過去の心理学者・臨床家・研究者の人物像や提唱された内容から今に学べることは多くあります。
ここではレオン・フェスティンガーと「認知的不協和」について書いていきたいと思います。
レオン・フェスティンガー
レオン・フェスティンガー(Leon Festinger)は1919年ニューヨークのブルックリンにてロシア移民の家庭に生まれます。
1939年にニューヨーク市立大学を卒業し、アイオワ大学では「ツァイガルニク効果」で有名なクルト・レヴィンから学び、1942年に児童心理学の博士号を取得します。
第二次世界大戦に従軍したのちは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所でレヴィンとともに研究を行います。
さまざまな大学で教壇に立ち、「認知的不協和」や「社会的比較理論」の提唱者として大きな功績を残しています。
主著には、
1956年「予言がはずれるとき」
1957年「認知的不協和の理論」
1983年「人類の遺産」
などがあります。
フェスティンガーは、測定や数学的な厳密さにこだわるよりも理論や方法の「曖昧さ」を許容した方が発見的価値が高いと主張しています。
認知的不協和
認知的不協和(英語:cognitive dissonance)とは、自分の信念や認知とは異なる明確な反証との遭遇によって起こる不快感や居心地の悪さを表す社会心理学用語です。
フェスティンガーは、決まったルーティーンや習慣的な思考パターンと信念が変更したり、破られると非常に不快な気分になることに着目しました。
とても明確な反証に遭遇すると内的な一貫性の欠如が生まれ、「認知的不協和」という居心地の悪い状態に身を置くことになります。
その居心地の悪さや不快な気分を解消させるためになんとかして信念に合致する新たな証拠を求めてしまう傾向が強くなるとフェスティンガーは研究で明らかにしています。
その研究ではカルト教団を対象として行われました。
エイリアンから洪水によって世界が滅亡するというメッセージを受け、本物の信者だけが救われるというものでしたが、結果、何も起こりませんでした。
「予言は外れた」という見解は外部の人間の見解であり、内部では新たな証拠「教団メンバーの献身によって救われた」を創作し、認知的不協和を解消させたのです。
これらの研究からフェスティンガーはこう言っています。
確信を持った人は、それを変えることはまずない
レオン・フェスティンガー(Leon Festinger)
参考文献
心理学大図鑑 キャサリン・コーリンほか
記事監修
公認心理師 白石
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