらえず、孤独感を抱える方もいます。

5. 家では居場所がないと感じる

帰宅しても落ち着けず、「家が安心できる場所ではなくなっている」と感じることがあります。

6. 会話が減り、どう関係を修復したらよいか分からない

子どもが生まれてから夫婦だけで話す時間が減り、距離が広がったと感じるケースです。

7. セックスレス・スキンシップの減少

日本では夫婦関係の大きな相談テーマの一つであり、愛情を感じられなくなったと悩む方もいます。

男性側は求めても、女性側が子育てや性への興味への喪失などでうまく合わせないことも。

8. 家事や育児をしても十分だと思ってもらえない

「協力しているつもりでも足りないと言われる」と感じる相談です。

9. 子どもの教育方針が合わない

叱り方や習い事、進学などを巡って意見が対立することがあります。

10. お金に自由がない

お小遣いや趣味、家計管理についてストレスを感じる方もいます。

11. 妻が自分より子どもを優先していると感じる

父親としては理解していても、寂しさを感じることがあります。

これは意外と潜在的に大きな影響を与えていることがあります。

12. 義父母や親族との関係

妻側・夫側どちらの親との付き合い方も夫婦間のストレスになることがあります。

13. 妻がいつも疲れていて話しかけにくい

心配しながらも距離を縮められず、結果として会話が減ってしまうことがあります。

14. 自分の趣味や時間を持ちにくい

仕事と家庭の両立で、自分の時間がほとんど取れないと感じる方もいます。

15. 妻から信頼されていないと感じる

家事や育児を任せてもらえない、細かく指摘されることで自信を失うことがあります。

16. 将来への経済的不安

住宅ローン、教育費、老後資金など、家族を支える責任へのプレッシャーです。

17. 妻の言葉に傷ついている

「役に立たない」「何もしない」などの言葉を繰り返し受けることで、自己肯定感が低下することがあります。

18. 離婚を考え始めているが決断できない

子どものことや経済的な理由から、一人で悩み続けるケースもあります。

19. 自分の気持ちを誰にも相談できない

男性は友人や家族に夫婦の悩みを打ち明ける機会が少なく、一人で抱え込みやすい傾向があります。

20. 妻と以前のような関係に戻りたい

「昔のように笑って話したい」「仲の良い夫婦に戻りたい」という願いを持ちながらも、方法が分からず悩んでいる方も少なくありません。

これらのいくつかの悩みの中には

「認めてもらいたい」

「さみしい」

「信頼されたい」

「頼りにされたい」

「安心できる家庭を築きたい」

という気持ちが隠れていることが多くあります。

男性は感情を言葉で表現することが苦手な方も多く、

「大丈夫」「別にいいよ」と言いながら、

本当は寂しさや孤独感を抱えていることも少なくありません。

夫婦関係の研究では、男性はストレスを感じると問題解決や距離を取る行動を選びやすく、

女性は対話や共感を求める傾向があることが報告されています。

ただし、これはあくまで平均的な傾向であり、すべてのご夫婦に当てはまるわけではありません。

こうした違いを知らないまま生活すると、

「話したい妻」と

「静かに考えたい夫」

というすれ違いが起こりやすくなります。

「共感してほしい妻」と

「解決したい夫」

と言い換えることもできます。

どんなときに夫婦カウンセリングを受ければいい?


夫婦関係で悩んでいる方の中には、

「このくらいで相談してもいいのだろうか」

「離婚するわけではないからカウンセリングはまだ早いかな」

と感じる方も少なくありません。

しかし実際には、夫婦カウンセリングは「関係が壊れてから受けるもの」だけではなく

「関係をより良くするために受けるもの」でもあります。

海外では、夫婦関係を良好に保つために定期的にカウンセリングを利用するご夫婦も珍しくありません。

では、どのようなときに夫婦カウンセリングを受けるとよいのでしょうか。

まず一つ目は、「同じことで何度もケンカを繰り返しているとき」です。

家事、育児、お金、親との付き合いなど、

内容は違っても「結局いつも同じパターンになる」というご夫婦は少なくありません。

一時的に仲直りしても、また同じことが起きる場合は、

問題そのものではなく「コミュニケーションのパターン」に原因がある可能性があります。

二つ目は、「会話が極端に減ってしまった」ときです。

必要な連絡だけになり、お互いの気持ちを話すことがなくなると

少しずつ心理的な距離が広がっていきます。

会話がない状態が長く続くほど、

修復には時間がかかることもあります。

三つ目は、「子どもの前でケンカが増えているとき」です。

子どもは夫婦関係の影響を想像以上に敏感に感じ取ります。

怒鳴り合いや冷たい空気が続くと、

不安や緊張を抱えたり、

自分のせいではないかと感じてしまう子どももいます。

夫婦関係を整えることは、子どもの安心感を守ることにもつながります。

四つ目は、「相手の気持ちが分からなくなった」ときです。

「何を考えているのか分からない」

「話しかけても反応がない」

「以前とは別人のように感じる」

そのような状態では、お互いに誤解が積み重なりやすくなります。

カウンセリングでは、それぞれの気持ちや背景を整理しながら、

すれ違いの原因を一緒に見つけていきます。

五つ目は、「子どもが生まれたあとに関係が変わった」と感じるときです。

第一子の誕生後は、育児や睡眠不足、役割の変化などにより、

夫婦満足度が一時的に低下しやすいことが多くの研究で報告されています。

これは珍しいことではありません。

だからこそ、この時期にお互いの負担や気持ちを整理することは、とても大切です。

子供への悪影響、不登校、体調不良などへ影響しているときも

受けることで悪影響を減らし、良い影響を増やすことへつながります。

六つ目は、「離婚という言葉が出るようになった」ときです。

「もう無理」

「離婚した方がいいかもしれない」

そのような言葉が増えている場合でも、

感情的になっているだけなのか、

本当に関係が限界なのかを整理することが重要です。

お互いの本当の気持ちを落ち着いて確認できる場として、

カウンセリングが役立つことがあります。

七つ目は、「どちらか一方が我慢し続けている」と感じるときです。

「言いたいことを言えない」

「相手を傷つけたくない」

「私が我慢すればいい」

この状態が長く続くと、ある日突然、

怒りや悲しみが一気にあふれてしまうことがあります。

早めに気持ちを整理することで、大きな衝突を防げることも少なくありません。

八つ目は、「浮気や裏切りなど、大きな出来事があった」ときです。

信頼関係が揺らぐ出来事のあとには、

怒り、悲しみ、不安などさまざまな感情が生まれます。

関係を続けるかどうかを含めて、感情を整理し、

今後について話し合うための場としてカウンセリングが役立ちます。

九つ目は、どちらか一人だけでも「何とかしたい」と思ったときです。

夫婦カウンセリングというと、「二人で受けるもの」と思われがちですが、

実際にはお一人で相談に来られる方も多くいらっしゃいます。

自分の考え方や伝え方が変わることで、

夫婦関係が改善するケースも少なくありません。

「問題が起きたあとにどう修復するか」が夫婦関係を左右すると先述しましたが、

ケンカをしない夫婦が理想なのではありません。

お互いを理解しようとする姿勢や、安心して話し合える関係を築いていくことが、長く良い関係を続けるために大切なのです。

カウンセリングしらいしでは、「離婚するかどうか」を決めるためだけではなく、

「もっと安心して話せる夫婦になりたい」

「子どものためにも良い関係を築きたい」

「以前のような笑顔を取り戻したい」

というお気持ちも大切にしています。

「まだ相談するほどではないかな」と思う時期こそ、実は最も変化をつくりやすいタイミングです。

夫婦関係は、早めに向き合うほど改善の選択肢が広がります。一人で抱え込まず、今の状況を整理するところから始めてみることも、大切な一歩になるでしょう。

カウンセリングしらいしの相談室


カウンセリングしらいしの相談室風景です。

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記事監修
公認心理師 白石

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参考文献

・内閣府「国民生活に関する世論調査」
https://survey.gov-online.go.jp/

・内閣府「男女共同参画白書」
https://www.gender.go.jp/

・厚生労働省「国民生活基礎調査」
https://www.mhlw.go.jp/

・厚生労働省「人口動態統計」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html

・国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」
https://www.ipss.go.jp/

・国立社会保障・人口問題研究所「全国家庭動向調査」
https://www.ipss.go.jp/ps-katei/

・総務省統計局「社会生活基本調査」
https://www.stat.go.jp/data/shakai/

・国立成育医療研究センター(子育て・家族に関する研究)
https://www.ncchd.go.jp/

・日本家族心理学会
https://www.jafp.jp/

・日本家族研究・家族療法学会
https://www.jaft.org/