「イライラする」「イライラしてしまう」ことは、誰でも日常的によく起こるものです。
しかし時に、慢性的に続いたり、とても強いストレスになってしまうことがります。
ここでは、「イライラするのはなぜなのか?」といったイライラの正体に迫り、イライラを抑える方法やカウンセリングでイライラを減らす方法などを解説していきます。
もくじ
イライラとは何なのか?
- 朝なぜかイライラする
- 職場でイライラする
- 旦那にイライラする
- 子供にイライラする
- 親にイライラする
- 無性にイライラする
- 生理の時にイライラする
- なかなかおさまらないイライラがある
- 他人にイラつく
- ちょっとしたことでイライラしてしまう
- 人ごみでイライラしてしまう
- 遅いとイライラする
- 更年期でイライラする
- イライラして吐き気がする
- 思い通り行かないとイライラする
- 自律神経が乱れ始めてイライラする
- とにかくイライラする
- すぐイライラしてしまう
- 最近良くイライラするけどなぜかわからない
- うつになってイライラするようになった
- 寝不足でイライラする
- 急にイライラする
というようにさまざまなシーンや状況で「イライラ」する状態が生まれてしまいます。
原因が明確な場合もあれば、よくわからないものもあります。
「イライラする」と、一般的によく用いる言葉ですが、そもそもイライラとはどのようなものなのでしょうか?
「イライラ」とカタカナで表記されることが多いですが、「いらいら」「苛々」「苛苛」とも表記されるようです。
似たような表現でムシャクシャ、イライラ感、イラつく、苛立つ、ムカつく、モヤモヤする、カリカリするなどの表現もあります。
辞書によると「イライラ」とは以下のような説明がされています。
思いどおりにならなかったり不快なことがあったりして、神経が高ぶるさま。いらだたしいさま。「連絡がとれず、苛苛する」
デジタル大辞泉(小学館)
[名]神経が高ぶって、落ち着きを失っている状態。「苛苛がつのる」
落ち込む方向ではなく、怒りの方向に向かっている気持ちと言えます。
「怒り」「憤り(憤慨)」「煩わしさ」「焦り」「葛藤」などの感情や気持ちと関連しています。
イライラするのはなぜか?
「イライラ」は
- 自分の思うとおりに進まない
- 不快な出来事
- 嫌な気分にさせるもの
- 欲求不満
などの影響によって
- 神経が高ぶる
- 心が落ち着かなくなる
などの状態から
- イライラする
- イラつく
- 苛立つ
- ムカつく
- モヤモヤする
- ムカムカする
- カリカリする
- ムシャクシャする
- 怒りの感情が出る
- 憤る
- 煩わしい
- 焦る
- 葛藤する
といった気分や感情になる時に表現されるということです。
イライラするのはなぜか?という点については、
- 自分の思うとおりに進まない
- 不快な出来事
- 嫌な気分にさせるもの
- 欲求不満
によって誘発されます。
これらの影響により上記のような気分や感情、または「ウーーン!!」「ムーーー!!」といった葛藤や焦りのような、煩わしい憤り反応が起きます。
イライラは怒り系の感情エネルギーですが、怒りにも種類があります。
「イライラ」は、激怒する、頭に血がのぼる、カチンと来る、堪忍袋の緒が切れる、ブチギレる、逆上するなどの激しく衝動的な相手にぶつけるような怒りとは趣が異なります。
「イライラ」は、怒りをぶつけるか・静まるまでの内的な葛藤とも言えますし、怒りを抑制している状態とも言えると思います。(イライラに関する学術的な資料が少ないために私的な推論です)
- 相手を怒るほどでもない時
- こんなことで怒ってはいけないと感じる時
- 自分の想定よりも劣っているとき(遅い・上手くない・求めたいたものと違う)
にイライラするものです。
しかしそんな状態でイライラが持続していくと、誰かに「イライラをぶつけてしまう」という現象が起きたりします。
イライラも溜まっていけば、ぶつけるのに価(あたい)するものになったということでしょう。
また「不快だった」「嫌だった」と直接表現しない・できないときにイライラしたり、相手に読み取ってもらうように表現することもあります。
日本は古来より怒りのダイレクトな表現はあまり良しとしない文化がありますから「イライラ」することが多いのかもしれません。
生物学的な「怒り」の意味
イライラを含む「怒り」は、
- 自分の権利を守る
- 自分の財産を守る
- 強さの誇示(家族や群れを守る)
- 上下関係をはっきりさせる
といった意味が生物学的にあると考えられています。
動物では、群れの中での上下関係やリーダーが決まる時、他の生物や他の群れとの接触時に「威嚇(いかく)」行動をよく行っていますね。
猫を飼っている人はよくわかるみたいですが、尻尾を小刻みに動かす猫の行為はイライラの表れだと言われています。
もっと強くなると尻尾を床に叩きつけ、睨み、噛むというような怒りの表現をするようです。
医学的に考察する「イライラ」の原因
医学的に見ると
- 自律神経の乱れ
- ホルモンバランスの乱れ
- セロトニン不足
- ビタミンB群不足
- 血中のカルシウム濃度の低下
- 睡眠不足
などの影響により「イライラ」しやすくなります。
ストレスを溜めずに、バランスの良い食事を摂り、太陽に当たりながら適度な運動を行うなどに気をつけていくことが基本的であり最も大切です。
また以下のような疾患
- 躁状態
- 更年期障害
- 月経前症候群(PMS)
- 自律神経失調症
- うつ病
- 不眠症(睡眠障害)
- パーソナリティ障害
- 強迫神経症(強迫性障害)
- 発達障害
- 依存性
によって「イライラ」する精神症状が出やすくなります。
下の図は、ストレスによって発現する症状や病気の一例です。
心理学的に考察する「イライラ」
「イライラしやすい人」と「イライラしにくい人」がいるように心理的な特徴によって異なります。
イライラしやすくなる心理的な特徴として
- せっかち
- 結果を早く求める
- 待つのが苦手
- プライドが高い
- ストレスに敏感
- ネガティブ傾向が強い
- 人のせいにする傾向が強い
- わがまま
- 完璧主義
- ストレスを溜めやすい
- ストレスの発散が苦手
- 劣等感が強い
- 優越コンプレックス
- こだわりが強い
- 期待が強い
- 依存心が強い
- 相手に求めるものが強い
- 強迫観念が強い
- 感謝を感じにくい
- 言葉で怒りを表現できない
などがあります。
※優越コンプレックスとは、自分の劣等感から抜け出そうとして虚栄的・優越的な態度をとってしまうコンプレックスの一種です。
上記の心理的特徴が悪いということではなく、その傾向が強くなればなるほど「イライラ」しやすくなるもので多少の傾向は個性でもあったりします。
ここで間違えてはなならないこととして、イライラすること自体も悪いことではなく、人間的な怒りの表現の一種としてみることが大切です。
しかしそのイライラが持続的であったり、強いものであったり、体に症状として発現してしまう場合、心理的にアプローチを行うことが推奨されます。
まず第一にストレスの原因になっているストレッサーに対して、離れる、辞める、影響を受けないようにするなどの対処を行うことが考えられます。
実際には、仕事を辞めることができない、離婚することができないなどこのような対処が難しいことも少なくありません。
そこで自分にイライラする反応が起きてしまう内的な側面にアプローチを行う方法が一般的になります。
「イライラする」という状態には、クライエントの「大切な信念」や「求める思い」が根底にあるものです。
なかなか気づけないそういった根底の信念や思いを汲み取って、気づき得て、ときに修正や変容を行うことによって「イライラ」が別の形へ変化したり、不思議と軽減・消失したりするものです。
下図のように人間には、
反応(感情、身体、行動)例)イライラする
↑
自動思考 例)自分を傷つけられた
↑
状況 例)注意された
↑
媒介信念(ルール、構え、思い込み) 例)注意されるのはよくない
↑
中核信念 例)自分はダメな人間だ
のように認知の階層があり、中核信念は一番深い階層にあります。
上図のように自分の中核信念の中でイライラにつながるものを知り、適切に修正・変容をしていくアプローチによって変化が期待できます。
また認知の歪み・偏りといった捉え方・解釈などの認知についても同様に行っていくことで改善が期待できます。(上図の媒介信念のところにあたります)
認知の偏りは、
- 全か無かの思考(All-or-nothing)
- 過度の一般化(Overgeneralization)
- すべき思考(should statements)
- マイナス化思考(Disqualifying the positive)
- 選択的抽象化(selective abstraction)
- 結論の飛躍(Leap conclusion)
- 感情の理由づけ(Emotional reasoning)
- 拡大解釈(magnification)と過小解釈(minimization)
- レッテル貼り(labeling)
- 個人化(personalization)
などがあります。
イライラを抑える方法や対処方法
イライラを抑える方法や対処方法として以下に7つの方法を紹介いたします。
イライラの種類を知る
「イライラする」の種類(タイプ)を知ることによって少し捉え方が変わってくるかもしれません。
- コントロールできるイライラ
- コントロールできないイライラ
のどちらであるのか?
- 重要なこと
- 重要でないこと
のどちらであるか?
- 気にしたほうがいい
- 気にしないほうがいい
のどちらであるのか?
を分類してみるといいかもしれません。
精査することによって、意外と「重要でなかったな」「気にしなくていいな」というイライラも見つかると思います。
またコントロールできないものをコントロールしようとして無駄な労力を使ってしまうこともありますので、無理なものは無理とすることも結果として良いことが多いものです。
イライラする自分の「受け入れ度」を上げる
イライラする自分が「嫌で、受け入れ難い状態」があるとします。
イライラする自分が出たときに、そんな自分を受け入れることができないストレスも余分に感じて大きなストレスや囚われ状態になることがあります。
イライラする+受け入れられないストレス=イライラするときのあの嫌な感じ
といった構図が考えられます。
受け入れられないので早く沈静化させなきゃといった焦りが生じてしまうこともあります。
ある程度、誰でも「イライラするものだ」と認識が変わり、受け入れていくことで余計なストレスがなくなり、対処行動が行い易くなります。
対処行動が難しくなるときは、執着が強かったり、ストレスが強い状況が多いためこのように軽減させることが大切になります。
自分でも行えますが、「受け入れ度」を上げていくカウンセリングなどを利用することで上達していきます。
アンガーマネジメントの6秒ルール?
人は怒りの感情を感じると最初の6秒でアドレナリンが放出され、その後減っていきます。
イライラの場合少し異なるので、6秒にこだわらず、少し落ち着くまで以下のような対処行動を行うといいかもしれません。
- その場を離れる
- 何秒でイライラが減り始めるか調査・実験
- 対処行動を決めておく(ミントを取り出し舐める)
- コーヒーを飲む
- 深呼吸タイムにする
- イライラに抗わない
実験という考え方
イライラを抑える方法をみつけるために「実験」を行っていきます。
例えば、○○でイライラしたとき、携帯のメモ機能に○○のような文章を書き込むと私のイライラは45%減少することがわかった、昔のアノ思い出を思い出すと15%減る、相手に嫌だったと伝えると80%減る、その場を離れると50%減る、受け入れるとゆっくりだけどいい感じがする、といった具合に実験を行っていきます。
実験を行うというモードに入るため、いつもの「イライラ感」とは違いがあったり、時として楽しくなることもあるようです。
メタ認知モード
メタ認知(英語:Metacognition)とは、自分の認知をより広い視点やより高いところから観る認知のことを指します。
客観視するモードやモニタリングモードと捉えていただくといいと思います。
イライラに意識が囚われているモードからメタ認知モードに行くことができれば少し冷静になります。冷静になればメタ認知を行い易くなるとも言えます。
遠くからイライラしている自分を観察していると、新たな気づきがあったり、冷静に受け入れることができたり、何をするべきかわかったりします。
そういった繰り返しにより、メタ認知能力が向上し、イライラが軽減、消失することもあります。
周囲に協力してもらう
イライラを改善していく上で周囲の協力があればなおのことよくなる傾向があります。
周囲の方にどれだけ素直に言えるかがポイントです。
周囲の方に、イライラすることが今後もあることを事前に許可を取り付ける方法です。
この方法は難しい場合もありますが、プライドを捨てて素直に話せば、周囲の方々にとっては「とても可愛らしく感じる」ようです。
許可されていつでもイライラしていい状態を想像してください。
それだけでも結構イライラが減りそうなものではないでしょうか?
良い生活習慣とストレス発散
睡眠はイライラと関係が深いことが知られています。ですので、睡眠の状態をよくしていくことが大切です。
安定した生活習慣は精神を安定させてくれます。基本中の基本で当たり前なのですが、当たり前のことがものすごく大切で効果が高かったりします。
イライラの場合、ビタミンD欠乏によるものがありますので太陽に当たることが大切なこともあります。
ストレスが溜まっていると、イライラしやすくなることから日頃からストレス発散・解消していくことが大切です。
イライラに対するカウンセリングと心理療法
まずクライエントのお話を伺っていきます。
イライラするのはなぜなのか?クライエントのペースで話していく中で共感的・受容的な態度でお話を聞いていきます。
話していく中でクライエントの中で気づきが生まれたり、すっきりしたり、掴んでいた手が緩むようなことが起きます。
しかしそれだけでは、イライラの軽減や改善にいたらない場合に上述したような
- イライラしやすくなる心理的特徴
- 中核信念
- 認知の偏り
- イライラの種類
- イライラする自分への受け入れ
- イライラする時の対処行動
- メタ認知能力
- 生活習慣
- 周囲の資源(リソース)
などに対してアプローチを行っていきます。
クライエントの大切な信念、考え方、捉え方であったりしますのでお互い協同しながら修正や変容を加えていきます。
お話をされていく中でクライエントの人生でとても大切にしているドラマティックな情動に出会うこともあります。
そういった感動や時に苦しいところに向き合うことも行いながら軽減や改善、消失していく方向に向かっていきます。
時に非常に難しいケースがあり、その場合、周囲の資源の活用や対処行動を重点に置く必要があります。
例えば、どのように考えても受け入れることができないような人物の行動を回避できない場合などです。
そのような場合でも対処行動が上達することによって受けるダメージやイライラへの誘導の軽減が期待できます。
上述した疾患などがあればそれらがより良くなるような心理的アプローチも同時に行っていきます。
ひとつずつ丁寧にアプローチを行うことによりクライエント自身の心理的成長や神経可塑性などにより身体的な変化がみられたりします。
おわりに
いかがだったでしょうか?
少し長い文章になりましたが、生物学視点、医学的視点、心理的視点などさまざまな視点から「イライラする」をみていくことであらたな対処法や認識が生まれることがあります。
自分で乗り越えることが大切な場合もあれば、誰かに相談することで乗り越えていくことも素晴らしい経験になります。
なにより皆様にとって少しでもお役に立つ情報があれば幸いです。
★参考にすると良い記事
中核信念(コア・ビリーフ)
認知の偏り(認知の歪み)
「メタ認知」-知っていると役に立つ心理学用語
記事監修
公認心理師 白石
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